ベッド半径50㎝セラピストになるか、ベッド半径5kmセラピストになるか?

地域包括ケアシステムの構築が謳われて久しい。

「住み慣れた地域で最後まで」と言う美しい言葉が先行しているが、その実態は「低福祉化」である。

もう少しわかりやすく言うと、「低予算で最大の効果」を求めるシステムと言える。

要支援者の日常生活支援総合事業への移行
通所リハビリテーションの早期リハ・卒業の推進
通所介護の心身機能改善評価
訪問リハビリテーションのマネジメント
早期入院・早期退院を進める入退院支援の推進
在院日数の短縮
など、低予算で医療や介護サービスを成立させる仕組みである。

この低福祉政策は今から30年~40年は続くだろう。

このような時代において必要される人材はどのようなものであろうか?

先述した様々な事例を実現させるためには、様々な場所に足を運び、様々な人と協議をしなければならない。

そして、自身の専門的見地から、建設的な意見を述べていく必要がある。

つまり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士はベッド半径50cmで仕事をするのではなく、ベッド半径5kmで仕事できる人材になることができなければ、これからの時代では「使い勝手が悪い人材」になる可能性が高い。

残念なことに、今の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は学生時代にベッド半径50㎝で仕事をすることしか、教えてもらっていない。

したがって、地域包括ケアシステムが求めることに対して、潜在的な拒絶感がある。

しかし、ピンチはチャンスである。

このようなピンチの状況でベッド半径5kmで働く能力を身に付けることが出来れば、確実にこれから「食っていけるセラピスト」になることが出来るだろう。

無論、ベッド半径5kmで働くセラピストにも、高い理学療法、作業療法、言語聴覚技術が必要である。

基本スキルが高ければ高いほど、その専門性を活かした活動が可能になるからである。

あなたは50cmか5kmか?

あなたの職場には5km用の教育プログラムはあるか?

今一度考えてほしい。