医療機関や介護事業所の財務分析では固定資産回転率と売上高人件費率を見よう!

医療機関や介護事業所の経営環境はますます厳しくなってる。

自社の取り組みが利益に還元できているか?という視点は極めて重要であり、医療・介護従事者にも財務分析の視点が必要な時代となっている

筆者は医療機関や介護事業所の財務分析において、次の二つの項目が重要と考えている。

固定資産が有効活用されているかどうかを判断する指標である固定資産回転率【売上高÷固定資産(当期・前期末平均)】を利用することで、新設した高齢者向け住宅や在宅医療センターなどの固定資産の売上への貢献や有効活用の度合いについて検討することが出来る。

医療施設の運営責任者は、施設の資産価値を全く理解していないため、資産価値に見合った売上に関しての意識は極めて低いと推測される。

そのため、固定資産回転率を用いた経営管理は、各施設の管理者の売上向上に対する意識付けには有効であると考えられる。

また、会社の売上に対する人件費の割合のことを示す売上高人件費率も経営改善活動のための有効な指標になると考える。

医療・介護業界は労働集約型産業であり、経営資源としての人材への依存度の高い産業構造になっている。

そのため、人材の生産性は極めて重要な経営管理項目である。

例えば、医局、看護部、リハビリテーション部、検査部の売上高人件費率などを算出し、各部門の経営への貢献を明示し、貢献度の高い組織に対して賞与を支給するなどのインセンティブは有効な経営の手法になると考えられる。

医療の専門職は、「患者を助ける・救う」という理念を振りかざし、経営的な観点を軽視する傾向がある。

そのため、売上高人件費率などの指標を用いて、医療機関の経営に対する倫理観を醸成するが重要であると考える。