地域包括ケアシステムが必要だ!と叫ばれて久しい。
毎日のように全国津々浦々で、地域包括ケアシステムに関する研修会やシンポジウムが行われている。
最近は、ネット上でも地域包括ケアシステムに関する情報を発信している人が多い。
今の医療・介護・福祉分野においては、地域包括ケアシステムに取り組んでいることをアピールしないと世間から排他的に取り扱われる空気がある
誤解を恐れずに言うと、「地域包括ケアシステムに取り組んでいます」とさえ、叫べば、なんとなく優秀な人と思われる風潮が蔓延している。
しかし、現実はどうだろうか。
自分の勤めている法人の中でさえ連携や統合がうまくできてない。
目の前の患者さんに偏ったリハビリテーションしかアプローチできない。
理学療法・作業療法・言語聴覚療法の評価や治療技術が著しく低い。
このような状況にありながらも、「地域包括ケアシステムに取り組んでいます」と言えば、なんとなく「すごいですねぇ」と思われる。
これ、おかしくないか?
地域包括ケアシステムを語るのは簡単である。
しかし、地域包括ケアシステムの中身は地に足の着いた医療や介護の現場にしか存在しない。
地域ぐるみで介護予防をしている
健康増進を啓蒙している
地域で認知症の対応をしている
地域の医療・介護・福祉関係者の会合を主催している
などの素晴らしい活動をしていても、医療・介護現場でセラピストとして質の低いことしか提供できていないのであれば、本当の意味で地域包括ケアシステムを理解しているは言えない。
特に、自分の勤める法人のマネジメントがうまくいってないのに、地域包括ケアシステムを大義名分に対外的な活動に力を入れているセラピストは勘違いも甚だしい。
地域包括ケアシステムは、目の前の患者・利用者へのリハビリテーションサービス、そして、自分が勤める組織の中にあることを今一度認識するべきである。
自分のセラピストとしての仕事ぶりを顧みずに、地域包括ケアシステムをやたらめった声高に叫ぶ「地域包括ケアシステムシンドローム」は地域包括ケアシステムを阻害する要因である。