理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のキャリア・デザインは、その重要性を益々増している。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を合わせて、毎年2万人が誕生し、診療報酬・介護報酬のリハビリテーション関連の単価は厳しさを増している。
このままではセラピストの処遇が悪化していくことは容易に想像できる。
そのため、自分自身の人生をどのようにハンドリングしていくか?自身の仕事をどのように変化させていくか?というキャリア・デザインに関する知識や手法は、これからの時代を生きるセラピストにとっては必須である。
学生が初めて、濃厚に接するセラピストは臨床実習で出会ったスーパーバイザーである。
初めて会った先輩理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、学生には強い影響力を持つ。
臨床実習では、患者や利用者の評価や治療について学ぶことが多いが、もう一つ大切なことはスーパーバイザーの臨床への姿勢、仕事への取組み、人生観などを学ぶことである。
学生は、今後のセラピストの働き方や生き方の見通し、セラピストの生活設計の在り方、セラピストのキャリア構築の仕方など全く知らない。
そのため、スーパーバイザーより、キャリアや人生に関することを教えてもらうことは大変刺激的なことであり、セラピストしての価値観を醸成する大きな機会となる。
しかし、現在の臨床実習のスーパーバイザーは、学生に対してキャリア教育ができているだろうか?
学生に出来もしないような課題を与える
学生が回答できないような質問をする
自身のほうが賢いことを示すような言動を示す
スーバーバーザーのレベルに達しない指導
などが横行し、学生に対するキャリア教育どころではないことを散見する。
無論、これはスーパーバイザーだけの責任ではない。
臨床実習施設やセラピスト養成校の責任は大きい。
臨床実習施設をやたらめったに増やしてきた養成校
ろくに治療もできないセラピストをスーパーバイザーにしている医療機関や介護事業所
こういった現状もスーパーバイザーの質の低下に拍車をかけている。
スーパーバイザーは、患者や利用者の評価や治療を通じて自身の人生の生き様を見せるような人であるべきである。
小手先のテクニックや浅い知識では、学生の心は動かない。
スーパーバイザーの生き様を感じるようなテクニック・知識・評価・思想に学生は心が揺さぶられ、学習や技術の取得に対してより前向きになれる。
人は、「心底、このような人になりたい」「こんな人に憧れる」という思いに至らなければ、自分自身の人生を変えようとは思わない。
スーパーバイザーは学生にとってまさにロールモデルである。
ロールモデルの質が良ければその学生は必然的に伸びていく。
しかし、どれほどのスーパーバイザーが、学生に生き様を見せることができているだろうか?
スーパーバイザーの学生への影響力は甚大である。
スーパーバイザーをしている人は、ぜひ、学生へのキャリア教育を放棄しないでいただきたい。