優秀なセラピストを採用するために必要な「採用ブランド」

良い人材からの応募が多いリハビリ部門と少ないリハビリ部門の差は何か?

差の一つに採用ブランドがある。

採用ブランドとは
企業の魅力によって良い人材の募集を増やす力
と説明できる。

労働条件が同じであれば、企業の魅力が高い方が良い人材からの応募が増えやすい。

採用ブランドを高めていくためには
「その企業が提供するサービスの質の高さ」
「顧客/求人者とのコミュニケーション」
が重要となる。

「その企業が提供するサービスの質の高さ」には顧客に提供するサービスと従業員に提供するサービスがある。

リハビリ部門が顧客に提供するサービスは言うまでもなく「リハビリテーションサービス」であるが、従業員に提供するサービスは「キャリアデザインの支援」である。

働くセラピストがどのようなキャリアを描くことができるのか?
セラピストの成長をどのように支援してくれるのか?
女性セラピストであっても様々なライフイベントに対応してくれるのか?
などの「キャリアデザインの支援」の魅力度が大きく採用ブランドに影響すると言える。

働く人にとって、どんなキャリアが開発できるのか?は大変重要な情報である。

近年、セラピストの過剰供給が社会問題となっているため、キャリアに関心を持つセラピストは以前より遥かに増えている。

そのため、キャリアデザインの支援」はリハビリ部門の採用活動の大きな武器となる。

また、「キャリアデザインの支援」は仕組みを作るだけでなく、作った仕組みを求人者に伝えると言うコミュケーションが重要となる。

求人者とのコミュケーションを円滑に行うためには
ホームページ
就職説明会
求人チラシ
Youtubeなどの動画配信
などを定期的に行う必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

PT・OT・ST管理職あるある 一生懸命仕事をするけど、部下が成長しない件

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の管理職は総じてまじめな人が多い。

そのため、管理職を拝命すると一生懸命に組織のために働く。

毎日、忙しく仕事をしている管理職が大多数である。

しかし、そこに落とし穴がある。

「忙しくする」ことが管理職の仕事ではないということである。

管理職の仕事は「他人を通じて成果を出す」ことである。

つまり、「自分が動いて成果を出す」ことは管理職として不適格と言える。

「自分が動いて成果を出す」ことはたやすい。

しかし、この働き方は長続きしない。

なぜならば、「自分が動く」ことはいつか疲弊するため、持続可能な働き方ではないからである。

管理職の仕事は「組織や事業所の理念、ビジョン、課題を的確に把握し、経営目標の達成のために自分の部下に仕事を与え、その仕事を遂行させること」である。

しかし、部下とのコミュニケーションがうまくできない管理職は、部下に仕事を与えることが苦手なため、すべての仕事を自分で引き受ける。

そのため、周りから仕事をしているようには見えるが、部下の成長が見られないという現象を引き起こす。

部下が成長しないものだから、より仕事を与えにくくなり、さらに管理職が仕事を引き受けることになる。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士で管理職を拝命する人は、平素からまじめに業務を行っている人が多い。

そのため、自分を忙しくすることがある意味、得意な人が多い。

しかし、この特性が管理職として不適切な行動を生んでしまう原因でもある。

管理職の方は、まず、自分が仕事をするのではなく、部下に仕事を与えることを第一に考えて管理職の責務を全うしてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STあるある!瞬間最大風速にモチベーションが吹き荒れる!!

お正月・ゴールデンウイーク・お盆休みなどの節目で、PT・OT・STの方が急激にモチベーションがあがり、SNSなどに突如として「これからの人生の目標」や「取得したい資格」について書き込むことがある。

「非常に高いモチベーションが生まれている」ことを感じさせる言動である。

しかし、最初にSNSに書き込んでから数日たつと普段通りの投稿内容に変化し、いつの日か「これからの人生の目標」や「取得したい資格」について語ることすらもなくなることを良く散見する(下図)。

瞬間最大風速のモチベーションが吹き荒れた後に全くモチベーションの風が吹かない・・・。


図 瞬間最大風速のモチベーションが吹き荒れる
(転載禁止)

それではなぜこのような状況になってしまうのだろうか?

それは、「自分のアイデンティティから生まれたモチベーション」ではないことが原因である。

人間は他人から与えられた、促された、命令された行動や金銭などの打算的なことを目的とした行動は長続きをしない。

なぜならば、それは「自身のアイデンティティから生まれた行動」ではなく、「他者の圧力により生じた行動」だからである。

「他者の圧力により生じた行動」が上手くいかなくなると、「自分自身が心の底から手に入れたい目標ではない」ため、行動を継続することが難しくなる。

つまり、「他者の圧力により生じた行動」には執念がないのだ。

執念は「自身のアイデンティティから生まれた行動」に宿る。

したがって、「なりたい自分」「自分らしさを感じる目標」「自分の本音」についてしっかりと悩み、その先に芽生えた「目標に対する行動」を大切にすることが重要である。

「最大瞬間風速のモチベーション」を繰り返している人はぜひ参考にしてほしい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
ホームページ https://fukunoe.com/
Facebook https://www.facebook.com/illustration.studio.fukunoe
メール  studio.fukunoe@gmail.com
Twitter  https://twitter.com/PT_Fukuyama
Instagram https://www.instagram.com/masaki.fukuyama.fukunoe/

PT・OT・STの起業の落とし穴 アイデアだけなら誰でも言える

近年、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の起業志向が高まっている。

2015年ぐらいまでは、訪問看護ステーションや通所介護という介護保険を用いた事業を起こすセラピストが多かった。

しかし、近年は介護保険外の領域で事業を起こしたいと考えているセラピストが多い。

そのアイデアは素晴らしく、医療や介護領域のみならず、ヘルスケア領域全般に貢献するものばかりである。

しかし、実際にそのアイデアが実現し事業として成立するのはアイデア全体の5%以下である。

つまり、アイデアはあるが、それが実際に世に出るまでのことはほとんどないと言って良い。

セラピストは「アイデアの事業化が弱い」という大きな欠点を持っている。

当然、セラピストはリハビリテーションのプロであって、事業化のプロではない。

卒前、卒後教育でも事業化について学ぶことは皆無である。

そのため、アイデアを事業化するための術を知らないため、ほとんどのアイデアは世に出ることはない。

02be398abdb8e957b8802dddceaaef95_sしかし、一部の起業志向のセラピストはアイデアをもっているだけで満足している傾向が強い。

自分はこんなアイデアを持っている こんなアイデアを思いつく自分はすごい アイデアがあるとワクワクする という高揚感だけで、満足しているセラピストが多い。

アイデアを実現するのは、実に泥臭い作業である。

起業や事業に関する知識を学び、様々な専門家より指導を受け、多くの時間とお金を費やさねばならない。

アイデアだけで満足しているセラピストは泥臭い作業を逃避して、アイデアだけで自己満足している。

しかし、アイデアだけでは世の中は何も変わらない。

アイデアは実現してなんぼ。 アイデアだけなら誰でも言える。

執筆者 高木綾一 セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

PT・OT・STが陥りやすい間違い イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ
業界上位の企業が顧客の意見に耳を傾け、高品質の製品・サービス提供で破壊的イノベーションに市場を奪われる現象 ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン氏が提唱した概念である。

破壊的イノベーションとは性能面は劣り、低価格、利用が容易であるという特徴を持つ。

優良企業は、顧客の要求する性能を愚直に追い続けていくことにより、製品やサービスの機能は向上していく。

次第に、顧客が理解しずらい、扱いずらい製品やサービスになっていく。

例えば、高品質で多品種をそろえたデパートが衰退し、ディスカウントストアーが発展したような事例である。

このように顧客が理解しやすく、扱いやすい破壊的イノベーションが顧客から支持される現象を、イノベーションのジレンマと言う。

実は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の業界にもイノベーションのジレンマは存在する。

臨床現場や教育現場において、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が難しい理論を追求すればするほど、臨床では応用しにくい技術になっていく。

特に、優秀なセラピストほどこの傾向は強く、難解な治療手技を展開することで他者が模倣することが出来ない技術が完成し、統一した医療技術の提供が困難となりチーム医療が破綻することがある。

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優秀でまじめなセラピストは高品質・高煩雑な評価や治療を作り上げていく。

一見、このことは良いことに思えるが実は組織の中においては、「イノベーションのジレンマ」という大問題に発展していく。

難解な治療技術は、周りのセラピストにとって使いにくいものになり、結果的には使われない技術となる。

周囲から評価されるのは、誰もが扱いやすい破壊的のベーションである。

セラピストは自分が行っていることが、周りに理解され、扱いやすいものなのか?を強く意識する必要がある。

この視点がなければ、地域包括ケアシステムやチーム医療の中で働くことは難しいだろう。

執筆者
高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術)(経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授