在宅市場の拡大に拍車 2018年度診療報酬改定の余波

2018年度診療報酬改定で入院医療機関から在宅への流れが一層強化された。

急性期一般入院料1では在宅復帰要件が拡大された。

療養病棟や老人保健施設は在宅復帰要件を満たしていることが必要であったが、2018年度改定によりその要件がなくなった。

これにより急性期病院からの退院先を増やすことで、急性期病院の在院日数を短縮を狙っている。

このことから、今後、療養病院や老人保健施設の在宅復帰はより強化され標準化される可能性が高いと言える。

地域包括ケア病棟では、療養病棟や老人保健施設への退院が在宅復帰と認められなくなった。

そのため、地域包括ケア病棟はより一層の居住系施設や自宅への在宅復帰に取り組む必要性が高まっている。

また、療養病棟や老人保健施設は地域包括ケア病棟から紹介がなくなるため、稼働率が低下している事例が散見している。

さらに、2018年度改定は、急性期病院に大きな課題を与えた。

7:1急性期一般入院料を算定する病院では重症度が30%以上と定義されており、そのため、軽症者の早期退院が必要となっている。

つまり、病状が落ち着いてある程度のADLが回復すれば、在宅へ帰るという仕組みが必要となっている状況である。

よって「急性期治療が終われば、リハビリテーションや在宅生活に移行する」という課題の克服が必要である。

したがって、急性期病院は急性期治療&後方連携という総合力が求められる。

別の視点で考えると、介護保険事業所や在宅医療を担う医療機関にとっては大きな機会が到来している。

在宅復帰機能や在宅生活支援機能が高いことをアピールできれば、急性期病院との連携が十分に可能である。

つまり、2018年度改定により、在宅市場のさらなる拡大は確実であり、そこにはリハビリテーション専門職の活躍が欠かせない状況と言えるだろう。

執筆者 高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

既定路線の先には輝かしい未来は築けないセラピスト業界

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の業界は大きなパラダイムシフトを迎えている。

医療から介護への流れ 、そして、自費リハビリテーションや自費ヘルスケアという新しい分野の誕生。

また、近い将来、発展するAI、ロボット、ITを用いたリハビリテーション関連サービス これらの時代の変化は、セラピストの働き方へ大きな変革を与える。

しかし、残念ながらセラピストの働き方に対する教育は不十分ではない。

養成校では従前どおりの医療モデルを中心とした教育が行われ、医療機関では一日18単位を算定することに重きが置かれている。

また、職場で新しい取り組みをしている人は「変わっている人」と思われる風潮がある。 change

セラピストの働き方が変わる風土の醸成には程遠いと言ってよい。

しかし、残念ながら今のまま何もせず働いていると、大きな時代の変化が生じたときに自分の知識や技術がその時代には使えないものとなり、自身の仕事人生が暗転する可能性が高くなる。

既定路線の上を歩けば歩くほど、綱渡りとなるのが今の日本の社会情勢である。

今のセラピストに最も必要なのは危機感である。

危機感はあらゆる行動の源泉になる。

危機感への感度が低いことはこれからの時代は致命傷になる。

あなたの危機感はどれほどであるか?

今、改めて考えてみてほしい。

執筆者 高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
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理学療法士 認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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関西医療大学保健医療学部 助教
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同僚や学生時代の友人の活躍を見て、危機感を感じないセラピストは危ない!!

セラピストのキャリアの不安は概ね3年目から5年目あたりで訪れる。

不安を誘発する原因の一つが、同期のセラピストや学生時代の学友の活躍である。

同じステージにいたはずの者が、明らかに活躍していると非常に不安になり、自分も何かしなければならないと焦りが出てくる。

ある意味、その焦りは重要な感情である。

焦りは危機感の現れであり、危機感がなければ今の自分を変えなければならないと言う気持ちは生まれてこない。

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新人の頃から活躍しているセラピストは学生時代や入職直後から必死に頑張ってきた。

活躍している人には、活躍しているだけの努力の量がある。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の資格を取ることが目的であった時代から、資格を取った後に、何をするか?が重要となる時代となっている。

同僚の活躍をみて焦る気持ちは全く問題ない。

どんどん、焦って、どんどん危機感を感じればよい あるいは、活躍している同僚にどのような気持ちで働いているかを聞いてみるとよい。

仕事の姿勢の違いを知ることができればそれも勉強である。

あなたは同僚の活躍に危機感を感じていますか?

危機感を感じていなければそれはキャリアに危険信号が出ていると言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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イラスト提供
福山真樹

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臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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転職時に試されるPT・OT・STの市場価値

PTは過剰供給は必至である。

PTが増えるためPT vs OT・STの様相となってきた市場。

このような状況になれば、医療機関や介護事業所はPT・OT・STという「有資格者」が欲しいのではなく、「具体的に何かができる人」を求めるようになる。

つまり、PTの過剰供給により、セラピスト業界の労働市場は人材価値に訴求ポイントがシフトしている。

転職時の面接では、あなたの価値に関する質問が多くなる。

下図のように、転職時の面接でアピールするポイントがないセラピストは苦境に立たせられる。

42427518_1936805053024424_5906656320739606528_n (無断転載禁止)

このような状況にならないための方法として、現時点で職務経歴書を書いてみるとよい。

職務経歴書に溢れんばかり書くことがあるセラピストは、転職時の面接を乗り越える可能性高い。

しかし、現時点で記載内容が乏しい人は、一つでも多くの経験や取り組みを書けるように努力をするべきだ。

PT・OT・STの転職は当たり前のこの時代では、自分の価値向上にこだわることが重要だ。

投稿者  高木綾一

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家屋評価というリハビリテーション技術が注目される理由

通所リハビリテーション・通所介護では数か月に一回の在宅訪問の評価が一部で義務づけられている。

介護保険は在宅生活を支援することが趣旨であること考えると、当然、家屋の状況を把握しなければならない。

家屋評価を通じて生活空間の問題を把握した上で、リハビリテーションを展開しなければ、リハビリテーションの効果が低減する可能性がある。

しかし、急性期病棟や回復期病棟には在宅訪問の評価は義務づけられておらず、報酬も任意努力の報酬体系となっている。

理学療法士・作業療法士は主に関節運動・動作・行為に対してアプローチをするが、環境に対するアプローチは苦手としている人が多い。

苦手な理由は簡単で、圧倒的に家屋評価などの環境面の教育が乏しいからだ。

理学療法士・作業療法士の養成校の実習でも家屋評価をしっかりと学べる機会は皆無である。

しかし、急性期病棟や回復期病棟から退院した後に、自立を予想していた方が思わぬ形で自立が困難となるケースがある(下図)。


(無断転載禁止)

それは心身機能と家屋の状況が適合していないことが原因であることが多い。

したがって、家屋評価ありきの心身機能へのリハビリテーションが必要であり、在宅復帰が当たり前のこの時代においては家屋評価は必須のリハビリテーション技術と言える。

家屋評価×心身機能=理想のセラピスト という構図は今後常識となる。

投稿者
高木綾一

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