リハビリテーション技術はマネジメントの対象である

リハビリテーション業界には多くの技術が氾濫している。

養成校の講義
卒後の教育
県士会の研修
民間のセミナー
実習指導者の指導
から多くのセラピストは技術を学ぶ。

しかし、学ぶ技術の標準偏差は大きく、何がスタンダードな技術であるか全くわからない状態である。

しかも、多くのリハビリテーション部門は技術を管理していない。

なぜ、技術を管理しないのか?と管理者に問うと以下のような回答が返ってくる。

どんな技術でも患者が治ればいい
セラピスト個人の考えを尊重している
幅広い視点を取り入れている

これらは実に便利な言葉である。

表面的には、いかにも「利用者やセラピストのことを考えている」ように聞こえる。


しかし、現実的には「技術を野放し」にしているだけである。

本当に良いリハビリテーション技術であるかどうか?を測定するためには、一定の基準を設け、その基準をもとにリハビリテーションの効果測定をしなければならない。

様々な技術が管理されていない状況で導入されると、たとえ改善に至ったとしてもその機序やプロセスを説明するのは至難である。

サービス業の観点から、「セラピスト個人の考えを尊重する」ということ自体が狂っている発想である。

マクドナルドの店員
有名ホテルの従業員
東京ディズニーランドのクルー
などの個人の考えが尊重されているか?

それは否である。

個人の考えが尊重されたらサービス業なんて成立しない。

提供するサービスが標準化されているからこそ、顧客がそのサービスを求めるようになる。

リハビリテーション技術のマネジメントを放棄している管理者が多い今の現状は非常にまずいと言える。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科