GKDKNセラピストが組織を劣化させていく

G:学生に
K:厳しく
D:同僚
K:厳しく
N:ない
セラピストが多すぎる

通称、GKDKNセラピストだ!

みなさんの職場にはいないだろうか?
実習生には厳しく、職場の同僚とは議論できない自称職人肌セラピストが。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は実習生や後輩には異様に厳しいが、同僚セラピストや先輩セラピスト、医師、看護師とディスカッションできない人間が多い。

資格を取っていない相手や未熟なセラピストには自分の知識を上から目線で披露するが、相手が自分と同じスキル、あるいは他のジャンルの知識を持っていると急にディスカッションができなくなる。

こういう気質の人間は、自分が傷つくことを恐れる保守的な性格を有しているが、一方で、自分は職人であるとアピールすることで、自分の劣等感を隠そうとする。

GKDKNセラピストは、組織力の向上に何の役にも立たない。
ただただ、自分の理学療法、作業療法、言語聴覚療法に陶酔し、自分に惚れることが趣味な人間である。

そんな人間は一人職場に転職するか、合法的な方法で開業して一人で仕事をしてもらう方が良い。

そもそも組織は、理念を実現するために職員の総力を結集することに日々尽力をしている。

組織の中で、学生や後輩に偉そうにしても、何のイノベーションも起こらない。

セラピスト業界も養成校も専門職や他職種同士で議論できる人材の育成をしなければ、セラピストの価値の向上につながらない。

GKDKNセラピストの撲滅運動は、セラピスト業界の使命の一つであるとも言える。

医療機関や介護事業所にとって無駄な研修は山とある

診療報酬改定、介護報酬改定などの環境変化や事業所収益の低下が生じた時に、必ずと言って、取り沙汰されるものとして、「従業員への教育強化」がある。

接遇が悪いので接遇の教育をしよう
リハビリの質が悪いのでリハビリ部門の研修を強化しよう
介護職員の腰痛が多いので、移乗介助の研修をしよう
などが提案され、外部の研修に参加したり、内部より講師を選び研修が行われる。

研修にはコストがかかる。
外部研修では、参加コストや参加している時間の人件費コスト
内部研修では、会場の電気光熱コスト、講師の人件費コスト、参加者の人件費コスト、講師が研修に費やした時間コストなどが生じる
つまり、研修にコストがかかるということは、本来、研修には費用対効果、時間対効果が求められるということである。

費用対効果、時間対効果を別の表現で現すと、投資活動である。
投資とは「将来の資本を増加させるために、現在の資本を投じる活動」である。
つまり、研修を行うことで明確な資本の増加が必要である。
わかりやすく言うと、研修を行うことで、在院日数が低下する、褥瘡発生率が低下する、職員の離職が低下する、在宅復帰率が増加する、日当円が増加する、再入院率が低下する、稼働率が増加するなどの明確な効果が得られる必要がある。

果たして、多くの医療機関や介護事業所にて、行われている教育研修は資本を増加させているのだろうか?

リハビリテーション部門でよくある研修の形態は以下のものである。
1)セラピストが好きな内容の研修に自由に参加している
2)外部の先生を適当に招致して、研修会を開催している
3)セラピストが自主的に勉強会を開催している
4)研修費を支給して、外部の研修に参加させている
などである。

これらは果たして、医療機関や介護事業所の資本増加に寄与するものであるか?
筆者は多くの研修は無駄であると考えている。
投資効果を得るためには、自社の問題点を明確し、自社の理想と現実のギャップを埋める計画を立案し、その計画を実行するという極めて慎重な活動が必要である。

多くのリハビリテーション部門で行われている上記の研修形態は、計画に基づいた慎重な活動ではないし、自社の問題を中心に置いたものでもない。
多くの研修は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の個人の価値観やスキルを重視したものである。

セラピストや介護職に不足している技術や知識=自社の課題   にはならない

多くの事業所は研修を行うことが目的となっており、投資という本質的な目的を忘却している。
そのため、投資効果の低い研修ばかりを行っている。

企業がコストをかける以上、それは投資である。
研修は、あくまでも企業価値を上げるために存在しているのである。

ワークシフトを実践する人にとって2025年問題は最高のチャンス

15歳から64歳までの現役世代人口は2010年には8174万人、2050年には5001万人になっている。

その間、65歳以上の高齢者は800万人以上増加している。

これは何を意味するか?

医療、介護職が不足する
医療、介護報酬が上がらない
医療、介護職の賃金が上がらない
・・・・などが毎日のように新聞、ヘルスケア雑誌に記載されている。

しかし、マイナスなことばかりが起こるわけではない。

ワークシフトを実践する医療・介護従事者には、最高の市場が訪れている。

労働力が減る社会においては、有能な人材はより、輝きを増す。

マネジメント
コーチング
急性期から慢性期に対応できる医療・介護技術
医療・介護業界マーケター
技術開発
などの能力を有する人材は、医療・介護業界において益々、至宝の存在になる。

今後、そういった人材は、複数の病院や企業に勤務し、同時に高い報酬を受けるだろう。

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ワークシフトを実践する人にとっては今後の労働市場はブルーオーシャンである。

ワークシフトを達成するためには「連続的スペシャリスト」を目指す必要がある。

連続的スペシャリストとは
独自の専門分野を持ちながらも社会の変化に対応し、連続的に専門分野を取得していく人
である。

しかも、20代だろうが60代だろうが関係ない。

真のワークシフトは死ぬまで続けることに意義がある。

ブルーオーシャンの市場が現れるのではない。

ブルーオーシャンの市場を自分で造るのだ。

 

 

医療・介護情勢を踏まえると「脱職人」も悪いことではない

従来の医療機関や事業所の開設基準は、施設基準に主眼が置かれており、品質基準を求めてこなかった。

そのため、多くの医療・介護事業者が現れ、今やデイサービスのように過剰供給となっているものまで出てきている。

医療においても急性期病棟や回復期リハビリテーション病棟は、レッドオーシャン状態で、熾烈な競争にさらされている。

各事業所が施設基準の維持に重きを置いた運営をしたため、品質の悪い人材や理念、サービスが横行した感が否めない。

その結果、医療や介護事業のレッドーシャン化が進み、生き残りが目的となった経営や運営が散見する。

施設基準はもちろん重要であるが、品質基準もそれ以上に重要である。

品質基準の維持向上には企業の理念や総合力が試される。

企業の理念や総合力の弱い施設では品質基準を満たしていくことは不可能である。

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医療・介護サービスは有資格者が行う。

今の医療・介護従事者は職人的思考を持つ者が多く、品質基準についての判断能力は乏しい。

職人は常に自分のために働いており、自分が納得するか、しないか?が、仕事において重要である。

しかし、マーケットは社会的な品質水準を医療・介護事業所に求めている。

よって、医療・介護事業所は外部環境に合わせた品質基準の順守が重要である。

医師は、看護師や療法士が医師に対して何を求めているか?
看護師は、医師や療法士が看護師に対して何を求めているか?
介護士は、看護師や療法士が介護士に対して何を求めているか?
薬剤師は、医師や看護師が薬剤師に対して何を求めているか?
そしてあらゆる職種は国は、自身に何を求めているか?

このような想像力を持たなければ、技術職はどんどん時代にマッチしていかなくなる。

脱職人も決して悪いことではない。

 

医療介護施設の役割分担により連携が悪化する??

平成28年度診療報酬改定において総合入院体制加算の要件が強化された。

これは急性期機能の強化が図られたことを意味する。

国は「本物の急性期病院」を作りたいと考えている。

救急医療だけを専門に行い、地域の救急医療インフラの核となる病院を作りたい。

また、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟、老人保健施設にも施設基準要件が強化され、それぞれの施設の機能が強化されている。

でええ第256回中央社会保険医療協議会 総会  厚労省配布資料

 

しかし、機能が強化されることで部分最適のみが進み縦割り医療・介護サービスが増長する可能性がある。

逆説的になるが、「役割分担を進めるためには役割の隙間を埋める」 ことが重要であると言える。

役割の隙間を埋めるのは病院や施設間の話だけではない。
医師、看護師、薬剤師、療法士、介護士、事務職員、臨床検査、栄養士の間を埋める役割も重要である。

専門職養成だけが世の中の医療介護サービスの質を上げることはない。

専門職をどう活用するのかというマネジメントの視点がなければならない。

専門職であったり視野が狭い人が経営者や運営者であれば役割分担の間を埋めるマネジメントは正直難しい。

しかし、このことから目を背けていては、「真の医療介護施設の役割分担」はありえない。