セミナー説明
認知症のご利用者が自立した日常生活を長く継続していただくために、私たちに求められる関わり方は、現状のケアに満足しそのケアを続けていくだけでよいのでしょうか。生活機能が徐々に低下していくご利用者にとって、ケアスタッフの適切なサポートや関わり方によって、認知症の症状進行を緩やかにし生活機能の維持に繋がります。また、認知症のご利用者が失いかけていた自信や意欲の向上から自己効力感が維持され、生活における自立心が高まり、ご利用者にとって大きな尊厳の維持につながります。そのために私たちは、ご利用者が自立した生活を営むための支援がより効果的に行えるよう日々のケアを振り返り再考していく必要性がるのではないでしょうか。
本研修会では、4つのテーマから認知症ご利用者への日々の関わり方を再考することで、翌日からの現場ケアがより質の高いケアを提供するための下地を醸成していただきます。
[タイムスケジュール]
講座【1】9:45〜10:45
介護現場で働くスタッフのための認知症ケアの基本
〜認知症の正しい理解と関わりが出来てますか〜
講師:渡辺 哲弘 氏(株式会社きらめき介護塾 代表取締役/認知症介護指導者)
(内容)
・“介護職に必要な能力”って!?〜心身の状況に応じたケアの実践〜
・“寄り添う”って!?〜私達はいったい何をしたらいいの?〜
・“記憶障害”って!?〜認知症の進行度合いによって異なる特徴を理解しよう!〜
・“脳の仕組み”パート(1)〜ふだん私達は、どんな風に考え、行動しているのか〜
・“脳の仕組み”パート(2)〜その不可解な行動は、すべて脳の中で起こっている!〜
・“どうして拒否するの?怒り出すの?”〜良かれと思ってやっているケアが上手くいかない理由を探る〜
講座【2】10:55〜12:10
認知症の人への伴走支援
〜認知症の人が認知症の人を支える「ピアサポート」での活躍の場づくり〜
講師:川畑 智 氏(株式会社Re学 代表取締役/理学療法士)
(内容)
・知ってるつもり…認知症基本法って?
・共生社会の実現のための認知症偏見チェック
・認知症が及ぼす介護への影響と介護原因との関係
・MCI、初期認知症の時期の取り組み 「For」から「with」への意識改革
・[対談]経験専門家(=認知症当事者者)が語る 「わたしが大切にしていること」
【ランチョンセミナー】12:20〜13:05
[参加自由]
総合的認知症ケアの理解
【みんなで情報交換】13:10〜13:50
[参加自由]
今わたしが感じている認知症ケアの現場での困りごと
講座【3】14:00〜15:15
間違いだらけの認知症ケア!
〜認知症の人を不安・不穏にさせないコミュニケーション技術〜
講師:椎名 淳一 氏(9612G Project代表/認知症介護指導者)
(内容)
・認知症の人がなぜズレた行動や言動をしてしまうのか?
・認知機能障害(中核症状)との関連を考える
・認知症の人への介護職員のケアがズレた対応(一見いつも通りだが、声掛けが伝わらない、不安で混乱!ケアをしようとしてさらに興奮!、普段は行動的だが、最近ボーっとしている)
・どうやってコミュニケーションを取ればいいか
・認知機能障害(中核症状)に応じた関わり方
・「注意障害」「失認・実行機能障害」「記憶障害」「見当識障害」を理解した対応方法 など
講座【4】15:30〜16:45
事例から具体的ケアの支援方法が分かる!介護現場で「困難事例」とされる認知症利用者への介護場面の対応から
〜その時困ったのは「誰」なのか?〜
講師:上村 尚之 氏(社会福祉法人白寿会 常務理事/福岡県認知症介護指導者会 執行部)
(内容)
・認知症ケアの目的
・専門職の評価的な理解から分析的・共感的理解へ思考が変わることで、認知症高齢者の捉え方が変わる
・「なぜ、入浴を嫌がるのか?」
・中核症状の影響とBPSDの症状に整理しながら支援方法を検討する
・専門職の認知症に関する理解不足
・拒否や抵抗の多くは「認知症だから仕方がない」という偏見や諦めの対応が原因