「仕事が出来なくてすみません」の謝罪は丁寧だが、仕事が全く出来ない人はどうすればいい?

人間はミスをする動物である。

しかし、何度も同じミスをしないのも人間である。

残念ながら、医療や介護の現場には、何度も同じミスを繰り返す人がいる。

このような人の特徴として、「仕事が出来なくてすみません」という謝罪は異様に丁寧で、自分のミスについて嘆くことが得意なことである(図1)。

だが、ミスについて嘆くだけで、いつまでたっても同じミスを繰り返し、仕事ができるようにならない。


図1 謝罪はするが改善はしない人

このような人は、自分がミスをしたという劣等感を、嘆くことで浄化させている。

嘆くことでミスを記憶から消し去る。

そして、劣等感を浄化させることができれば、自分のミスを改善していくための視点を失い、通常と何ら変わらない仕事のやり方を日々、繰り返す。

さて、このような部下に対してはどのように対処をすればよいのだろうか?

キーワードはメタ認知である。

①自分自身が謝罪をすることで全てが許されると勘違いをしていること

②仕事のミスに対して、何の振り返りもなく、漫然と仕事を行い、再びミスを繰り返すこと

③ミスをなくすことが本当の謝罪であることに気づいていない

これらのことを本人に、認識をしてもらうことが重要である。

「自分がどのような認識を持っているか?」を認知する、これがメタ認知である。

メタ認知が乏しいと、同じミスを繰り返す人になりやすい。

また、嘆くことで自分のミスを忘れようとする人は、レジリエンスが低い人でもある。

レジリエンス
ストレスや困難に対して抵抗力、回復力を持つこと
近年のビジネスでは注目されている能力

レジリエンスが低い人ほど、問題の本質から逃避する傾向がある。

しかし、逃避すればするほど、問題が再燃するため、悪循環となる。

謝罪をすることで楽になるのではなく、仕事のミスがなくなることで楽になるという認識を持ってもらう必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

社内評論家リハビリ職種は組織にとって害悪である

治療に対する評論
マネジメントに対する論評
他部門に対する論評
決して、代替案を示さない
自分が責任を取る行動はしない

このような人物を「社内評論家」と言う(図1)。

社内評論家は、自ら行動することなく、組織やスタッフに対して批判のみを繰り返すため、社内の士気を著しく下げる。

社内評論家はまさに百害あって一利なしの人物である。

社内評論家の心理状態は
①行動することで責任を負いたくないという保身
②自分の実力が露呈することを恐れている
③自分のポジションを守りたいため、知ったかぶりをしてしまう
などが考えられる。

また、社内評論家が経営者や上司などの責任のある人の場合、その組織の士気は劇的に下がる。


図1 社内評論家は百害あって一利なし

経営者や上司が社内評論家の場合、現場の状況を正確に評価せずに、様々な改革案を一方的に提示することや、現場からの提案を重箱の隅をつついて、提案を拒絶することが多い。

そのため、現場の士気は下がり、従業員のモチベーションは著しく低下する。

社内評論家が経営者や上司の場合、その組織には未来がないため、配置転換を希望するか、転職することも考えるべきである。

一方で、読者ご自身が社内評論家にならないように注意しなければらない。

そのためには、課題に対して論評や批判もしても良いが、それに対して具体的な対案を示し、自らが課題に関与する姿勢を見せることが重要である。

課題に対して他人事にならずに、自分事として捉える姿勢が周囲からの共感や支持を生むことになる。

また、「社内評論家を認めない」という組織風土も大切である。

うちの会社ダメだよね
あの上司、使えないよね
あんなことしても意味がないよね
などの他人事を言う社内評論家は、組織として、一切評価をしない姿勢を打ち出すことも重要である。

そのためには、理念、ビジョン、人材育成方針などを明示し、それを基に人事考課を行う必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

なぜ、リハビリ部門にやらされ管理職は多いのか!?

経営者から院長に言われたから管理職を引き受けました。
給料が上がるから管理職を引き受けました。
管理職を引き受けなければ、その組織に居ることが出来ないと思い引き受けました。

このような理由で、リハビリ部門の管理職を引き受けている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がいるが、はっきり言って「管理職を舐めすぎ」である。

管理職は
リハビリテーション部門やそこで働く従業員の生活や命を守る職位である。

時に、職員を厳しく指導し
時に、経営者や院長に対して苦言を呈し
リハビリテーション部門の経営を健全化させる全責任を担っているのがリハビリテーション部門の管理職である。

本心では管理職をやりたくないのに、管理職を引き受けてしまった人を「やらされ管理職」と言う(図1)。

図1 やらされ管理職

やらされ管理職の人は、管理職を拝命した後に管理職を引き受けたことを後悔することが多い。

管理職を前向きに取り組む動機づけが乏しいので経営者や上司からの要求、組織内における人間関係の調整、リハビリテーション部門としての売り上げの確保などに強いストレスを感じるようになる。

その結果、管理職を辞めたい、ひいては、会社を退職したいという気持ちが高まり、退職に至ることが多い。

管理職が退職すれば、一時的に組織は混乱状態となる。

「管理職をやりたくない」のに「管理職を引き受ける」ことは、職業人としての判断が甘すぎると言わざる得ない。

しかし、一方で「管理職をやりたくない人」に「管理職に就かせようとする」会社側も、管理職を舐めすぎである。

このような会社は
管理職の位置づけが低い
管理職の育成を放置している
管理職を年功序列で就かせる
管理職の任命基準はない
管理職の離職率が高い
などの状況が多い。

管理職とは大きな責務と権限を担う職位である。

その職位を軽んじるような考えを持つ組織や個人がいると、組織は常に崩壊の危機に瀕する。

「やらされ管理職」を防止するためには次のような方策がある。
①職能基準書を作成し、管理職の役割、権限を明確にする。
②入職段階から人材育成を進め、管理職の適性の有無を判断する。
③管理職枠の採用を進め、管理職希望者を確保する。
④管理職の役割、権限に見合った給与等の条件を整える。

上記のような取り組みをしていない組織は、常に行き当たりばったりで管理職を抜擢する傾向がある。

皆さんの組織には「やらされ管理職」はいないだろうか?

もし「やらされ管理職」がいるのであれば、組織に根深い問題が存在していると思ってよいだろう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

これからのリハビリ部門運営のキーワードは「生産性向上」!

リハビリテーション部門は出来高部門である。

そのため、医療機関や介護事業所の経営者や管理者はリハビリテーション部門にできるだけ多くのレセプト算定につながる行動を求める。

医療機関であれば、一日18単位
訪問リハビリなら一日6件
通所リハビリならハマネ加算算定80%以上
などのノルマが課せられることが多い。

確かに、売上確保のためのノルマの設置は、組織運営にとって重要であり、安定的な売り上げなしに組織を持続させることはできない。

しかし、売上を維持・向上させていくときに、留意しなければならない点がある。

それは、仕事における生産性を高め、最小の努力で最大の効果を出す組織作りである。

毎日の業務を疲労困憊・忙殺の状態で続けることは困難である。

よって、事務作業、情報収集、患者対応などを効率的に行い、臨床にあてる時間を増やしていくことが重要となる。

経営者や管理者が生産性向上のための取り組みを怠ると、現場で働くリハビリ職種のモチベーションは確実に低下する(図1)。

図1 生産性の向上の取り組みが乏しいため忙殺されるリハビリ部門

国は、医療や介護の生産性向上を国策としている。

患者の高齢化が進んでいること
高齢者の数が急増していること
社会保障費の財源が厳しいこと
認知症患者が増えていること
多職種連携の必要性が増していること
などの理由から生産性向上が必須と考えられている。

このような背景より2024年度介護報酬改定において生産性向上推進体制加算が新設された。

生産性向上に資する取り組みを行い、その効果判定を行えば算定できる加算である(図2)。

図2 生産性向上推進体制加算の概要

この加算は非常に画期的なもので、生産性の向上に関するコストを加算算定により回収できる仕組みになっている。

生産性向上推進体制加算が組織運営にとって良い影響を与えることができれば、今後、診療報酬改定にも導入される可能性がある。

リハビリ部門の生産性向上に次のような取り組みが報告されている。

1)電子カルテの導入
2)業務連絡ツールの導入
3)看護部門とリハ部門のスケジュールの可視化
4)リハビリテーション計画書のテンプレート化
5)研修のオンライン化
6)トランスファー技術の獲得
7)評価ツールの電子化

今後、こういったことに取り組まずに売上目標だけを追いかけるリハビリ部門は疲弊し、リハビリ職種の不満が鬱積し、離職など取り返しのつかない事態が生じるだろう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

第20回島根県理学療法士学会にて基調講演を担当せていただきました!

2023年5月20日 土曜日に株式会社WorkShift 代表取締役 高木綾一が
第20回島根県理学療法士学会にて基調講演を担当させていただきました。

講演テーマは
「これからの理学療法士としてのキャリアデザイン~セルフマーケティングの視点~」でございました。

理学療法士にセルフマーケティングが必要な社会的背景
セルフマーケティングの基本戦略
ステークホルダーの明確化
自己のメディア化
などについて事例を用いて解説をさせていただきました。

基調講演終了後には、参加者の方より鋭い質問をいただきまして、質疑応答も白熱したものになりました。

私、高木綾一が「リハビリテーション職種にキャリアデザインの考え方が浸透していないことは社会課題である」と考え、その課題解決に寄与したいと考え、株式会社WorkShiftを設立し起業したのが2014年でした。

起業後、キャリアデザインに関する書籍の出版、キャリアカウンセリング、キャリアデザインに関するセミナーを開催しておりまたが、この数年は多くの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の学術団体よりキャリアデザインに関する研修講師の依頼を頂くようなりました。

今回も歴史ある島根県理学療法士様より、基調講演のご依頼を頂いたことを大変光栄に思うとともに、リハビリテーション職種のキャリアデザインの推進という使命を全うしなければならないと強く感じました。

この度は、第20回島根県理学療法士学会
大会長    高見由美先生
準備委員長  野口瑛一先生
担当座長   藤丘 政明先生
県士会会長  小川昌先生
県士会副会長 江草典政先生
学会運営スタッフの皆様方
には大変お世話になりました。

厚く御礼を申し上げます。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授