PT・OT・STのみなさん!周りから応援されるキャリアデザインをしましょう!

キャリアデザインの本質は「自己決定」である。

自分自身の価値観に基づき、自分自身で行動を決定する。

自己決定ではない、他者決定のキャリアデザインはモチベーションが継続せず、いつしか、「環境の奴隷」と化してく。

よって、自己決定の精神でキャリアデザインを進めることは最重要課題であると言える。

しかし、一点、留意しなければならないことがある。

それは、「自身のキャリアは他者に影響を与える」という視点である。

人間は一人では生きていけない。

社会的なコミュニティー中で生きている。

よって、自分の行動は他者に影響を与える。

その影響は、良い影響もあれば悪い影響もある。

したがって、自己決定だけでなく、他者の配慮もキャリアデザインには必要である。

図1は自己決定が周囲に与える影響の違いを示している。

図1 応援される人と応援されない人

キャリアデザインは自己決定が原則であるが、自己決定に至るまでに自分自身の興味・関心・価値観を自身と利害関係のある人たちに自己開示することが大切である。

興味・関心・価値観を自己開示することで、周囲の人たちは「この人はこんな夢があるんだ」「この人はしっかりした考えを持っている」と感じるようになる。

その結果、新たな行動を決断した時に、周りの人からの応援を得やすくなる。

しかし、日頃から利害関係のある人たちとコミュニケーションをとらず、自身の想いを語らなければ、周りの人は「あの人は何を考えているのかわからない」と感じる。

その結果、新たな行動を決断した時に、あまりに唐突な行動に周囲は驚き、唖然として、最終的には批判される可能性もある。

人生において新しい選択をした時は、それなりの困難を伴う。

その困難を乗り越えるためには、自分の能力だけではなく、友人、知人などの支援が必要である

しかし、支援をしてもらうためには、「応援されるキャリアデザイン」が必要となる。

「あいつの夢を応援してやろう」、「あの人が困っているなら助けてあげよう」と思われることが重要である。

そのためには、常に自分の興味・関心・価値観を周囲の関係者に語るといったオープンマインドな姿勢を持つことが重要となる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

専門性を極める症候群が逆にキャリアを阻害する

リハビリ職種のキャリアデザインでは、大半の人が自らの専門性を高める取り組みを行うことが多い。

リハビリ職種として「専門性を高めることに重きを置いている価値観」がある人が専門性を高める取り組みを行うことは何ら問題がない。

問題は、「専門性を高めることに重きを置けない価値観」の人が専門性を高める取り組みを行い、そのことにより、ストレスを感じていることである(図1)。

図1 専門性を極める症候群はストレスを生む

リハビリ職種は、専門職であることから一定の専門性を高めることは重要である。

しかし、専門職を高めることに固執をしてしまうと、自身の興味・関心のある分野に取り組むことを躊躇してしまう。

リハビリ職種は、「専門性を高めることが重要である」と学生時代から教育されてきた。

また、PT・OT・STの職能団体も専門性を高めることがリハビリ職種として重要であることを啓蒙し、それに基づいた認定資格の取得を推奨している。

リハビリ職種が「専門性の向上」以外のキャリアを歩むことは、「悪」であるという文脈が作られていると言っても過言ではない。

そのため、リハビリ職種の中には、他の分野に興味はあるが、それがリハビリ職種の専門性とは異なる分野のために、取り組むことが出来ない人がいる。

さらに、「リハビリ職種なのに他の分野に興味を持つ私は最低な人間だ」と自己嫌悪に陥る人までいる。

まさにこれは、専門性を極める症候群がキャリアを阻害している事例である。

リハビリ職種はリハビリの専門性に固執しなければならないというのは典型的なベーシックミステイクと言える。

ベーシックミステイク
人は物事を受け取り方を悪い方向性に解釈し、正しい認知を歪めてしまう

「リハビリ職種=専門性の向上こそがキャリアデザインである」というのは本人が勝手に思い込んでいることであり、リハビリ職種であっても他の分野に興味があるなら、他の分野で自らの才能を伸ばすことの方がよっぽど合理的である。

かく言う私も理学療法士という職種ながら、マネジメントやキャリアデザインといった他の分野でキャリアを構築している。

もし、理学療法だけに固執をしていれば、今の自分はいないと断言できる。

キャリアデザインは、その人らしさを発揮することが目的の一つである。

その人らしさを発揮できない専門性の向上であるならば、専門性の向上はキャリアデザインを阻害する要因にしかならない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

「仕事が出来なくてすみません」の謝罪は丁寧だが、仕事が全く出来ない人はどうすればいい?

人間はミスをする動物である。

しかし、何度も同じミスをしないのも人間である。

残念ながら、医療や介護の現場には、何度も同じミスを繰り返す人がいる。

このような人の特徴として、「仕事が出来なくてすみません」という謝罪は異様に丁寧で、自分のミスについて嘆くことが得意なことである(図1)。

だが、ミスについて嘆くだけで、いつまでたっても同じミスを繰り返し、仕事ができるようにならない。


図1 謝罪はするが改善はしない人

このような人は、自分がミスをしたという劣等感を、嘆くことで浄化させている。

嘆くことでミスを記憶から消し去る。

そして、劣等感を浄化させることができれば、自分のミスを改善していくための視点を失い、通常と何ら変わらない仕事のやり方を日々、繰り返す。

さて、このような部下に対してはどのように対処をすればよいのだろうか?

キーワードはメタ認知である。

①自分自身が謝罪をすることで全てが許されると勘違いをしていること

②仕事のミスに対して、何の振り返りもなく、漫然と仕事を行い、再びミスを繰り返すこと

③ミスをなくすことが本当の謝罪であることに気づいていない

これらのことを本人に、認識をしてもらうことが重要である。

「自分がどのような認識を持っているか?」を認知する、これがメタ認知である。

メタ認知が乏しいと、同じミスを繰り返す人になりやすい。

また、嘆くことで自分のミスを忘れようとする人は、レジリエンスが低い人でもある。

レジリエンス
ストレスや困難に対して抵抗力、回復力を持つこと
近年のビジネスでは注目されている能力

レジリエンスが低い人ほど、問題の本質から逃避する傾向がある。

しかし、逃避すればするほど、問題が再燃するため、悪循環となる。

謝罪をすることで楽になるのではなく、仕事のミスがなくなることで楽になるという認識を持ってもらう必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)
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修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

年末のご挨拶に変えて2024年を振り返ります

株式会社WorkShift代表取締役の高木綾一です。

2024年は新型コロナウイルスの騒動は完全に落ち着き、過剰な感染対策が行われることは皆無となりました。

しかし、以前と比較して、オンラインサービスの普及が急速に進んだため、リハビリテーション業界の教育研修や学術大会もオンラインが主流となっています。

オンラインは、現地に行かなくてよい、交通費がかからない、見逃し配信があるなどメリットは大きいのですが、対人交流が少ない、技術の習得が困難である、集中力が欠けるなどのデメリットも多いのも事実です。

弊社も含めて研修を実施している会社は、対面の研修事業の集客は以前よりかなり苦戦をしています。

一言でいえば、オンライン研修が流行し、対面研修が廃れている状況と言えます。

2024年は弊社も対面セミナーを数回試みましたが、2019年以前と比較して集客は30%まで落ち込んでいます。

先述したように対面セミナーでなければ、技術の習得は困難です。

リハビリ職種は技術職ですので技術なくして専門性は語れません。

2025年は対面セミナーの在り方を模索し、一つの答えを出したいと考えております。

また、2024年は健康の大切さを実感する一年となりました。

2023年の年末から2024年の年始に新型コロナに感染し、症状が寛解した直後に、インフルエンザに感染しました。

実は、私の人生で初めてインフルエンザに感染しました。

そのためか、症状がかなりひどく10日ほど熱発が続き、最終的には咳喘息となり、咳喘息の症状が3月まで残りました。

また、2024年8月には突如として左膝に疼痛が発生し、その後、関節水腫が発症し、10月下旬までひたすらに穿刺を繰り返す日々を送りました。

この間、在宅リハビリの仕事は中断となり、関係者の方に大変な迷惑をかけることになりました。

本当に2024年は散々な健康状態であり、仕事のパフォーマンスも30%以上低下したと思います💦。

来年はもう48歳。

より、健康に留意をして経営者として邁進をしたいと思います。

そんな中でもうれしいことが三つありました。

一つ目は、2024年8月に「リハビリテーション職種のマネジメント 結果を出せる組織づくり編」を出版することができたことです。

この書籍は、これまでの高木綾一のマネジメントの知識や経験を凝縮したものとなっています。

多くの方にご購読をいただき、大きな反響を頂きました。

一方で、次の書籍の出版に向けて、自身がさらにブラッシュアップしなければならないと危機感も感じた次第です。

二つ目は、息子が履正社高校の野球部での活動を2年間6か月の間、しっかりとやり切ったことです。

息子の努力を一番近くで見てきた親としては、息子の成長がなによりもうれしい出来事でした。

大学でも野球を継続するので、引き続き、彼の成長を見守りたいと思います。

三つ目は、2024年12月1日をもって、株式会社WorkShiftが10周年を迎えたことです。

10周年を迎えるのは創業時の一つの目標でしたので、それが実現し、感慨深かったです。

10周年を迎えた気持ちは「株式会社WorkShift創立10周年!!この10年間を振り返ります!!」に綴らせていただきました。

10周年を祝うために、家族と食べたケーキは格別でした(笑)。

さて、医療・介護業界は2025年から2040年にかけて、前時代とは異なる新しい次元の課題が山積しています。

大都市圏では高齢者が急増する最終局面に入り、利用者の獲得が激化するでしょう。

しかし、大都市圏以外は人口減少の影響がいち早く表れ、高齢者の数も減少し、医療・介護事業の選択と集中及び業態変化が求められるでしょう。

また、日本全体で現役世代の人口が減少することで労働者が不足が加速します。

運送業界、建築業界、介護業界が特に影響を受けるでしょう。

今後は利用者不足ではなく、労働者不足で事業が困難となる医療法人や介護事業所が続発すると思われます。

このような時代に対応するため、より組織マネジメントや人材育成が重要となります。

よって、2025年以降は弊社の存在価値が益々、試される時代になりそうです。

2025年は次の10年間に向けて弊社のビジョンやマネジメントを再構築いたします。

WEBサイトを含めた広報の在り方
対面セミナーの在り方
新刊書籍の企画・執筆
キャリアカウンセリングの強化
ビジネスパートナーとのコミュニケーション
経営資源の効率的運用
などに取り組みたいと思います。

2024年の締めくくりに尊敬している経営者仲間の津崎 武志社長(作業療法士)と生野達也社長(理学療法士)と飲みまくりました!

いつもありがとうございます!

皆様、どうぞ2025年も何卒宜しくお願い致します。

よいお年をお迎えくださいませ。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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理学療法士
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修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

社内評論家リハビリ職種は組織にとって害悪である

治療に対する評論
マネジメントに対する論評
他部門に対する論評
決して、代替案を示さない
自分が責任を取る行動はしない

このような人物を「社内評論家」と言う(図1)。

社内評論家は、自ら行動することなく、組織やスタッフに対して批判のみを繰り返すため、社内の士気を著しく下げる。

社内評論家はまさに百害あって一利なしの人物である。

社内評論家の心理状態は
①行動することで責任を負いたくないという保身
②自分の実力が露呈することを恐れている
③自分のポジションを守りたいため、知ったかぶりをしてしまう
などが考えられる。

また、社内評論家が経営者や上司などの責任のある人の場合、その組織の士気は劇的に下がる。


図1 社内評論家は百害あって一利なし

経営者や上司が社内評論家の場合、現場の状況を正確に評価せずに、様々な改革案を一方的に提示することや、現場からの提案を重箱の隅をつついて、提案を拒絶することが多い。

そのため、現場の士気は下がり、従業員のモチベーションは著しく低下する。

社内評論家が経営者や上司の場合、その組織には未来がないため、配置転換を希望するか、転職することも考えるべきである。

一方で、読者ご自身が社内評論家にならないように注意しなければらない。

そのためには、課題に対して論評や批判もしても良いが、それに対して具体的な対案を示し、自らが課題に関与する姿勢を見せることが重要である。

課題に対して他人事にならずに、自分事として捉える姿勢が周囲からの共感や支持を生むことになる。

また、「社内評論家を認めない」という組織風土も大切である。

うちの会社ダメだよね
あの上司、使えないよね
あんなことしても意味がないよね
などの他人事を言う社内評論家は、組織として、一切評価をしない姿勢を打ち出すことも重要である。

そのためには、理念、ビジョン、人材育成方針などを明示し、それを基に人事考課を行う必要がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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理学療法士
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