リハビリ部門の経営者や管理者の中には、「人材が育たない」「思うようなスタッフがいない」と嘆く声が多い。
しかし、その一方で、採用や求人活動に力を入れている事業所は少ないのが現状だ。
果たして、適切な採用を行わずに、理想の人材が自然と集まるものなのだろうか。
経営の本質は、「ヒト・モノ・カネ」のバランスにあると言われる。
その中でも、特に「ヒト」の要素が最も重要であり、どれだけ設備を整え、財務基盤を強固にしても、適切な人材がいなければ事業の成長は望めない。
つまり、経営の成否は採用活動にかかっていると言っても過言ではない。
採用活動を軽視するリスク
多くのリハビリ部門では、求人を出せば応募が来るという受け身の姿勢が目立つ。
ハローワークや一般的な求人媒体に掲載するだけで、人材が集まると思い込んでいるケースが多い。
しかし、近年の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の就職市場は変化しており、求職者側の選択肢が増えている。
優秀な人材は、ただ求人票を見て応募するのではなく、企業のビジョンや職場環境、キャリアアップの仕組みを細かくチェックした上で就職先を決める。
そのため、単に「人が来ない」と嘆くだけではなく、そもそも自社の採用活動が適切に行われているのかを振り返る必要がある。適切な採用活動を怠れば、
採用を経営戦略の一環とする
採用活動は単なる人員補充ではなく、経営戦略の一環として考えるべきである。
例えば、
- 採用のターゲットを明確にする
- どのようなスキルや価値観を持つ人材を求めるのかを具体的に設定する。
- 魅力的な職場環境を整備する
- 給与や福利厚生の見直しはもちろんのこと、キャリアパスや教育体制を整備し、成長できる環境をつくる。
- 発信力を強化する
- 自社の魅力を伝えるために、採用専用のWebサイトやSNSを活用し、求職者に向けた情報発信を行う。
- 採用プロセスを最適化する
- 面接や選考の仕組みを見直し、求職者とのミスマッチを防ぐ工夫をする。
まとめ
「人材が育たない」と嘆く前に、まずは採用活動を見直すことが重要である。
リハビリ部門の成功は、適切な人材を採用し、育成することで初めて実現する。
採用に本気で取り組めば、理想の組織を作ることができる。
採用こそが運営の要であり、事業の未来を左右する最も重要な要素なのだ。
投稿者
高木綾一
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授