中年セラピストのキャリアが深刻化させるキャリアプラトー問題

「キャリア・プラトー」
組織内で昇進・昇格の可能性がなくなる、又は、本人がキャリアが停滞したと感じ、仕事に対するモチベーションが低下や今後の人生の展望が描くなくなることを言う。

キャリアデザインは20代から30代のセラピストに必要だと考えられがちであるが、キャリアプラトー問題に直面する40代以降の中年セラピストにとってもキャリアデザインは必要である。

中年セラピストのキャリアプラトーには次のような事例が多い。

①若い頃は知識や技術が乏しいため、自己研鑽や仕事に向き合えば、自己の成長を感じる。しかし、中年になると一定の知識や技術があるため、新たな学びや経験に対する動機づけが乏しくなってくる。

②長く勤めている医療機関や介護事業所であれば何らかの役職が与えられる。しかし、役職は無尽蔵にあるわけではないため、昇進や昇格と言う機会が中年では少なくなり、後は、ひたすら定年まで働くだけの状態となり、仕事における目標を失う。

キャリアプラトーに対する対策として以下のようなものがある。

コミュケーション
①組織や上司と自身のキャリアの方向性、今後の希望、自身の仕事における価値観などについて常にコミュケーションを取っておく。そのことにより、組織や上司より自身にマッチした仕事が提供される可能性を高めておく。

危機感
②危機感は人間の行動を生じさせる重要な因子である。そのため、今後の仕事や自身の人生におけるリスク分析を行い、リスク回避のためにどのような行動が必要であるかを明確にしておく。

アンラーニング
③アンラーニングを進める。アンラーニングとは「学習棄却ともよばれ、持てる知識・スキルのレパートリーのうち有効でなくなったものを捨て、代わりに新しい知識・スキルを取り込むこと」である。情報化が進んでいる社会では5年前の知識や経験は役に立たないことが多く、知識や経験のアップデートが必須である。

現在、40代、50代のセラピストはセラピスト不足時代に就職しており、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の資格さえ持っていれば、就職にも困らずに、比較的安定した給与をもらえた世代である。

つまり、強い競争社会にいなかった世代であるため、キャリアについて考える必要性が低かったとも言える世代である。

それゆえに、キャリアプラトーを解決するための信念や知識に乏しいと言えるだろう。

中年セラピストこそキャリアデザインが必要である理由はそこにある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授