権限を与えずに責任を取らせる経営者や管理者はマネジメントのド素人

医療機関や介護事業所は一般企業と異なりマネジメントの作用が乏しい。

そのため、役割分担が曖昧となっている組織も多い。

また、院長や事務長などの経営層は経費削減の理由から、できるだけ多くの役割を特定の個人に依頼する傾向がある。

その方が、役職手当を削減できるからである。

しかし、このやり方には相当な問題がある(図1)。


(図1)無断転載禁止

組織設計の原則の一つに権限責任一致の原則というものがある。

役割に与えられる権限の大きさは、責任と同じ量でなくてはいけないというものである。

図の事例の漫画では、OT部門を統括する権限がないのに、OTの人材育成という責任が生じている。

つまり、権限<責任という状況である。

責任を果たすために十分な権限がないため、取り組む前から「あきらめ」が生まれる可能性が高い。

また、権限がない状況でOT部門にPTが介入するとOTからの反発が当然予想される。

そのため、PTとOT双方に不満が生じ、従業員満足度も著しく低下するだろう。

「権限も与えずに責任を持て」という発言は、組織設計を全く知らないマネジメントのド素人である。

権限を持っていない人に責任を負わせる行為は、上司の自己満足であり、担当者のやる気を軽視するという悪魔の所業である。

したがって、権限と責任を一致させるというのは大切なことである。

あなたの職場はいかがでしょうか?

権限と責任が一致しているでしょうか?

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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