リハビリ職種40代・50代からのキャリアチェンジ 新たな可能性を探ろう

40代、50代とキャリアを重ねてきたリハビリ職の皆さん。

これまで築いてきた実績と経験に誇りを持ちながらも、「このままでいいのか?」と心のどこかで不安を感じてはいないだろうか?

リハビリ業界は、技術革新や社会の変化とともに大きく進化している。

患者のニーズも多様化し、従来のリハビリテーションの枠を超えた新たな役割が求められている。

そうした変化の中で、自分のキャリアを見つめ直し、新たな道を模索することは決して遅くはない。

40代・50代のキャリアチェンジは遅すぎない

「この年齢でキャリアチェンジなんて無理では?」そう思うかもしれない。

しかし、実際には40代・50代だからこそ開ける道も多い。

例えば、臨床経験を活かしてリハビリ関連のコンサルタントとして活動する道がある。

現場のリアルな課題を知る者として、企業や施設へのアドバイスは非常に価値がある。

また、教育の分野に進み、後進の指導に携わることもできる。

研修講師や大学・専門学校の講師として活躍することで、自身の知識と経験を次世代に伝える役割を担うことができる。

また、マネジメントの経験があるなら、介護施設や訪問リハビリ事業所の管理職に進む道もある。

施設の運営を担い、チームをまとめる役割は、現場経験があるリハビリ職ならではの強みを発揮できるポジションだ。

地域包括ケアシステムの推進に伴い、地域リハビリテーションのニーズも高まっている。

リハビリ専門職が地域に根ざして活動する機会も増え、多職種連携を通じて新しい価値を生み出すことも可能だ。

キャリアチェンジを成功させるための具体的なステップ

キャリアチェンジには準備が不可欠だ。

やみくもに転職を考えるのではなく、しっかりと戦略を立てることが重要である。

自己分析を行う

自分の強みや得意分野は何か?

どのような働き方をしたいのか?

これまでの経験の中で、他業界でも活かせるスキルは何か?

市場リサーチを行う

どの分野でリハビリ職のスキルが求められているのか?

自分の経験を活かせる職種にはどのようなものがあるのか?

どんな資格やスキルが必要になるのか?

スキルアップとネットワーク構築

必要な資格や知識を習得するために、セミナーや研修に参加する。

すでにその分野で活躍している人と交流し、実際の仕事内容を知る。

キャリアカウンセリングを活用し、自分に合った道を探る。

小さく始める

いきなり転職するのではなく、副業として新しい分野に関わってみる。

ボランティアやプロボノ活動を通じて経験を積み、現場の感覚を掴む。

リハビリ職の新たな可能性とは?

リハビリ職は、単に「治療する人」ではなく、「社会の中で人々の生活を支える専門家」である。

これまで培ってきたスキルは、想像以上に多様な分野で活かすことができる。

コンサルティング・教育

企業向けの健康アドバイザー

研修講師、大学・専門学校の非常勤講師

セミナー運営やオンライン教育事業

マネジメント・経営

介護施設や訪問リハビリ事業の運営管理

自ら起業し、リハビリ関連の事業を展開

地域活動・福祉

地域包括ケアの推進役

自治体やNPOと連携した地域リハビリプログラムの企画

高齢者や障がい者支援活動

リハビリの知識は、医療・福祉・教育・ビジネスの境界を超えて活用できる。

これまでのキャリアを土台に、新たなフィールドで活躍するチャンスは無限に広がっている。

40代・50代からのキャリアチェンジは、不安を伴うものかもしれない。

しかし、これまで積み重ねてきた経験やスキルは決して無駄にはならない。

むしろ、それを活かせる新たなフィールドが待っている。

「もう遅い」と諦めるのではなく、「今だからこそできることがある」と考え、一歩踏み出してみてほしい。

新たな可能性に向かって挑戦することで、充実したキャリアの後半戦を築くことができるだろう。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

リハビリ職種の職人肌キャラに管理職が務まらない理由

リハビリ職種においていわゆる「職人肌」の人が管理職に向かない確率が100%に近い。

臨床は熱心なのに、管理業務は稚拙・無関心である。

なぜ、こんなことになるのか?

次のようなことが原因と考えられる。

1. マネジメントと専門技術の違い
職人肌の人は、自分の技術や知識を極めることに価値を見出しやすく、臨床に強いこだわりを持つ。
しかし、管理職の役割は「組織を運営し、チームをまとめ、成果を最大化すること」であり、個人の技術力とは異なるスキルが求められる。
個人からチームへ関心を向けることが難しいという根本的な問題を抱えている。

2. チームワークの軽視
職人肌の人は、自分のやり方にこだわりが強く、「自分が正しい」という意識が強い。
そのため、チームメンバーの意見を聞かず、一方的に指示を出したり、部下のやり方に不満を持ったりする。
リハビリテーションは多職種が連携して利用者にケア・リハビリテーションを提供する場なので、コミュニケーション不足や協調性の欠如は大きな問題になる。

3. 業務の属人化と育成の難しさ
「自分のやり方がベスト」と考える職人肌の人は、標準化された業務プロセスを作るのが苦手である。
標準化された業務がないため、部下が成長する機会を奪ったり、管理職本人が不在になると業務が滞ったりするリスクが生じる。

4. 視野の狭さと経営視点の欠如
職人肌の人は、臨床の細部にこだわるあまり、組織全体の利益や経営的な視点を持ちにくい。
リハビリテーション部門の管理職には、患者の満足度だけでなく、コスト管理、人材確保、業務効率化などの視点が求められるため、「良い臨床を提供すること」だけは、組織運営が困難となる。

職人肌を管理職にしないためには、専門職と管理職の複線型のキャリアパスを運用することが効果的である。

専門職コースの設置:技術や技能を極める「スペシャリスト」
管理職としてチームを率いる「マネージャー」
の2つキャリアパスを明確にすることが大切である。

管理職に向いていない職人肌の人を無理に昇進させると、本人も周囲も苦しくなる。

「管理職にならないと出世できない」という風潮をなくし、専門職として活躍できる道を整備することも重要である。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

PT・OT・STのみなさん!周りから応援されるキャリアデザインをしましょう!

キャリアデザインの本質は「自己決定」である。

自分自身の価値観に基づき、自分自身で行動を決定する。

自己決定ではない、他者決定のキャリアデザインはモチベーションが継続せず、いつしか、「環境の奴隷」と化してく。

よって、自己決定の精神でキャリアデザインを進めることは最重要課題であると言える。

しかし、一点、留意しなければならないことがある。

それは、「自身のキャリアは他者に影響を与える」という視点である。

人間は一人では生きていけない。

社会的なコミュニティー中で生きている。

よって、自分の行動は他者に影響を与える。

その影響は、良い影響もあれば悪い影響もある。

したがって、自己決定だけでなく、他者の配慮もキャリアデザインには必要である。

図1は自己決定が周囲に与える影響の違いを示している。

図1 応援される人と応援されない人

キャリアデザインは自己決定が原則であるが、自己決定に至るまでに自分自身の興味・関心・価値観を自身と利害関係のある人たちに自己開示することが大切である。

興味・関心・価値観を自己開示することで、周囲の人たちは「この人はこんな夢があるんだ」「この人はしっかりした考えを持っている」と感じるようになる。

その結果、新たな行動を決断した時に、周りの人からの応援を得やすくなる。

しかし、日頃から利害関係のある人たちとコミュニケーションをとらず、自身の想いを語らなければ、周りの人は「あの人は何を考えているのかわからない」と感じる。

その結果、新たな行動を決断した時に、あまりに唐突な行動に周囲は驚き、唖然として、最終的には批判される可能性もある。

人生において新しい選択をした時は、それなりの困難を伴う。

その困難を乗り越えるためには、自分の能力だけではなく、友人、知人などの支援が必要である

しかし、支援をしてもらうためには、「応援されるキャリアデザイン」が必要となる。

「あいつの夢を応援してやろう」、「あの人が困っているなら助けてあげよう」と思われることが重要である。

そのためには、常に自分の興味・関心・価値観を周囲の関係者に語るといったオープンマインドな姿勢を持つことが重要となる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

専門性を極める症候群が逆にキャリアを阻害する

リハビリ職種のキャリアデザインでは、大半の人が自らの専門性を高める取り組みを行うことが多い。

リハビリ職種として「専門性を高めることに重きを置いている価値観」がある人が専門性を高める取り組みを行うことは何ら問題がない。

問題は、「専門性を高めることに重きを置けない価値観」の人が専門性を高める取り組みを行い、そのことにより、ストレスを感じていることである(図1)。

図1 専門性を極める症候群はストレスを生む

リハビリ職種は、専門職であることから一定の専門性を高めることは重要である。

しかし、専門職を高めることに固執をしてしまうと、自身の興味・関心のある分野に取り組むことを躊躇してしまう。

リハビリ職種は、「専門性を高めることが重要である」と学生時代から教育されてきた。

また、PT・OT・STの職能団体も専門性を高めることがリハビリ職種として重要であることを啓蒙し、それに基づいた認定資格の取得を推奨している。

リハビリ職種が「専門性の向上」以外のキャリアを歩むことは、「悪」であるという文脈が作られていると言っても過言ではない。

そのため、リハビリ職種の中には、他の分野に興味はあるが、それがリハビリ職種の専門性とは異なる分野のために、取り組むことが出来ない人がいる。

さらに、「リハビリ職種なのに他の分野に興味を持つ私は最低な人間だ」と自己嫌悪に陥る人までいる。

まさにこれは、専門性を極める症候群がキャリアを阻害している事例である。

リハビリ職種はリハビリの専門性に固執しなければならないというのは典型的なベーシックミステイクと言える。

ベーシックミステイク
人は物事を受け取り方を悪い方向性に解釈し、正しい認知を歪めてしまう

「リハビリ職種=専門性の向上こそがキャリアデザインである」というのは本人が勝手に思い込んでいることであり、リハビリ職種であっても他の分野に興味があるなら、他の分野で自らの才能を伸ばすことの方がよっぽど合理的である。

かく言う私も理学療法士という職種ながら、マネジメントやキャリアデザインといった他の分野でキャリアを構築している。

もし、理学療法だけに固執をしていれば、今の自分はいないと断言できる。

キャリアデザインは、その人らしさを発揮することが目的の一つである。

その人らしさを発揮できない専門性の向上であるならば、専門性の向上はキャリアデザインを阻害する要因にしかならない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

医療法人様で三年目リハビリテーション職種を対象としたキャリアデザインセミナーを行いました!

2024年10月に兵庫県の某医療機関様にて株式会社WorkShiftの高木綾一がキャリアデザインセミナーの講師を担当させていただきました。

対象は三年目リハビリテーション職種の方でございました。

リハビリ職種の三年目の悩みとして多いのは次のようなものがあります。

①臨床業務が忙しく、一日が忙殺されあっという間に一日過ぎて、自分の仕事や人生を振り返る時間がない。

②リハビリ職種になる目標は叶えたが、次の目標が特に見つからない。

③特にやりたいことが見つからず、キャリアをどう展開してよいかわからない。

また、一方で医療機関やリハビリテーション部門としては三年目のリハビリテーション職種には現場におけるリーダーや教育者としての役割を期待したいところです。

医療機関やリハビリテーション部門が抱く期待とリハビリテーション職種が持つキャリアの不安をどのように調整してくのか?がキャリアデザインの課題となります。

ここで重要な点は、リハビリテーション部門側が実現してほしい目標を一方的にリハビリテーション職種側に強要をしてはならないことです。

なぜならば、リハビリテーション職種は一人の人間であり、それぞれの人が興味・関心・価値観を持っているからです。

人の興味・関心・価値観を完全に無視した組織側の目標設定は人のモチベーションを下げる可能性が大いにあります。

リハビリテーション部門の管理職は常に部下とのコミュニケーションを怠らず、部下の興味・関心・価値観を探っておくことが重要です。

キャリアデザインセミナーでは、年齢や経験年数別に応じたキャリアの在り方や組織が実施するキャリア開発について解説をしております。

近年はオンラインも活用して全国各地に実施することが可能となりました。

リハビリテーション部門のキャリアデザインセミナーに興味がある方はいつでも弊社にお問い合わせくださいませ。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授