従業員の経営者目線より経営者の従業員目線が問われる時代

医療・介護事業を営む経営者がよく持つ悩みとして、「従業員が経営者目線で働いてくれない」「経営に関心が乏しい従業員が多い」などの従業員の経営に対するコミットメントの低下が挙げられる。

医療機関や介護事業所の経営環境の変化が激しい事態においては、従業員の経営に対するコミットメントは必須であり、経営が成立しなければ従業員への給料の支払いも困難となり、果ては事業停止に追い込まれることになる。

よって、経営者の仕事は「従業員の経営へのコミットメントを高めること」であると言っても過言ではない。

しかし、従業員に「会社経営に関与してほしい」「経営者目線で仕事をしてほしい」と直球の言葉を投げかけても、従業員からの共感は全く得られないのが現実である。

なぜならば、従業員にとって会社経営より自分の働き方、待遇、キャリアデザイン、経験などの自分に関する出来事に関心が高いからである。

誤解を恐れずに言えば、「従業員は第一に自分のことを考える」のである。

「そんなことは、けしからん!」と怒りのお声を経営者の方より頂きそうであるが、経営者は第一に経営のことを考えており、お互いさまの状況である。

経営者目線を従業員に浸透させることは極めて難しいと言える。

それではどのようにして従業員の経営に対するコミットメントを高めればよいのだろうか?

キーワードは「経営者の従業員目線」である。

従業員の関心事に積極的に会社側が関与し、従業員の行動変容を促し、その結果、会社経営へのコミットメントを高めると言うものである。

具体的には以下のような取り組みが「経営者の従業員目線」である。

従業員のキャリアデザインを支援する教育・業務体制を構築する
従業員が共感する企業理念・ビジョンを設定し、実践を支援する
従業員を内部顧客と位置づけ、従業員満足度に視点をおいた人事制度を構築する
企業理念・ビジョンとのマッチングを重視した求人・採用を行う
管理職と従業員の意思疎通を重視し、従業員の不満に対するリスクマネジメントを行う

一点、注意しなければならないのは「従業員に気持ちよく働いていただくために企業側が従業員に迎合する」ことでは、ないということである。

あくまでも、企業理念・ビジョンの実現のための従業員目線の実践である。

人ありきの医療・介護であるため、人の行動変容への取り組みは最重要課題であると言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

 

 

 

アウトプットこそ人材育成のゴール

リハビリテーション部門の人材育成に悩む経営者や管理者は多い。

弊社には日々、人材育成に関する悩み事の相談が寄せられている。

研修をしてもセラピストの業務が変わらない
研修はしているが、人が育たない
社内にある様々な問題にリハビリ職種の関与が浅い
リハビリ職種の業務改善が乏しい
などなど・・・

医療機関や介護事業所におけるリハビリ職種の人材育成の問題は根深い・・

このような相談を受けたときに、弊社からアドバイスの一つに、「研修内容を業務の中でアウトプットすること」がある。

簡単に言うと、研修で学んだことを臨床や業務の中で活かすと言うことである。

なぜ、これが重要なのかと言うと、人材育成のゴールは「学んだことのアウトプット」だからである。

つまり、行動変容が人材育成で求められるべきものであり、研修によって知識や技術をインプットすること自体は、重要ではないと言うことである。

医療機関か介護事業所には業務上の課題が多く存在する。

その課題を解決することこそ、そこに働く人の責務であり、義務である。

課題を解決できる人材になることが、人材育成のゴールである。

しかし、残念ながら、多くの医療機関や介護事業所では「研修を実施すれば人材育成が行える」と勘違いしており、人の行動の変容に関する仕組みが全くと言って行われていない。

人材育成に悩んでいる経営者や管理者の人は次のような取り組みを検討していただきたい。

①社内の課題を抽出し、課題を解決するためのプロジェクトを立ち上げる。
②症例検討会や症例報告を実施する。
③学会発表や外部講師を積極的に行う。
④社内の職員が講師を担当する研修会を実施する。

以上のように、インプットではなく、アウトプットを行う場をマネジメントすることが人材育成のためには重要である。

研修によるインプットはあくまでもアウトプットの「きっかけ」であり、インプットのみで人材育成が実現されることはあり得ない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

自分自身が納得するまで患者・利用者に関わりたい症候群

 

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の中には、「自分自身が納得するまで患者・利用者に関わりたい」という人がいる。

このような人は、職人志向が強いあるいは患者や利用者への共感性が強いことが多い。

確かに、職人気質・クライアントへの共感はセラピストにとって必要な要素であるが、それは所属している組織の中におけるルール内において発揮するべき能力と言える。

殆どの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は月給制で働いている。

一か月あたりに必要となる人件費が固定されていることから、利益を出すためには一定の売り上げが求められる。

そのため、組織は管理業務、カンファレンス等の医療の質の維持・向上に必要な事柄は実施した上で、売り上げの指標となる単位数、加算、稼働率を設定する。

つまり、「セラピストは自分の給与を踏まえた上で利益が出るように働くこと」が組織に所属するセラピストには求められる。

しかし、現場では「患者や利用者のため・・・」という殺し文句で、特定の患者にサービスを提供することや、レセプト請求の対象にならない行為を実施するセラピストがいる(下図)。

※転載禁止 自己中心的なセラピスト

このようなセラピストは自分自身が組織に所属していることの意味を忘れている。

どうしても、自分が行いたいリハビリテーションを実施したいのであれば、起業して好きなようにやればよい。

しかし、組織に所属している以上は組織のルールに従うのが義務である。

セラピストである前に、社会人なんだから。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹
メディカルアナトミーイラストレーター

医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
福之画
https://fukunoe.com/
リハアート
https://workshift-online.com/rehaart/

ブランディングを軽視する医療機関・介護事業所に未来はない

ブランディングに取り組んでいる医療機関や介護事業所は少数派である。

なぜならば、今まではブランディングに取り組まなくとも、医療機関や介護事業所を開設すれば、患者や利用者が集まってきたからである。

しかし、高齢者人口の地域格差、若年層の人口減少、医療機関・介護事業所の乱立・新型コロナウイルスによる利用控え、従業員の確保困難などにより医療機関や介護事業所の経営環境は厳しくなる一方である。

よって、今後の医療機関や介護事業所は選ばれる・選ばれないという二極化が加速する。

これからの時代は患者・利用者・家族・地域・職員・行政から愛され、選ばれる事業運営をしなければ生き残れない。

そのためには、ブランディングという考えは非常に重要である。

ブランディングを一言で言えば、「信頼」である。

「信頼」を得るためのすべての活動をブランディングと呼ぶ。

例えば、次のような事例はブランディングに無頓着と言わざる得ない。

加算の意味を理解せず、収益のために加算を算定している
医療機関や介護事業所のWEBサイトがない
WEBサイトは開設しているが全く更新されない
5年以上変わっていないパンフレットを配布している
離職率が高く、自転車操業のような採用が続いている
マンネリ化したイベントを繰り返し実施している
形式的な研修会の開催

上記のような事例が生じてしまう原因は「経営・運営をしている当事者達でさえ、自分たちの会社の価値を知らないこと」に尽きる。

自社の価値を認識していないから、「何かを変えるという動機づけ」が生じない。

よって、漫然とした経営や運営を繰り返すことになる。

今後、医療機関・介護事業所は間違いなく生き残りは厳しい時代となる。

この時代を勝ち抜くためには「自社の本当の価値は何か?」を明確化し、社内外へ周知を図る必要性がある。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

リハビリ部門マネジメント 社会的職場環境のマネジメントをしていますか?

皆さんのリハビリ部門では、働きやすさについてマネジメントをしているだろうか。

どんなにモチベーションの高いセラピストであっても、働きやすさが乏しい環境ではモチベーションが低下することが予想される。

働きやすさとは、「セラピストがリハビリ部門に貢献するための環境整備」である。

環境整備にはいくつかの種類があるがここでは職場環境について解説する。

職場環境
職場環境は物理的なものと社会的なものに分けられる。

物理的職場環境
室温、個人の作業スペース、治療ベッドの数や質、物理療法の種類、電子カルテの有無、車椅子等の福祉用具の有無等

社会的職場環境
上司・同僚との人間関係・パワハラやセクハラの有無・チーム医療に対する価値観等

近年、物理的職場環境は改善されてつつあるが、社会的職場環境が悪化しているリハビリ部門が多くなっている。

多くのセラピストが能力を発揮できずに職場を退職する理由として、社会的職場環境の悪化を挙げている。

つまり、現代におけるリハビリ部門のマネジメントでは社会的職場環境のマネジメントが必須と言える。

この社会的職場環境のマネジメントに必要なのは「価値基準」である。

価値基準
組織で大切にしたいと皆が思う共有・共感された価値観
例 常に他人を思いやる/最後まであきらめない/挑戦者であれ

価値基準がなければ、組織の構成員は判断の拠り所をなくすことになる。

価値基準が組織で浸透していれば、判断に迷うことなく組織が求める方向性に動くことができる。

つまり、社会的職場環境のマネジメントは価値基準の浸透であると言ってよい。

したがって、リハビリ部門の管理職が、組織における価値基準の明示や浸透に汗をかくことが出来なければ、社会的職場環境は悪化するばかりである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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