戦略なきセラピストのキャリアデザインは成功率が低い

PT・OT・STは他の医療職と比較して、自己研鑽に非常に熱心な職種である。

筆者はセミナー事業をしているので、このことを良く実感する。

また、大手出版会社の調査によるとPT・OT・STの一人当たりの書籍購入は他の職種を大きく上回るそうだ。

しかし、自己研鑽のための論文執筆、学会発表、セミナー参加は手段であり、目的ではない。

目的は、「なりたい自分になること」「社会的価値の創出」「組織への貢献」「対外的評価の向上」などであり、自己研鑽はそのための手段にしか過ぎない

手段を目的に活かしていくためには、キャリア戦略が必要である。

キャリア戦略とは

目的-現状=戦略

と言える。

 

つまり、目的と現状のギャップを埋める方法を考えることがキャリア戦略である。

優れた戦略をとるためには次のようなことに留意する必要がある。

人生の目的を明確に定める
自分のやるべき仕事の範囲を明確に定める
どの業界で働いていくかを決定する
目的とする業界で働いていくためにどのような能力が必要であるかを定める

例えば、以下のようなものが戦略として優れていると言える。

人生の目的:在宅リハビリテーション分野の第一人者になる
仕事の範囲:学術と臨床
どの業界:在宅ターミナル患者
どのような能力:フィジカルアセスメント・内科系疾患・呼吸循環機能・摂食嚥下・ポジショニング

やみくもに、論文執筆・学会発表・セミナー参加をするのではなく、キャリア戦略を立案することが大切である。

そのためには、業界の動向、自分の価値観、キャリアの種類、能力開発に必要な手段などに関する情報収集を行う必要がある。

そして、さらに大切なことは「自分自身の仕事や人生をどのようにしたいのか?」ということを考える時間を確保することである。

つまり、キャリア戦略を立案・実行するにも知識や技術が必要であるということだ。

しかし、ほとんどのセラピストはキャリア戦略のための知識や技術を学んでいない。

キャリア戦略なき自己研鑽は、仕事や人生の投資にならずに、不良債権となる。

自己研鑽に熱心なセラピストほど今すぐキャリア戦略を再考しなければならない。