筆者は様々な医療機関のコンサルティングを行っているが、現場の管理職セラピストから「一日18単位を死守せよ!という上層部からの厳命に対して、現場は疲弊しています」という相談をよく受ける。
多くの医療機関では、「セラピストの生産性は一日18単位」という謎の判断基準が導入されている。
セラピストの生産性は、果たして単位数という価値基準で良いのだろうか?
結論から言うと、単位数はセラピストの生産性を表す指標の一つにしか過ぎない。
もし、セラピストの生産性を単位数のみで判断することになれば、「単位取得至上主義」が現場に生まれることになり、倫理的な問題が多発することは間違いないだろう。
セラピストの仕事の質としては
一単位当たりのリハビリテーションの効果
在院日数の短縮への寄与
統合的ケアへの関与
質の高い在宅復帰支援
多職種連携
一日当たりの取得単位数
などが考えられる。
これらを包括的に評価することで初めて、セラピストの生産性を評価することができる。
単位至上主義に陥ったリハビリテーション部門では、単位の水増し、軽症の人に対する過剰な関わり、家屋評価やカンファレンスを行わないなどのリハビリテーションの本質からほど遠い行為が横行する。
セラピストの労働生産性の評価はイコールリハビリテーションの質の評価である。
18単位でしかセラピストを評価しない職場の企業倫理はもはや崩壊していると言えるだろう。
あなたの職場は大丈夫ですか?
執筆者
高木綾一
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科