2022年度診療報酬改定が行われ、クリニックに対して厳しい方向性が示された。
地域包括ケアシステムが導入された2011年以降、クリニックの役割の明確化が進んだが、2022年度診療報酬改定ではよりクリニックの役割の厳格化が行われた。
特に、リハビリテーションサービスを事業の中核にしている整形外科クリニックにとって、厳しい改定項目が相次いだ。
今回の改定では機能強化加算の要件が大きく見直された。
機能強化加算はクリニックにおけるかかりつけ医機能に対する加算であるが、今回の改定ではかかりつけ医機能に関する再定義が行われた。
上記の図に示されている項目の取り組みをしなければ、クリニックは今後の診療報酬改定では逆風を受ける可能性が高い。
今回の機能強化加算の見直しでは、在宅医療や慢性疾患(高血圧、糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病等)の対応や予防接種や介護予防など地域医療に関与しなければ、かかりつけ医機能を満たしていないと定義された。
また、今回の改定ではリハビリテーション提出加算が新設された。
これは、リハビリテーションに関わるデータを提出することで算定できる加算である。
リハビリテーションに関するデータの詳細は現時点(2022年5月17日)では明らかになっていないが、外来リハビリテーションの実態を調査する内容になることは間違いないだろう。
特に、疾患別リハビリテーションの期限越、13単位の維持期リハビリ、リハビリテーション総合計画評価料や目標設定等支援料の算定件数、疾患の種別、介護保険によるリハビリテーションの実施などは評価の対象になると考えられる。
整形外科クリニックは以下の点より今後大変厳しい状況に追い込まれる。
①在宅医療の提供や内科系疾患対応が乏しいところが多い。
②収益確保のため慢性疾患や維持期リハビリ13単位を中心としたリハビリテーションを実施しているところが多い。
③通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションの介護保険事業を実施していないところが多い。
整形外科クリニックが2040年まで生き残るためには、事業ドメインを拡大する必要がある。
整形外科疾患を中心とした事業内容から、内科系疾患、廃用症候群、地域医療への貢献を目的とした事業展開が必要である。
特に、医療保険のリハビリテーションを事業に中心にしている場合は、今後の診療報酬改定にて維持期リハビリ13単位の制限、疾患の付け替えへの返戻、介護保険事業へのインセンティブなどの制度が導入された場合、経営に対するダメージが大きい。
整形外科クリニックはいよいよ正念場を迎えようとしている。
投稿者
高木綾一
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術・経営管理学)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授