理学療法・作業療法・言語聴覚療法だけでなんとかなると勘違いしているセラピストが多い件

在宅リハビリテーションの市場は益々拡大する。

高齢者の増加
入院医療機関の在院日数の短縮
医療費の圧縮
などの要因は、在宅療養を行う高齢者を増加させている。

そのため、近年の介護報酬改定では訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションに関する改定が行われてきた。

その改定内容の中心は自立支援である。

利用者の自立を促すための心身機能・活動・参加のプログラムを立案し、実行することが理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の仕事として求められている。

しかし、現実は少し違う・・。

自立支援を促す前に、生活そのものが成立していない利用者が多い(下図)。


(イラストの無断転載禁止)

おむつ交換が行われていない
部屋が不衛生
食事が取れていない

このような状況に置かれている利用者は多い。

このような状況で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は自身が行いたい「療法」を行うのが適切だろうか?

この場合は、まずは生活を成立させるがことが重要である。

生活基盤の安定の上にしか、理学療法・作業療法・言語聴覚療法は成立しないからだ。

このような状況では
介護者や介護支援専門員との調整
ネグレクトが疑われる場合は、市町村に相談
状況によってはセラピストによる食事介助・環境整備
等にセラピストが取り組む必要があるだろう。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は研究家ではない。

臨床家である。

臨床家とは現実問題に直面をして最良と考えられる解決策を実行する者である。

このような状態で、無理やり運動療法やADL練習をしているセラピストは臨床家未満の存在である。

理学療法・作業療法士・言語聴覚療法だけでなんとかなるという考えは捨てなければならない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

イラスト提供
福山真樹
理学療法士×イラストレーター

医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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