理学療法士・作業療法士のキャリアは確実に激変する

理学療法士・作業療法士が、将来、過剰供給になる。この話は業界内にて定説になりつつある。政府統計にて2043年より、高齢者の絶対数は低下していくと予想されている。2050年前後に、団塊ジュニアが後期高齢者を迎えた時に、日本の高齢者向けビジネス市場は萎縮していく。

しががって、このまま何もしなければ理学療法士、作業療法士だけでなく、医療・介護関連職種は供給過剰となり、多くの人が職を失うことになる。漫然として迎える2040年に、理学療法士や作業療法士の未来は決して明るくない。

では、この状況をどのようにすれば打開できるだろうか。
筆者が従来から述べているように、リハビリテーションは今後、社会化が進んでいく分野である。
現在は、医療、介護保険という規制ビジネスの中で90%以上の理学療法士・作業療法士が働いているが、今後は公的保険を財源としない介護予防、高齢者が住みやすいまちづくり、行政職、企業や地域のヘルスコンサルタント、自費の健康増進事業、パーソナルセラピスト、海外のヘルスケア事業などリハビリテーションが進出することは間違いない。
自由主義経済である日本では飽和した市場から次の市場に経営資源が移動していくことが許されている。他の産業分野も、そのような状況を繰り返して、日本ならでは高品質の商品やサービスを生み出している。例外なく理学療法士・作業療法士もそのようになる。
むしろ、公的団体・機関(職能団体や厚生労働省)がそのような状況を支援できる体制を構築できていない。そのため、卒前・卒後教育に一切、リハビリテーションの社会化にまつわる話が出てこない。

しかし、ここに来て業界要人が理学療法士・作業療法士のキャリアに関して、従来と異なった意見やコメントを発言するようになってきた。名前は伏せるが、以下がそのコメントである。

上位資格を充実させていく
言語教育を導入して社会貢献できるセラピストを養成する
将来の少子化にむけたセラピストの方向性を考える理学療法の社会化が必要だ
多くのステークホルダーに対応できる理学療法が必要だ
健康増進、予防、学校保健に取り組む教育や起業のための制度づくりが必要だ

これらのコメントが公に発言されることが10年前に誰が予測できただろうか?
ついに、療法士のワークシフトの時代が始まった。
10年後は今の非常識が常識になっている。