診療報酬・介護報酬改定をいくら勉強しても実践しなければ何の意味もない

2018年度診療報酬・介護報酬改定が近づいている。

私自身も様々な団体にお声がけを頂き、全国各地で次期同時改定に関しての講演を行う機会が増えている。

診療報酬・介護報酬改定のセミナーは非常に人気があり、大変多くの方が参加され、また、非常に熱心に受講している。

診療報酬・介護報酬改定セミナーへの参加理由は、経営や運営の改善、事業所の売上向上、自部門の経営方針の検討のため等である。

つまり、目的は「診療報酬・介護報酬改定という情報を知ること」ではなく、「経営や運営における具体的な変革や改善」であると言える。

しかし、私の経験上、「診療報酬・介護報酬改定の情報を得ても、具体的な組織改革の行動を起こす人は非常に少ない」と感じている。

経営や運営を安定させるためには、「正しい情報の収集」と「適切な組織管理」のバランスが重要である(図1)。

図1 経営や運営のバランス機能

 

中国の格言に「知行合一」と言う言葉がある。

この言葉は
「知っているだけで実行しないのはまだ本当の知とはいえない。実践のうえで知と行とが一致することが重要であり、実践重視・体験重視の考え」
を意味するものである。

つまり、診療報酬・介護報酬改定の内容を知っただけで、実践に移さなければ、それは何も知らないことと同じである。

知行合一は、経営者や管理者にとって大きな示唆である。

医療機関や介護事業所の一流と二流の差は何か?

それは、決して医療職や介護職のマインドや技術の差ではない。

経営や運営の意思決定プロセスに全力を尽くせるか?否か?

これが一流と二流の差である。

二流経営者や管理者は
年次計画書、部門運営計画、行動目標、朝礼でのスローガンなどを重視し、計画や目標を実践するためのプロセスには力を入れない。

簡単に言うと「計画好きの実践嫌い」では二流に陥ると言える。

「診療報酬・介護報酬改定の内容を知る」だけでは、組織になんのインパクトを与えることはできない。

大きな制度変更が行われる2018年度同時改定が近づいている。

知識を実践に移せる医療機関・介護事業所だけが生き残る時代が到来している。