2015年 介護報酬改定 要介護度3の意味

2015年介護報酬改定において、特別養護老人ホームへの入所者は介護の必要性の高い「要介護3」以上に限定された。

厳格化の対象は新規の入所者になるため、現在、入所している要介護1~2の方は入所の継続は可能である。

幾分の除外条件(精神病や認知症等)はあるものの、特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の方が入所する施設になった。

また、通所介護にて、中重度者ケア体制加算(45単位/日)が新設された。

算定条件は看護職員1名以上の配置で、要介護3以上の利用者の占める割合が100分の30以上である。

これらのことから、介護保険領域における重症者は要介護3以上であると定義されたと言える。

すなわち、軽症者と重症者の分水嶺は要介護2と要介護3の間に存在すると言える。

要介護2と要介護3の状況の違いは次の通りとなる。

要介護2
中程度の介護が必要な状態 一人で立ち上がったり歩けないことが多い。
排泄や入浴などに一部または全介助が必要。

要介護3
重度な介護が必要な状態 一人で立ち上がったり歩いたりできない。
排泄や入浴、着替えなどに全介助が必要。

立ち上がり、歩行ができるか、否か?
排泄や入浴ができるか、否か?

この間でリハビリテーションやケアの方針は大きく変わることは、医療介護従事者なら想像がつくだろう。

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2014年度診療報酬改定にて、地域包括ケア病棟が新設され、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の役割の違いが明示された。

国からは明確に明示されていないが、筆者は前者は医療モデルリハビリテーション、後者はICFモデルリハビリテーションの推進が意図されていると考えている。

今回の介護報酬改定でも要介護2と3の間で、リハビリテーションのあり方に関して、モデルチェンジが必要な状況になったと考える。

要介護2以下は、歩行獲得等のADL動作獲得に加え、社会参加を促し、要介護3以上はADL動作の獲得にも配慮しながらも、摂食嚥下機能、精神機能、感染予防等のリハビリテーションの関わりを通じてQOLの向上が求められた言える。

当然、プロのセラピストとして、ADLやIADLの獲得や維持には全力で関わらなければならない。

しかし、要介護2と3では異なった視点から、より統合的なリハビリテーションを提供しなければならない。

医療・介護情勢は選択と集中の政策が加速している。

事業者やセラピスト、看護師、介護士も自らの仕事のフィールドを明確にして選択と集中を行っていかなければならない。

今回の介護報酬改定には、今後の未来のヒントが多く隠されている。

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