2021年度介護報酬改定を振り返る 訪問リハビリ編

訪問リハビリテーションの基本報酬は15単位増え、307単位/回となった。

この単位の増加はリハビリテーションマネジメント加算Ⅰの基本報酬への包括化の影響が大きい。

通所リハビリと同様にリハビリテーションマネジメント加算Ⅰが基本報酬に包括化されたことにより、基本サービスのブラッシュアップが必要な状況となった。

今回、訪問リハビリにさらに影響を与えたのは「診療未実施減算」である。

これまでは減算が20単位/回であったが、2021年度介護報酬改定により50単位/回にさらに引き下げられた。

診療未実施減算の算定率は15%-20%程度であったため、単位の減額による悪影響を受ける事業所が多い。

リハビリテーションマネジメント加算Ⅰの基本報酬への包括化
診療未実施加算の大幅減額
は訪問リハビリにおける医師の関りが乏しいことに対するペナルティーの意味合いが強い。

訪問リハビリを行っている診療所等は小規模の事業所が多く経営資源が乏しいため、事業所の医師のリハビリ会議や患者への説明や事業所全体のマネジメントを行う職員の育成が難しいため、今回の改定への対応が難しい事業所が多い。

また、今回、退院・退所から3か月以内に限り、週12回までの訪問リハビリの利用が可能となる規制緩和が行われた。

これは、在宅回復期としての機能を訪問リハビリに持たせようとするものであるが、患者の金銭的な負担や利用限度額の関係から週12回の利用をする利用者は少ないと考えられる。

12回利用の制度が新設されたことにより、既存の短期集中リハビリテーションの意味合いも薄れており、次回の改定では短期集中リハビリテーションの見直しも見直しが行われる可能性が高い。

さらに、訪問看護と訪問リハビリの機能分化も次回改定では加速する。

訪問看護や訪問リハビリにおけるリハビリテーションのサービスはアウトカムや利用者属性に関して明確になっていくと予測される。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授