急性期病棟×地域包括ケア病棟=地域密着型在宅復帰支援強化病院

 

2014年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟が新設された。

疾患の条件なく急性期病棟や在宅からの患者を受け入れ、在宅復帰を目指すという回復期リハビリテーション病棟とは異なる機能を有する病棟である。

2016年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟において手術が出来高算定可能となり、その病棟運営のハードルが緩和された。

国は、地域包括ケア病棟を推進し、急性期の在院日数短縮、過剰医療の抑制、在宅患者の後方支援を促進したいと考えている。

ここに来て、急性期病棟(特に7:1・10:1)と地域包括ケア病棟の両方の病棟を運営する病院が増えている。

特に平均在院日数に関しては7:1病棟には18日、10:1病棟には21日という条件があり、多くの病院が退院調整には神経を尖らせている。

地域包括ケア病棟は最大60日まで入院基本料を算定することができる。

よって、入院時に入院が長期間となることが予測される症例では、優先的に地域包括ケア病棟にて入院治療を行うことで、急性期病棟の在院日数短縮を図ることができる。

また、2016年度改定で、地域包括ケア病棟にて手術が出来高算定になったことから、地域包括ケア病棟での対応可能な患者や疾患の幅も 広がった。

そのため、急性期病棟にはより医療必要度が高い患者を集めることが出来やすくなった。

さらに、もう一つ急性期病棟と地域包括ケア病棟の両方を持つメリットがある。

回復期リハビリテーション病棟は在宅からの患者の受け入れができない。

したがって、在宅から直接患者を受け入れることができる地域包括ケア病棟は、廃用症候群や疾患の急性増悪により機能が低下した患者を受け入れ、在宅復帰に向けたリハビリテーションが提供できるといった今までにない機能を持つ病棟である。

すなわち、これからの時代において、急性期病棟と地域包括ケア病棟を持つ保険医療機関は、地域の事業所や家族とより密接し、在宅復帰支援を行う機能が求められ、地域包括ケアシステムにおける重大な役割を担う可能性が高い。

 

どれだけ知識や技術があっても周囲の認知度が低ければ、永遠にあなたの評価は上がらない

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がこれからの厳しい雇用情勢の中で生き残って行くためには、セルフ・マーケティングが重要であることは過去の記事でも繰述べさせて頂いた。

過去記事
セルフマーケティングなき医療・介護従事者の未来は明るくない
療法士等医療・介護従事者のセルフマーケティング まずはセルフリサーチから!!

今回は、セルフ・マーケティングにおける「認知度」の重要性を述べる。

多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は自らのリハビリテーション技術を高めるために、様々な自己研鑽に日々励んでいる。

プライベートの時間、大学院やセミナー受講のための費用などの様々なコストを投資をして、知識や経験を高めている。

しかし、世の中は甘くない。

知識や経験を高めれば、周囲からの評価が高まるということは、幻想である。

自分の給料や立場を上げたい、周りから認められたいという承認欲求や自己実現欲求を人間には持っている。すなわち、知識や技術を上げることで、それらの欲求を満たしたいという考えは生理的には正しいものである。

だが、現実的には知識や経験が高まれば、自動的に周囲からの評価が高まることは希である。

では、周囲からの評価を高めるには、どのような要素が必要であるか?

それは社内や社外における自分自身の知識や経験の「認知度」を高めることである。

社内や社外において、「あなたがどういう人材であるか」という認知度が高まって初めて、周囲からあなたへの「期待」が生まれる。

その「期待」に応えることができた時に、一気に周囲からの評価は上がる。

最大のハードルは、「認知度」を上げる行動を行う勇気があるかどうか?である。

多くの人は、この「勇気」がない。

「認知度」を上げるということは、同時に責任が生じる。

すなわち、自身という商品の品質管理が問われるわけである。

多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は確かによく勉強してる。

しかし、よく「認知度」を上げる行動をしているか?というと、甚だ疑問である。

セルフ・マーケティングでは、知識や技術を高めること以外の要素の学習や行動が重要となってくる。

病院は重症の方が入院する所であるという論理は、療養病床にも当てはめられた

2016年度診療報酬改定にて、療養病棟入院基本料2の施設基準に、「当該病棟の入院患者のうち、医療区分2又は3の患者の割合の合計が5割以上」という要件が加わった。

医療区分は以下のように定められている。
医療区分

「病院は重症の人が入院する所である」
これは、近年、日本で進められている病床機能の編成を行う上での基本方針である。
病床機能編成は急性期病院だけの問題と考えられがちであるが、慢性期医療を担う療養病床にもその影響が出ている。

現在、進められている地域医療構想の議論において、在宅医療と病院における慢性期医療の区分として、、一日当たりの医療投入費用が2,250円(※入院基本料・リハビリテーション料は除く)が検討されている。

つまり、一日当たりの医療投入費用が2,250円以上の患者は入院医療を受ける対象として適正であるという考えである。言い換えると、2,250円以下の患者は在宅医療で対応をするべきという考えである。

療養病棟に一日当たり医療投入費用が2,250円以下の医療必要度が低い患者が入院していることは、「病院は重症の人が入院する所である」という病床機能分化の基本方針に反することになる。

今後、療養病床においても、重症者の入院を推進するマーケティングや、重症者に対応できる医療技術・看護技術・リハビリテーション技術の開発が益々重要となってくる。

療養病棟入院基本料2の評価

2016年2月10日
中央社会保険医療協議会 総会 資料

劣化したセラピストを生み続ける理念・基本方針軽視のブラック法人は社会悪でしかない

皆さんの医療機関や介護事業所に勤務するセラピストは、貴社の理念に共感しているだろうか?

勤務しているセラピストの何%が法人やリハビリテーション部門の理念や行動方針を諳(そら)んじられるだろうか?

そもそも、理念や行動方針が明確でない法人や部門さえ存在している。

そして、多くのセラピストは理念や基本方針なんかに興味はない。

理念や行動方針を常に意識しながらサービスを提供しているセラピストは全国的にみれば、絶滅危惧種の数程度であろう。

大勢のセラピストは、理念や行動指針よりも、はるかに自分の理学療法、作業療法、言語聴覚療法、あるいは労働条件やプライベートな時間に興味がある。
理念や行動方針に共鳴していないセラピストにとって、働く場所はどこでもよい。

面接時に、「貴社の理念や基本方針に興味があり、入職を希望します」と述べていても、入職後、理念や方針に対して質問をしてくる事例などほとんどない。

セラピストの社会貢献や給料をもらうことへの知性のなさも問題であるが、それ以上に問題であるのは、理念や基本方針について従業員であるセラピストに教育できない医療機関や介護事業所である。

資格を持っていれば誰でも良い
ワークライフバランスの意味も分からずに、ワークライフバランスを提唱する
稼ぐためなら、法人に魂を売れるセラピストを採用する

こういった法人が存在するのも事実である。

まさに、理念・基本方針軽視のブラック法人と言える。

医療・介護分野では2025年以降の高齢者増大の時代に向けて、国を挙げて対応している。

劣化したセラピストを生み続ける理念・基本方針軽視のブラック法人は社会悪でしかない。

2016年9月末までに医療機関からの訪問リハビリテーションの立ち上げが急増する!?

2016年度診療報酬個別改定が明らかになった。

リハビリテーション分野で注目されていた項目の一つに、維持期リハビリテーションがあげられる。

今回、介護保険被保険者の維持期リハビリテーションに関しては、極めて厳しい経済的誘導が行われた。

1)介護保険被保険者で月13単位の維持期リハビリテーションを受けた時点で、一回目のプライスダウン

2)当該医療機関で通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションを行っていなければ、二回目のプライダウン

3)新設される目標設定等支援・管理料を算定しない場合、三回目のプライスダウン

厚生労働省は3段階のプライスダウンで、事実上、医療保険を用いた介護保険被保険者の維持期リハビリテーションを廃止する算段である。

また、目標設定等支援・管理料の減算が免除される経過措置期間が明らかになった。
2016年10月1日から目標設定等支援・管理料を過去に算定していなければ、上記した三回目のプライスダウンが発動されることになる。

すなわち、介護保険被保険者の維持期リハビリテーションを生業の一部としていた医療機関においては、2016年9月末までに、医療保険を用いた介護保険被保険者の維持期リハビリテーションを終了し、介護保険を用いた維持期リハビリテーションを提供するといった事業運営の変更が必要な状況となった。

しかし、通所リハビリテーションンは建物や所定の人員が必要となり、多額の経費が必要となることから多くの医療機関は、訪問リハビリテーション事業所の設立を目指すと考えられる。

2016年9月末までに訪問リハビリテーション事業所が急増する可能性が高まった。

地域によっては、訪問リハビリテーションのマーケットが大きく変化するだろう。

維持期リハビリテーション
2016年2月10日
中央社会保険医療協議会 総会 資料