回復期は成熟期へ、通所リハビリ・訪問リハビリは成長期へ

サービスはずっと売れ続けることは難しい。

サービスには人の一生のように寿命がある。 それを、製品ライフサイクルと呼ぶ(下図)。 1076812

リハビリテーション業界では 回復期は成熟期、通所リハビリ・訪問リハビリは成長期と言える。

回復期は整備目標をこえ,診療報酬上の評価も厳しくなっている。

そのため、競争が激化し、シェアーを奪いづらくなっている。

しかし、通所リハビリ・訪問リハビリは普及段階であり、これから急速に市場が拡大していくと考えられる。

当然、市場が拡大していくためライバル事業者も増えてくる。

そのため、いずれはシェアーの確保も厳しくなるため、成長期であってもマーケティングの努力を怠ってはいけない。

成長期では、競合に対して自社サービスの特徴をアピールするマーケティングコミュニケーション戦略を展開することが大切である。

つまり、徹底して自社サービスのブランド力を高めていくことが重要となる。

これにより、いち早く市場シェアの獲得を目指すのだ。

現在、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の80%以上は医療機関に勤めているが、2025年以降には60%程度になると考えられる。

セラピストはリハビリテーション業界の変化を察知し、働き方や自己研鑽の在り方を考えていかなければならない時代になったと言えるだろう。

執筆者 高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士 認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士 修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

在宅市場の拡大に拍車 2018年度診療報酬改定の余波

2018年度診療報酬改定で入院医療機関から在宅への流れが一層強化された。

急性期一般入院料1では在宅復帰要件が拡大された。

療養病棟や老人保健施設は在宅復帰要件を満たしていることが必要であったが、2018年度改定によりその要件がなくなった。

これにより急性期病院からの退院先を増やすことで、急性期病院の在院日数を短縮を狙っている。

このことから、今後、療養病院や老人保健施設の在宅復帰はより強化され標準化される可能性が高いと言える。

地域包括ケア病棟では、療養病棟や老人保健施設への退院が在宅復帰と認められなくなった。

そのため、地域包括ケア病棟はより一層の居住系施設や自宅への在宅復帰に取り組む必要性が高まっている。

また、療養病棟や老人保健施設は地域包括ケア病棟から紹介がなくなるため、稼働率が低下している事例が散見している。

さらに、2018年度改定は、急性期病院に大きな課題を与えた。

7:1急性期一般入院料を算定する病院では重症度が30%以上と定義されており、そのため、軽症者の早期退院が必要となっている。

つまり、病状が落ち着いてある程度のADLが回復すれば、在宅へ帰るという仕組みが必要となっている状況である。

よって「急性期治療が終われば、リハビリテーションや在宅生活に移行する」という課題の克服が必要である。

したがって、急性期病院は急性期治療&後方連携という総合力が求められる。

別の視点で考えると、介護保険事業所や在宅医療を担う医療機関にとっては大きな機会が到来している。

在宅復帰機能や在宅生活支援機能が高いことをアピールできれば、急性期病院との連携が十分に可能である。

つまり、2018年度改定により、在宅市場のさらなる拡大は確実であり、そこにはリハビリテーション専門職の活躍が欠かせない状況と言えるだろう。

執筆者 高木綾一 セミナー講師 株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

リハビリ現場 あるある 医師の非協力

筆者がコンサルティングをしているリハビリ部門では、「医師の非協力」は非常に多い問題の一つである。

特に、老人保健施設、医療療養病棟、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションでは医師がリハビリテーションに非協力なことが多い。

近年では、老人保健施設の在宅復帰、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションにおける自立支援、医療療養病棟における重症者対応などが進んでおり、リハビリテーション専門職だけの関りでは、状況の改善が難しい利用者が増えている。

特に医師は、診断、予後予測、治療方針などの最重要キーパーソンであり、利用者に与える影響は多大である。

医師がリハビリテーションに関わることを苦手としているのは、「自分が何をすればよいかわからない」ということを理由にしている。

しかし、これは言い訳である。


(無断転載禁止)

診察・予後予測・治療方針などを家族に丁寧に話すのは医師の専門性の一つである。

そして、医師自身でわからない点は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・介護職に確認をすればよいだけである。

リハビリテーション専門医としての役割ではなく、「一患者を診る」という姿勢だけで、十分なのである。

そして、これは何よりも利用者や家族の不安解消になり、満足度も向上することになる。

リハビリテーションは医師だけで行うものではない。

この当たり前のことをぜひマネジメントで実現するべきだ。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

イラスト提供
福山真樹
理学療法士×イラストレーター

医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
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医療・介護における法令順守と言う魔物

日本では企業倫理はコンプライアンスであるという認識が強い。

コンプライアンスは日本語で法令順守と訳されていることから、法律を守ることが企業倫理であるという認識が根強い。

しかし、筆者が事業をおこなっている医療介護分野では、法令順守のみを追求し、顧客満足や社会貢献の意識の希薄な医療機関や事業所が多い。

医療や介護は規制ビジネスであることから、国より定められたルールが存在する。

診療報酬や介護報酬を請求するためには、決められた手順でサービスを行い、決められた書類を作成することが求められている。

短期的利益を追求する医療機関や介護事業所では、高い報酬を得るために法律上必要な最低限の行為(サービス・書類作成)だけに着目した運営をしており、患者や利用者の満足度や社会保障費の削減と言った社会貢献には全く興味を示さないことが多い。

しかし、このような医療機関や介護事業所は、患者や地域からの評判が悪くなり、長期的な経営が困難となり経営破たんを迎えることが多いのが実情である。

医療や介護のような公共事業的要素が強いビジネスでは、法令順守が最も要求される。

しかし、法令順守が厳しいことが、「法令順守さえしていれば大丈夫だろう」と言う文化を根付かせている側面があり、医療機関や介護事業所の本来の使命である質の高い医療や介護の提供が置き去りにされることが多い。

したがって、医療や介護の業界においては、企業倫理を法令順守としてだけ捉えるのではなく、社会的責任や社会貢献として認識することが、長期的な企業の成長には欠かせない。

あなたの事業所は法令順守だけをしていませんか?

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

通所リハビリ・訪問リハビリを直撃する大激震から目を背けている経営者や管理者が多すぎる件

2018年度介護報酬改定の全容がほぼ明らかなった。

通所リハビリ・訪問リハビリは医師の関与や要支援者の評価などが追加され、通所リハビリ・訪問リハビリの経営や運営は新次元に移行した。

疾患別リハビリにおける維持期リハビリが近々終了することや後期高齢者が爆発的に増加することを考えると通所リハビリ・訪問リハビリの存在意義は大きい。

しかし、通所リハビリ・訪問リハビリをサイドビジネス的に行っている医療機関も多く、経営や運営をセラピストに完全に丸投げしている院長や事務長は多い。

医師が診察をしない、利用者の顔も知らないのは珍しいことではないし、どのようなリハビリテーションを行っているかなど知るよしもない。

このようなことを厚生労働省は十分に把握している。

だから、今回の改定で医師の関与を強く求めたのだ。

しかし、医師の関与や通所リハビリ・訪問リハビリのマネジメント強化を直視できない医師や事務長、経営者は相当多い・・・・。

訪問看護ステーションからの訪問リハビリ抑制や重度化推進
老人保健施設に在宅復帰等の機能を強化したスーパー老人保健施設が新設
回復期リハビリ病棟の7段階評価
などなど・・・大激震が連発している業界である。

断言できる。

通所リハビリ・訪問リハビリには近い将来、事業所の存続を左右する決定的な制度変更が行われるだろう。

今回の改定内容に積極的に対応しない通所リハビリ・訪問リハビリは必ず淘汰される。

老人保健施設や回復期リハビリ病棟の歴史をみれば一目瞭然である。

現実に目を背けてはいけない。

今なら、まだ間に合う。