価値創造できるセラピストはAIに負けない

近年、AI(人工知能)の発展が目覚ましく、近い将来、人間の能力をAIが超えるのではないかと予想されている。

AIによって現在の50%以上の仕事がなくなる可能性も指摘されている。

リハビリテーション分野でこのことを考えると、リハビリテーションの評価や治療方針をAIが決定することができるようになれば、セラピストはそのプログラム通りに訓練を行うだけの訓練屋となる。

また、物理療法やロボットによる治療や運動療法が発展すればセラピストは、機器の設定と見守りだけの仕事が中心となる可能性がある。

このようなことから、例えセラピストの仕事がなくならなくても、セラピストの価値が低下することにより給与は減額される可能性が高い。

したがって、AIの発展は必然的にセラピストの価値創造が試される時代への移行を余儀なくさせる。

セラピストの価値創造には次のような視点が必要である。

AIやロボットなどのテクノロジーでは解決できない課題への介入

地域連携・組織マネジメント・小関節へのアプローチ・変化する問題に対する判断

看取りを含む慢性期患者に対する介入

看取り期のリハビリプログラム立案・ポジショニング・シーティング・嚥下リハビリ

AIやロボットを活用できる人

利用者に適したAIやロボットの選定と実施・AIやロボット自体の開発

振り返ってみればいつの時代もテクノロジーの発展と共に人類は働き方を変えてきた。

テクノロジーを憎むのではなく、新しい価値創造に積極的に挑戦する方が遥かに生産的である。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

退職者分をただ補うだけの人事採用をしていませんか?

医療機関や介護事業所の人事部門は本来の機能を果たしていない。

医療や介護のサービスの質は、人材の質で決まると言っても過言ではない。

医療や介護ほど、人材に依存した事業はない。

それほど、人材が大切にあるにも関わらず、多くの人事部門は「ただ、退職者分を補うだけの採用」を行っている。

人事部門は経営に大きな影響を与える最重要部門である。

経営戦略を実現するのは人材
組織イノベーションを起こすのは人材
地域ブランドを創るのも人材
である。

つまり、人事部門は企業の未来をハンドリングしている部門である。

退職者分だけを補う人事採用しかしていない人事部門は、名ばかり人事部門と言える。

近年の診療報酬・介護報酬はアウトカム志向が強くなっており、医療や介護を取り巻く環境は厳しさを増している。

そのような環境変化に対応するためには、人事部門がより戦略的な人材採用を行わなければならない。

そのためには、人事部門が診療報酬や介護報酬の状況、自社の経営課題、組織イノベーションの方向性などを知る必要がある。

そして、リハビリテーション部門や看護部門は人事部門としっかりと戦略のすり合わせをしなければならない。

間違っても、人事部門が自部門の方向性と違う人材を採用することはあってはならない。

皆さんの人事部門は戦略的な採用活動が出来ていますか?

今一度、見直してほしい。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

医療機関や介護事業所は戦略的な企業倫理を実践せよ

企業の存在目的は利潤の最大化を通じて社会に貢献することである。

利潤の最大化には短期的な手法と長期的な手法があり、真の社会に必要とされる企業になるためには、長期的な手法を用いることが重要である。

短期的に会社の利潤を最大化しようとすると、経費を削減するいわゆるリストラクチャリングを中心とした手法が有効である。

リストラクチャリングには利益の確保や株主などへの説明責任などのメリットもある一方で、雇用や取引先への悪影響が大きいというデメリットを伴う。

リストラクチャリングでは雇用や取引先との関係を破壊することから、結果的に社会や地域にとって必要とされない企業となる可能性が高まる。

社会や地域から愛され必要とされる企業となるためには長期的な手法を用いて企業経営を行って行くことが重要である。

長期的な手法で大切なことは社会や地域から信頼を得ることができる「企業倫理」の実践を通じた経営が必要である。

つまり、「企業倫理」とは企業が成長していくための戦略と言える。

企業倫理を企業成長の武器として使うことが長期的な利潤の最大化に繋がる。

医療機関や介護事業所が短期的利益のために、サービスの品質を無視し、事業を運営すれば地域の利用者や介護支援専門員から反感を買う。

悪い評判はその医療機関や介護事業所を利用するインセンティブを消失させる。

一度生まれた悪い評判を打ち消すのはほぼ不可能に近い。

「企業倫理」を戦略的に実践することで、利用者や介護支援専門員との良好な関係を維持することができ、その結果、事業運営も発展する可能性が高い。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

 

リハビリテーション技術はマネジメントの対象である

リハビリテーション業界には多くの技術が氾濫している。

養成校の講義
卒後の教育
県士会の研修
民間のセミナー
実習指導者の指導
から多くのセラピストは技術を学ぶ。

しかし、学ぶ技術の標準偏差は大きく、何がスタンダードな技術であるか全くわからない状態である。

しかも、多くのリハビリテーション部門は技術を管理していない。

なぜ、技術を管理しないのか?と管理者に問うと以下のような回答が返ってくる。

どんな技術でも患者が治ればいい
セラピスト個人の考えを尊重している
幅広い視点を取り入れている

これらは実に便利な言葉である。

表面的には、いかにも「利用者やセラピストのことを考えている」ように聞こえる。


しかし、現実的には「技術を野放し」にしているだけである。

本当に良いリハビリテーション技術であるかどうか?を測定するためには、一定の基準を設け、その基準をもとにリハビリテーションの効果測定をしなければならない。

様々な技術が管理されていない状況で導入されると、たとえ改善に至ったとしてもその機序やプロセスを説明するのは至難である。

サービス業の観点から、「セラピスト個人の考えを尊重する」ということ自体が狂っている発想である。

マクドナルドの店員
有名ホテルの従業員
東京ディズニーランドのクルー
などの個人の考えが尊重されているか?

それは否である。

個人の考えが尊重されたらサービス業なんて成立しない。

提供するサービスが標準化されているからこそ、顧客がそのサービスを求めるようになる。

リハビリテーション技術のマネジメントを放棄している管理者が多い今の現状は非常にまずいと言える。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

上司と部下の板挟みになっている中間管理職は管理職ではなくメッセンジャー

上からは数字の達成を要求され
下からはノルマ目標への反発をされ
どうしてよいかわからない・・・

このようなことで悩む中間管理職の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は多い。

この「上と下の板挟み現象」はなぜ起こるのだろうか?

中間管理職は、上と下の間に位置する管理職である。

それゆえ、経営と現場の橋渡しが要求される。

ここで勘違いが起こる。

中間管理職は「メッセンジャー」であると。

「上の指示命令を下に伝える」・・これが仕事なんだ。という勘違いである。

メッセンジャーという仕事には工夫や創造入らない。

ただ、メッセージを伝えるだけである。

この場合、「調整役」の機能が発揮されないため、上司や現場で不平不満や混乱が生じた場合、その事態を収束させることはできない。

しかし、中間管理職は上と下に位置することから、上と下をコントロールできる立場でもある。

上と下とコントロールできれば板挟みと言う現象は起こらない。

現場が混乱しないように指示と理念の整合性を調整した上で上司の指示を伝える。

また、現場の不満や混乱を組織管理上の課題として的確に上司に伝える。

この二つをうまく使いこなすことができれば、組織を思いのままにコントロールできる。

その特権を与えられているのが中間管理職である。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科