「筋肉質」の経営を目指す意味

様々な経営者の著書では、経営は「筋肉質」でなければならないと述べられている。

「筋肉質」の経営とは設備投資の効率を考え設備の購入は慎重にすること、無価値な資産は抱えないこと、人件費などの固定の増加を警戒するなど説明されている。

しかし、新しく抱えた物件や採用した人材がどれぐらいの売上を計上してくれるのかについては、経営者としては明確な判断は難しい。

そこで、経営者として大切なことは、「自身の物件購入や人材採用という判断」を「正しかったもの」にするための、日々の努力を怠らないことが重要である。

世間には、新たな資産を購入する、人材を採用するなどをすれば、勝手に売上が上がっていくと考えている経営者や管理者の方がいる。

特に医療・介護業界では、医療機器購入や看護師の採用を行えば、自動的に経営がうまくいくと考えている人が多いのが実情である。

資産や人材はしっかりとした売上が計上できるようになってこそ、初めて意味を成すものだ。

そのためには、経営者の不断の努力が必要であることは言うまでもない。

ヒトやモノを揃えても売り上げは増えない。

売上を上げるシステムを作るのが経営者である。

「筋肉質」の経営は、人を雇わない、機材を買わないなどの資産を持たないという意味ではない。

今持っている資産を現金化できているのか?という視点を追求した先に「筋肉質」の経営があると言える。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

パラレルキャリアシンドロームがもたらす薄っぺらいキャリア

理学療法士、作業療法士の労働市場の熾烈化や上がらない給与を背景に、「パラレルキャリアの重要性」を叫ぶ人が増えてきた。

そのおかげで、パラレルキャリアシンドロームを発症する理学療法士、作業療法士が急増中だ。

パラレルキャリアとは
本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと
である。

主な目的は、金銭的報酬だけではなく、自分のスキルアップや夢の実現、社会貢献活動の推進していくこととされている。

全国各地で、パラレルキャリアに感化されている理学療法士、作業療法士が増えている。

しかし、ここで注意が必要である。

パラレルキャリアの定義にある通り、本業があっての第二のキャリアである。

多くの理学療法士、作業療法士は、その本業すらおろそかになっている。

筆者が様々な経営者や管理職から聞くのは、
「組織内の仕事を一生懸命にしないのに、組織外の仕事を頑張っている職員が増えている」
「地域包括ケアだ!!と言って、外部のコミュニティに参加するのは一生懸命だが、施設内包括ケアには全く取り組んでくれない」
という声である。

つまり、組織に対する求心力より社外への遠心力が作用しているセラピストが増えているということである。

本業を疎かにして、他のキャリアに向き合うと言う「無法者セラピスト」に限って、「私、パラレルキャリアをがんばっています」と周囲に自慢する傾向も強い。

パラレルキャリアは本業があってこそ。

組織内で活躍できない人間が、組織外で活躍しても誰も評価しない。

せいぜい、ただの転職準備活動である。

本当のパラレルキャリアは本業と第二のキャリアがお互いに作用し、新しい価値を組織と社外に与えるものである。

組織に何の貢献もしないパラレルキャリアは、ただの「オナニーキャリア」だろう。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

キャリア停滞の原因 結局は覚悟がないから決断できない

自分の人生を変えたい
この会社を辞めたい
こんな上司の下では働けない
自分のやりたいことをしたい
と誰もが一度は思うのが普通である。

しかし、実際に自分の状況を変えるために行動する人は少数派である。

つまり、多くの人は今の状況は「まずい」と判断は出来ているのだが、「行動を起こす」という決断はできないということである。

なぜ、「行動を起こす」という決断ができないか?

それは、「行動を起こす」ことによって生じる責任を引き受けるという「覚悟」がないからである。

逆に言えば、「覚悟」さえできてしまえば、決断が可能となり、自分の人生を変える可能性が高まると言える。

元ヤクルトスワローズの監督である野村克也氏は「覚悟に勝る決断なし」という言葉を残している。

決断によって失うものもあるかもしれない。

しかし、それを受け入れる覚悟ができた時、人間の心は軽くなり行動への決断が可能となる。

「覚悟」があるとないでは、人生において行動する範囲は天と地ほどの差がある。

そのため、キャリアデザインや起業を成功させるためには「覚悟」が極めて重要と言える。

今、あなたが行動を起こせない理由は知識不足や、経験不足ではなく、単に「覚悟」がないからではないか?

でも、よく考えてほしい。

もし、何かを決断することで何かを失うことがあったとする。

失ったものは、「見栄」や、つまらない「プライド」だったりしないだろうか。

もし、そんなことで「決断」ができないなら相当人生で損をしていると言える。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

コア・コンピタンスがセラピストのアドバンデージを高める

コア・コンピタンス (Core competence)とは、
ある企業の活動分野において「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」の事を指す。

コア・コンピタンスの考えは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のキャリアデザインにおいても極めて重要である。

業務独占をしていないこの三職種が毎年2万人前後で増えていく社会では、セラピストの競争は熾烈を極める。

そのような状況においては、コア・コンピタンスをどのように構築するかが重要だ。

「競合他者を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他者に真似できない核となる能力」というコア・コンピタンスをセラピストが持つことで、競争市場での立場は優位となる。

コア・コンピタンス構築のポイントは、「他者が真似ができないこと」である。

あくまでも、模倣されにくいことがポイントである。

ここで注目したいことは、「高いレベルの技術力」や「特殊な能力」ではなく、「模倣されにくいこと」がコア・コンピタンスということである。

多くのセラピストの自己研鑽は、高いレベルの技術力や特殊なテクニックなどの習得を目的にしているが、それらが少しの努力で模倣されるようなことであったならば、コア・コンピタンスとしては成立しない。

脳卒中に関する学会発表、論文執筆をして高い知見を得たとしても、他者が模倣をしやすい分野や知識であった場合、簡単に追いつかれてしまう。

模倣をしにくいものであればあるほど、市場では有利になる。

例えば、難病患者に対する嚥下リハビリテーション、脳卒中片麻痺患者のロボット歩行、大規模組織でのマネジメントなどは多くのセラピストが経験できるものではないため、コア・コンピタンスになる可能性がある。

難しいことではなく、模倣されにくいこと。

これからの時代を生きるセラピストにはこの視点が必要である。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

医療や介護のマネジメント初心者が行うべき3つの事柄

高齢化社会の進展により、医療や介護で働く人は増加している。

10年前と比較すると、医療機関や介護事業所の従業員は大幅に増えており、組織マネジメントの必要度は極めて高い。

医療や介護にマネジメントが必要な世の中。

まさに隔世の感である。

筆者は医療や介護に関するコンサルティングを生業にしているため、多くの人から様々な相談を受ける。

その中でもここ最近多いのが、「次の転職先でマネージャー職になるのですがどのような勉強をすれば効果的でしょうか?」「マネジメント初心者で何から手を付けて良いのかわかりません、どうすればよいでしょうか?」という質問である。

これらの質問に対する私の回答は以下のとおりである。

一つ目
まず、転職しようとしている業界の診療報酬・介護報酬等の制度面に関する知識を学習すること。これは、厚生労働省等が発表している資料で十分に学習が可能である。

二つ目
転職しようとしてる業界特有の問題について確認をする。これは、医療・介護専門誌やネット上の記事などで確認することが可能である。

三つ目
転職しようとしている業界で働いている人と知り合いになり、ネットワークを築くことである。セミナーや会合に参加することで、知人を作ることができる。

これら3つのアクションを起こすことで、マネジメントの入り口に立つことができる。

マネジメントに関する能力はこれから医療や介護では、非常に重宝される。

マネジメントなき組織が、市場で優位性を保持したり、地域包括ケアシステムの寄与することは不可能である。

ぜひ、マネジメント初心者は先述した3つのアクションを起こし、マネジメント分野に飛び込んでいただきたい。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科