セラピストの労働生産性=一日18単位という愚の骨頂

筆者は様々な医療機関のコンサルティングを行っているが、現場の管理職セラピストから「一日18単位を死守せよ!という上層部からの厳命に対して、現場は疲弊しています」という相談をよく受ける。

多くの医療機関では、「セラピストの生産性は一日18単位」という謎の判断基準が導入されている。

セラピストの生産性は、果たして単位数という価値基準で良いのだろうか?

結論から言うと、単位数はセラピストの生産性を表す指標の一つにしか過ぎない。

もし、セラピストの生産性を単位数のみで判断することになれば、「単位取得至上主義」が現場に生まれることになり、倫理的な問題が多発することは間違いないだろう。

セラピストの仕事の質としては
一単位当たりのリハビリテーションの効果
在院日数の短縮への寄与
統合的ケアへの関与
質の高い在宅復帰支援
多職種連携
一日当たりの取得単位数
などが考えられる。

これらを包括的に評価することで初めて、セラピストの生産性を評価することができる。

単位至上主義に陥ったリハビリテーション部門では、単位の水増し、軽症の人に対する過剰な関わり、家屋評価やカンファレンスを行わないなどのリハビリテーションの本質からほど遠い行為が横行する。

セラピストの労働生産性の評価はイコールリハビリテーションの質の評価である。

18単位でしかセラピストを評価しない職場の企業倫理はもはや崩壊していると言えるだろう。

あなたの職場は大丈夫ですか?

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

大阪北部地震の被害状況と弊社の今後の活動について

株式会社Work Shift 代表取締役の高木綾一でございます。

弊社は大阪北部地震の震源地付近に在所しております。

地震発生当時は地面から突き上げる衝撃で死の恐怖を感じましたが、建物は倒壊することなく、屋内の設備のみが倒壊いたしました。

私も社員も怪我などなく無事でありました。

6月20日より通常業務に戻っており、今後予定しているセミナー事業、コンサルティング事業、キャリアコンサルティング事業は予定通り継続をいたします。

ステークホルダーの皆様には大変ご心配をおかけいたしました。

今回の地震を受けて、命の大切さを痛切に感じたところです。

大切な命をしっかりと弊社のやるべきことに注ぎ、使命を果たしていきたいと存じます。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

営業に行け!!!としか言えない経営者が残念な件

訪問リハビリの利用者が増えない
病棟の稼働率が上がらない
通所介護への紹介が少ない
だから・・・・

営業に行ってこい!!!!

という経営者は多い。

しかし、残念ながら、営業に行っても利用者は増えない。

なぜか?

営業の効果が極めて限定的であるからだ。

営業が単体でできることは、せいぜい、「事業所のわずかな認知度の向上」程度である。

しかも、営業は時として諸刃の剣となる

皆さんも、色々な商品やサービスの営業担当者から営業行為を受けたときに不快な気持ちになったことはないだろうか?

実は、営業が成功するための条件として、「信頼」が存在する。

信頼できる人や事業所の営業は、不快にならない。

むしろ、もっと話を聞きたいと思う。

しかし、売り込み臭の漂う信頼のない人からの営業は、極めて不快である。

したがって、営業を行う前に、信頼関係の構築が重要である。

信頼関係は日々のサービスや情報発信により獲得されていくものである。

信頼関係構築のための地道な作業をせずに、営業さえすれば利用者が獲得できると考えている経営者は、とにかく残念な人である。

医療や介護サービスは信頼関係に基づくソーシャルキャピタルである。

ソーシャルキャピタルは信頼関係で機能する資本である。

営業に行く前に質の高いサービスの提供が重要である。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

優秀な人材ばかりだと組織は滅ぶ。人材の組み合わせが組織活性化の鍵。

良い人材を採用しているのに組織が前に進まない

みんな、優秀な人なのに組織がまとまらない

という愚痴は筆者のクライアントの口からよく出てくる。

良い人材、優秀な人の定義は難しいが、一つだけ言えることは良い人材や優秀な人の多い、少ないが組織の活性化を決める訳ではないということだ。

例えば、専門職で、知的能力や分析能力が高く、物事に慎重を進める優秀な人材が多い職場だとしよう。

このような職場だと、診療報酬改定や介護報酬改定のダイナミックな変化が求められるときに、物事を決断して、事業を前に進めにくい傾向がある。

冷静に分析する姿勢は、変化が求められる時節では組織にとってはマイナスな力となりやすい。

しかし、数字やエビデンスの裏付けが必要な医学的な決断が必要な時は、冷静に分析する人物が必要である。

つまり、組織を取り巻く環境に応じた柔軟な運営を実現するためには、多様な能力の人材の組み合わせが必要であると言える。

冷静で分析肌の人
実践主義でイケイケの人
組織をまとめ、情熱にあふれる人
周囲との調和に合わせて物事を進める人
などの人がバランスよく組織に所属していることが組織活性化に結び付く。

医療や介護の面接では、組織活性化まで考えて人材を採用していない。

資格を持っていればよい
一見、優秀な感じがする
などの非常にハードルの低い採用となっている。

医療機関や介護事業所が増加する現代では、組織活性力が持続的な競争優位性を保つ。

あなたの組織は、優秀な人であれば無条件で採用していませんか?

それを繰り返していると、組織活性化がどんどん低下するかもしれない。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

医療・介護における法令順守と言う魔物

日本では企業倫理はコンプライアンスであるという認識が強い。

コンプライアンスは日本語で法令順守と訳されていることから、法律を守ることが企業倫理であるという認識が根強い。

しかし、筆者が事業をおこなっている医療介護分野では、法令順守のみを追求し、顧客満足や社会貢献の意識の希薄な医療機関や事業所が多い。

医療や介護は規制ビジネスであることから、国より定められたルールが存在する。

診療報酬や介護報酬を請求するためには、決められた手順でサービスを行い、決められた書類を作成することが求められている。

短期的利益を追求する医療機関や介護事業所では、高い報酬を得るために法律上必要な最低限の行為(サービス・書類作成)だけに着目した運営をしており、患者や利用者の満足度や社会保障費の削減と言った社会貢献には全く興味を示さないことが多い。

しかし、このような医療機関や介護事業所は、患者や地域からの評判が悪くなり、長期的な経営が困難となり経営破たんを迎えることが多いのが実情である。

医療や介護のような公共事業的要素が強いビジネスでは、法令順守が最も要求される。

しかし、法令順守が厳しいことが、「法令順守さえしていれば大丈夫だろう」と言う文化を根付かせている側面があり、医療機関や介護事業所の本来の使命である質の高い医療や介護の提供が置き去りにされることが多い。

したがって、医療や介護の業界においては、企業倫理を法令順守としてだけ捉えるのではなく、社会的責任や社会貢献として認識することが、長期的な企業の成長には欠かせない。

あなたの事業所は法令順守だけをしていませんか?

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科