中間管理職に求められる役割葛藤との向き合い方

「役割葛藤」とは、自分に対して期待されていることが、他の利害関係者にとってはマイナスとなる時に生じる葛藤を指す。

たとえば、上司から「稼働率を上げろ」と指示を受ける一方で、現場は人手不足で無理を強いることになる場合、中間管理職として大きな葛藤を感じることになる。

中間管理職は多くの利害関係者との間で調整を担う立場にあるため、このような役割葛藤に陥るリスクは常に高い。

組織が崩壊に向かうのは、往々にして中間管理職のマネジメントが機能不全に陥った時である。

上司に対してイエスマンとなり現場を混乱させる
現場の不満ばかりを上司に伝えるだけのリーダーになる
上司と現場の板挟みとなり何も行動できなくなると

このような状況になると組織は硬直し、意思決定が遅れ、方向性が見えなくなる。

では、こうした事態をどう防げばいいのか。

大切なのは、自分自身の意見をしっかり持つことだ。

誰にも「正解」はわからない。

他人の意見に振り回されず、自分なりの仮説や推測をもとに判断することが重要である。

そして、現状や今後の見通しについて正確な情報を、上司にも現場にも提示し続けることも役割葛藤を和らげる一助となる。

時には上司をコントロールする視点も必要だ。

さらに、全力で尽くしても周囲が協力してくれない場合は、「誰がやっても同じ」と割り切り、相手の理解力不足と捉えて開き直ることも大切である。

役割葛藤が思考停止を生むことはあるが、その原因の一端は自分自身にあることを自覚しよう。

役割葛藤を乗り越えることができれば、中間管理職としての能力は最大化され、組織全体もより強くなる。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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