人命に関わることを軽視して何がリハビリテーションなのか?

筆者は全国各地で在宅リハビリテーションのコンサルティングや大阪府内で訪問リハビリテーションを提供している。

そのような活動をしていると驚きのセラピストに出会うことがある。

それは、動作分析だー、下肢の筋力だー、歩行練習だー、活動だー、参加だーと言っていろいろな運動や活動を利用者に提供するのだが、利用者がそれどころでないのだ(下図)。

在宅療養利用者の高齢化や重症化のために、人命に関わる症状が生じている人が多い。

呼吸不全
心不全
糖尿病
膠原病
消化器疾患
がん
などハイリスクな在宅療養利用者が増えている。

(無断転載禁止)

このような利用者に対して理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が提供するべきことは、リスク管理とリスク緩和である。

しかし、ADL向上や活動・参加の知識や経験のみに凝り固まった理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとってリスク管理とリスク緩和のハードルは高い。

そのため、人命に関わるような状況であっても、それらの軽視して運動療法を提供しようとする。

しかし、多くの場合、利用者に運動療法を拒否をされ何もすることができないことが多い。

人命に関わることを軽視して、何がリハビリテーションなのだろうか。

今の状況では、訪問リハビリテーションに携わるセラピストが増えていけばいくほど、人命を軽視するリハビリテーションが行われる可能性が高い。

卒前・卒後教育の見直しやセラピストのメンタリティーの変容が求められる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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