医療職や介護職の給料は、国が定める診療報酬や介護報酬によって上限が決まっている。
医療保険や介護保険制度の枠組みの中でサービスを提供する限り、公定価格を超える人件費を得ることはできない。
しかしながら、現在は国の財政が逼迫しており、有資格者の数は年々増加している。
すなわち、財源は限られる一方で、給与を必要とする人数は増加している状況である。
加えて、物価は上昇し、消費税は10%となり、電気代や生活コストも高騰している。
この状況は非常に危機的であり、医療・介護業界においても従来通りの働き方だけでは生活水準を維持することが困難になりつつある。
しかし、公定価格以上の報酬を得ている人材が存在することも事実である。
そのような人々に共通しているのは、「資格以上の価値を提供している」という点である。
資格の持つ価値を当然のものとし、さらにその上に新たな専門性や付加価値を積み重ねているのである。
今後、収入を高めるためには、医療職・介護職が自身の専門性を活かし、制度の枠を超えた価値を創出することが必要不可欠である。
社会や組織が期待するものと、自分が提供できるものが交わる場所にこそ大きな可能性が眠っている。
その可能性を現実のものにできるかどうかは、自らの行動次第である。
時代の変化に対応し、仕事の質を高め、積極的にワークシフトを起こしていく姿勢が、これからの時代には求められるのである。
筆者
高木綾一
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授
医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」 や 「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。