利用者ベネフィットを考えられない通所介護は潰れる

2018年度介護報酬改定は様々な分野に影響を与えている。

プラス改定と言っても、アウトカム重視のプラス改定なのでアウトカムを出せない事業所や稼働率が低い事業所は一瞬で赤字に転落すると言える。

通所介護にも厳しい項目が目立つ。

通常型・大規模型の基本報酬が下げられ、BIに関する指標が導入されたが、その報酬は非常にわずかなものであり、ほぼ、財務的な意味はないだろう。

そのため、今後、重要なのは利用者の確保である。

通所介護は5万件に迫る勢いで全国に散在している。

リハビリ、入浴、長時間、お泊り、ヒノキ風呂、おいしい料理、カジノなど様々なサービスが玉石混合状態である。

このような中において、通所介護が生き残っていくためには「利用者のベネフィット」に訴求する必要がる。

利用者は通所介護というサービスを求めているのではなく、通所介護に通ったことによる効果を求めている。

この効果をベネフィットと言う。

通所介護に通うことで得られるベネフィットが少なければ、通所介護にこまめに行く動機付けが低下し、欠席することも多くなり、いつしか別の通所介護に乗り換えることに繋がる。

稼働率が極めて重要な通所介護において、顧客のベネフィットに訴求できない通所介護は、今後、利用者から選ばれることなく時代に淘汰されていく。
顧客のどのようなベネフィットに訴求しているのかがわからない通所介護の経営者やスタッフは多く、単に「お世話をしている」のが通所介護であると認識している事例が散見する。

お世話は利用者のベネフィットにならない。

お世話は手段であり、目的にはなりえないからだ。

当然、利用者が求めているベネフィットの全てに答えることは難しい。

したがって、どのようなベネフィットを提供するかを定義し、その実現に向けてひたむきに努力をすることが通所介護には求められている。

利用者のベネフィットを訴求しないお世話型通所介護は今後、利用者、ケアマネ、地域医療機関からも選ばれることが非常に厳しい状況になる。

改めて、通所介護は利用者のベネフィットを考える必要がある。