目先の診療報酬改定に対応することは重要である。
なぜならば、診療報酬改定は改定後の数年間の医療機関の経営に大きな影響を与えるからだ。
リハビリテーション部門や経営陣にとって、施設基準や算定項目を精査し、組織の持つ能力の範囲で最大限の診療報酬上の収入を得られるよう努力することは責務である。
しかし、目先の診療報酬改定以上に取り組まなければならいことがある。
それは、将来的に必要とされるリハビリテーションサービスを予測し、そのサービスを開発・運用することである。
将来的に必要とされるリハビリテーションサービスに取り組むことで、他医療機関のサービスと差別化することができ、質の高いリハビリテーションを行うこと ができる。
さらに将来的に診療報酬改定で評価されれば、経済的なメリットを得られるなど医療機関にとって経営上の大きなアドバンテージが手に入る。 では、どのようにすれば、将来的に必要とされるリハビリテーションサービスを予測できるだろうか?
まず、どの医療機関でも出来ることは、自院のリハビリテーションサービスにおける問題点を探り出し、その解決のためのソリューションを検討することであ る。
しかし、これを行うためには、洞察力の高い理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が必要であるため、人材の能力が大きく影響する。
もう一つの方法は各種団体が国に要望している内容を精査することである。
各種団体は各職能集団や医療機能集団で構成されており、各分野における課題を常に集約している。
その集約した内容を国に評価してもらうために、定期的に要望書を提出している。 その内容を確認すれば、将来的に評価される可能性高いリハビリテーションサービスが予想できる。
例えば、各種団体は以下のような項目を国に要望している。
呼吸リハビリテーションや心大血管リハビリテーションで言語聴覚士によるサービスを評価して欲しい
摂食機能療法の適応疾患の拡大を行って欲しい 病棟セラピストの配置をより評価して欲しい
看護師と理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が連携して総合的な訓練を行うことを評価して欲しい
認知症に対応するために、認知症チームケアという概念を確立し、そのサービス提供を評価して欲しい
など、その他多くの要望内容が各団体より提言されている。
これらの内容を精査し、自院にとって意味のあるものに取り組むことは、先述したようなメリットがあり、大変意味のあることである。
目先の診療報酬改定は大切 しかし、その先にある診療報酬改定はもっと大切
こういった意識を理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は持たなければならない時代であることを自覚しなければならない。
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 助教