地域包括ケアシステムの中心をなす考え方は、「在宅シフト」である。
現在、急性期病床、回復期病床、療養病床のすべてから、患者の在宅シフトが進んでいる。
入院医療から在宅医療へのシフトは、軽症患者から重症患者まで含まれる。
従来なら入院医療で対応していた患者が、在宅医療を受けながら在宅で生活することが一般的になっている。
2015年度介護報酬改定においても、「中重度者」への在宅サービスの評価が行われた。
特に、在宅や施設における看取りは強く推進されており、死亡前4日以上30日以下の加算が80単位から144単位まで引き上げられており、在宅での終末期対応が強く求められている。
団塊ジュニアが死亡する2050年前後までは、医療の在宅シフトが加速し、重症患者が在宅で生活することが当たり前になる。
そのような状況においては、「ADLやIADLを改善するリハビリテーション」だけでなく、「全身状態や終末期QOLを改善させるリハビリテーション」が益々重要となってくる。
しかし、現在の学校教育、臨床教育、卒後教育では「重症患者向けリハビリテーション技術」は十分に網羅されていない。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が持っている知識と経験をより、重症患者向けリハビリテーションサービスへ転換させていけば、リハビリテーション専門職の必要性も高まり、過剰供給も緩和される。
褥瘡・シーティング・認知症・呼吸循環・疼痛・可動域制限・誤嚥性肺炎・トランスファーなどまだまだ、セラピストには未開拓な分野がある。
未開拓な分野は、ピンチであり、チャンスである。
在宅シフトという市場の流れを十分に捉えた上で、セラピストは技術取得に臨む必要がある。