2020年度診療報酬改定を受けてリハビリテーション部門はどのような運営を心掛けるべきか?その1 マーケティング

2020年度診療報酬改定の最終答申が出た。

今回も疾患別リハビリテーション料の単価は増加することなく据え置きとなった。

リハビリテーションでは、リハビリテーション実施計画書の作成タイミング、外来リハビリテーション料、専従者の複数業務可能など働き方改革に関する部分の改定が目立った。

一方で、急性期、回復期、地域包括ケア病棟は再編を促す内容が大きく盛り込まれた。

急性期は重症度・医療看護必要度の強化
地域包括ケア病棟は、400床以上の病院に対する新設不可、自前急性期転棟が6割未満
回復期リハビリ病棟はFIM利得向上
などが設定された。

このような設定は明らかに病棟機能が低い医療機関に対する警鐘であり、これらの要件を満たせない場合は、他の医療機能への転換やベッド数の返上を促すものである。

このような背景の中で、リハビリテーション部門はどのような運営を心掛けていけば良いのだろうか?

まず、リハビリテーション部門は患者を集めるためのマーケティングをしなければならない。

マーケティングについては過去にも投稿してるので下記の内容を参照にしてほしい。リハビリテーションの機能をアピールしたいなら理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が主体となったマーケティング活動をしましょう

マーケティングを一言で言うと、「自社の価値を顧客に届けてサービスを購入してもらうこと」になる。

先述したように、疾患別リハビリテーション料の単価の増加は今後も期待できない。

したがって、今後は病棟稼働率、外来利用者数を増やして、疾患別リハビリテーション料を確実に算定できる状況を作り続けることが重要となる。

病棟稼働率や外来利用者数を増やすには診療報酬改定で定めらたアウトカムは満たすことは当然である。

その上で、リハビリテーション部門のサービス提供価値を地域の医療機関や住民に理解してもらわないといけない。

リハビリテーション部門のサービス提供価値は単にリハビリテーションの医療行為だけでなく、連携に対する取り組み、退院後のフォロー、入院中の教育的指導、接遇、家族不安への取り組みなど多岐に渡る。

いくら素晴らしいリハビリテーションやサービスを提供していても、それが地域の医療機関や住民に理解されていなければ、患者紹介や利用につながる可能性は低い。

つまり、これからの時代は「情報発信」が極めて重要と言える。

リハビリテーション部門は、病院経営を経営者や幹部職員に任せるだけでなく、主体性をもってリハビリテーション部門の情報発信に努めなければ患者が減り自分たちの部門の存在意義もなくなってしまう。

診療報酬改定で単価が上がることを期待するよりも、「情報発信」を通じて患者を増やしていく方が得策である。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
茂澤メディカルクリニック
たでいけ至福の園
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学 客員准教授