2021年度介護報酬改定 皆さん、要点を抑えて運営できていますか?

2021年介護報酬改定は非常に大きな改定であったと言える。

2025年を前に大きな方針転換を図った改定であったと言えるだろう。

大きな変化としては以下の3つが挙げられる。

BCP:事業継続計画
介護保険事業所のすべてにBCPの策定が求められた。

BCPを書面の上で作成するだけではなく施設系は年に2回以上、在宅系は年1回以上の研修と訓練が必要となった。

BCPは雛形が厚生労働省等から出ているが、その作成には自社の課題をしっかりと反映したものを作ることが望ましい。

地震、水害、感染症などの異常事態が生じた場合における自社特有の課題を抽出し、BCPに反映することが重要である。

これまではBCPは経営者の頭の中だけで考えていたものだが、2021年度介護報酬は事業所の総力でBCPを作成することが求められました。

それほど、近年の異常気象による災害や新興感染症による介護事業への悪影響が大きいと言えるでしょう。

LIFE:科学的介護情報システム
通所系事業所と訪問リハビリにはLIFEを活用したデータ入力に伴う加算が設定された。

現在の所、訪問リハビリを除く在宅系にはLIFEの入力は求められていないが次回2024年度改定ではすべての介護保険事業所にLIFEの導入が行われる見込みである。

現在、LIFE関連の加算には
リハビリ関連
口腔ケア関連
栄養関連
ADL維持等加算
褥瘡マネジメント
科学的介護推進体制加算
などある。

これらの加算は完全に算定しておくことが進められる。

次期改定ではこれらの加算の取得を前提とした上位区分の加算が設定される見込みであるからだ。

また、時期改定ではLIFEのデータベースからのフィードバックの活用に焦点が移される。

すなわち、LIFE関連の加算を算定していなければ2024年度介護報酬改定に大きく乗り遅れる可能性が高い。

勤続年数の評価
サービス提供体制強化加算に上位区分が設定され次の3段階の加算になった。

サービス提供体制強化加算Ⅰの算定要件
①次のいずれかに適合すること。
・介護職員の総数のうち、 介護福祉士の占める割合70%以上
・介護職員の総数のうち、 勤続10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上

サービス提供体制強化加算Ⅱの算定要件
①介護職員の総数のうち、 介護福祉士の占める割合50%以上

サービス提供体制強化加算Ⅲの算定要件
①次のいずれかに適合すること。
・介護職員の総数のうち、 介護福祉士の占める割合40%以上
・利用者に直接サービス提供する職員の総数のうち、 勤続7年以上の者の占める割合が30%以上

このように勤続年数を評価する改定が行われた。

頭数として介護福祉士を揃えるだけではなく、すべての従業員の離職を防止する取り組みが必要であると言える。

BCP/LIFE/勤続年数評価などは今までの介護報酬改定において直接的に求められるものではなかった。

2021年度介護報酬改定は、介護事業所のマネジメントレベルを数段上にあげようと試みるものである。

介護事業所や施設は今回の介護報酬改定が意図することを十分に理解した上で、マネジメントの質の向上が欠かせない状況となっている。

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授