PT・OT・STのキャリアデザインに有効な一点突破・全面展開

一点突破・全面展開という言葉がある。

これは古代中国の思想家孫子が、伝えた兵法の一つである。

この兵法は、現代の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のキャリアデザインに有効である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は自身のキャリアに関して、「何を勉強すれば良いかわからない」と悩んでいる人が多い。

「すべての分野に関して基礎的なことから勉強をやり直すことが良いか?」、それとも、「自分が興味あることを勉強すれば良いか?」という二択で悩んでいるセラピストは多い。

キャリアデザインという観点で考えれば、「自分が興味あることを勉強すること」が重要である。

もちろん、セラピストとしての基礎的な知識が欠如している状態では、基礎的なことを学ぶ必要がある。

しかし、一定の基礎的なことが学習できているセラピストは、次のステップとして「興味があることをとことん勉強すること」が、キャリアデザインの上では有用である。

興味がある分野の学習は、継続しやすく、取り組めば取り組むほど知識や経験が増え、もっと様々なことを知りたいという欲求に駆られる。

好きなことにとことん取り組めば、新しい壁が現れる。

しかし、その壁は好きなことの延長線上にある壁なので、その壁を超えることはあまり苦にはならない。 090750 例えば、次ような事例がそれに当てはまる。

脳科学に興味を抱き、脳科学の勉強を行う→
脳科学の知識を臨床応用するために、運動療法や認知課題の評価や治療の開発に取り組む→
慢性期の脳卒中への脳科学の応用に興味が生まれ、在宅分野に転身する→
訪問リハビリテーションに取り組むようになり、在宅の環境と機能回復の在り方を考えるようになる→
環境設定が重要であることに気づき、福祉用具と心身機能の関係を考えるようになる

このように、たった一つに力を注ぐことで、他の分野に応用できる力がついてくる。

様々なことを中途半端に行うよりも、一点に集中することにより、関連する分野の知見も増幅されていくことが、一点突破・全面展開である。

興味のなかった分野でさえ、一転突破・全面展開することで、興味のある分野に変わる。

キャリアに行き詰まっているセラピストは、まずは、一転突破できる分野を考えてみてはいかがだろうか?

 

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

収入を上げるために転職を繰り返すPT・OT・STは井の中の蛙セラピスト

医療・介護業界は転職が多い業界である。

特に、薬剤師・看護師・理学療法士・作業療法士は転職が多いことで有名である。

現代はインターネットが高度に発達しているため求人情報に簡単にアクセスできる。

また、医療・介護職は同職種間での情報網が発達しており、人材の引き抜きも日常的に行われている。

転職の理由は①待遇面②環境面③人間関係の悪化が多い。

こういった理由から転職を繰り返す人も多い。

後期高齢者の増加や要介護者の増加などにより、医療・介護関係の有効求人倍率が高いため多くの医療機関や介護事業所が慢性的な人手不足に陥っている。

その状況を利用して、転職を繰り返し、収入を増加させる人も多い。

しかし、転職 イコール キャリアデザイン ではない。

就職先の人手不足で転職した場合、マンパワーとしての労働力が評価されただけであって、個別の技術や能力が評価されたわけではない。

技術や知識の向上が伴わない転職で収入を増加させることに慣れてしまっている人は、キャリアデザインの重要性を感じることは難しい。

人手不足が解消されたとき、キャリアデザインを怠っていた人たちは一気に、落ち目になる。

今後の医療制度改革・社会保障制度の激変を視野に入れ、今からキャリアデザインを行っている人の将来は明るい。 877c8b7a18cc956b901260168feb9e18_s

「井の中の蛙」という言葉がある。

見聞・視野の狭いこと 昔の習慣・基準のみとらわれいること 外の世界を知らない ことを指す言葉である。

収入を上げるために転職を繰り返す理学療法士や作業療法士は、残念ながら井の中の蛙セラピストである。

キャリアデザインを伴わない転職は決して将来への投資にはならない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

新人セラピストの安易な就職先の選択はセラピスト人生の致命傷になる可能性がある

家からの通勤圏内で探しています
給料が少しでも良いところを探しています
大きな医療法人を希望しています
両親が○○病院に就職しろと言います

これらは、新人セラピストが就職先を選択する理由として実際にあるものである。

新人セラピストの最初の三年間は大きな意味を持つ。

最初の三年間は臨床現場で様々な課題にぶち当たる時期にであり、この時期に実践を通じて自身の専門職としての知識や技術を深めていく。

そして、何よりも
リハビリテーションとは何か?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士とは何か?
ということを肌で感じる時期である。

このような大切な時期を漫然と過ごすと取り返しのつかないことになるかもしれない。

尊敬できる先輩セラピストがいない
評価から治療の展開を体系的に学ぶ機会がない
リハビリテーションに関する倫理感が低い
売上優先でロボットのように働く
人間関係が悪く、利用者中心で物事が進まない

このような医療機関や介護事業所に就職すると、もっともリハビリテーションに関して大切なことを学ばなければならない時期に無駄に過ごすことになる。

時間は有限。

失った時間は戻ってこない。

ライバルの新人セラピスト達は「目先の利益だけでなく、将来の利益のために就職先を選択」したかもしれない。

セラピストとしての競争は学生時代から始まっていることを自覚しなければならない。

既卒セラピストでも同様に目先の利益で転職をしないことが重要である。

目先の利益に飛びつくととんでもないしっぺ返しに会うことになるだろう。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

リスク・テイキングができないセラピストはキャリア形成が難しい!?

プランドハプスタンスセオリーがキャリア形成には重要である。

本稿では本理論をよりキャリア形成で活かしていくための方法について説明する。

本理論は、 偶発的な出来事を意図的に生み出すように積極的に行動することで、キャリアを形成する機会に恵まれる と主張する。

「偶発的な出来事を意図的に生み出す」という意味は一見矛盾するように聞こえる。

「偶発的な出来事」とは、予期せぬ出来事、予期せぬ出会い、予期せぬチャンス、予期せぬリスク、予期せぬクレーム、予期せぬ依頼・・・・・など、自分が当初思い描いていない出来事が発生することである。

何かを行動に起こすことで人は、予期せぬ出来事に出会う。 これらの出来事には、プラスの内容もあれば、マイナスの内容もある。

プラスであっても、マイナスであっても自身の努力によって、その出来事を意味のあるものに変えていくことが重要である。

行動により生じる出来事を恐れていては、何にも行動は起こせない。 むしろ、生じた出来事を通じて、人間は成長する。

つまり、計画的に行動を起こすことにより、予期せぬ事態をあえて起こし、その出来事を利用して成長することが大切である。

プランドハプスタンスセオリーの実践には、以下の5つのスキルが必要である。

好奇心:新しい学習機会の模索

持続性:めげない努力

楽観性:新しい機会を「実現可能」と捉える

柔軟性:信念、概念、態度、行動を変える

リスク・テイキング:結果が不確実でも行動に移す

この5つのスキルは、保守的な人間にはハードルが高い。

特に、リスク・テイキングができないと本理論の実行は難しい。

不確実な中に確実さを探る勇気がこれからの時代では必要である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、資格で守られた保守的な職種である。

それゆえ、リスク・テイキングという発想そのものがないセラピストも多い。

医療・介護制度が様々な変革を起こし、社会情勢が混沌としている今こそ、リスク・テキングを恐れず、行動を起こす時期である。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 助教

失業より怖いのはアイデンティティの喪失である 

失業は怖い。

失業をすれば生活困窮者となる可能性がある。

だから、失業は誰だって怖い。

しかし、本当に失業というものは、それほど怖いものなのか?

失業より怖いものは何か?

れはアイデンティティの喪失である。

アイデンティティとは 人が時や場面を越えて一個の人格として存在し、自己を自己として確信する自我の統一を持っていること である。

わかりやすく言うと、 「自分自身の価値観を自分自身で常に感じられ、その価値観を自我の中に取り入れている状態」 である。

よって、アイデンティティが保持できていれば、たとえ、失業しても、明確な価値観から次の人生の目標や行動規範が生まれ、前向きに人生を歩んでいくことができる。

しかし、アイデンティティを失うと、自分の価値観に基づく行動が発現されにくくなる。

特に、仕事とアイデンティティを同化させている場合、失業に伴いアイデンティティを喪失しやすい。

さらに、失業による経済的困窮が重なれば、自分の価値観の喪失と生格苦が同時に生じる。

これほどの、人生の危機はない。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士というアイデンティティがあるのではなく、自分のアイデンティティを理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という資格を通じて、発現していく生き方が望ましい。

仕事とアイデンティティを同化させてはいけない。 アイデンティティさえ失わなければ、人生は明るい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 助教