理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が他の医療・介護・福祉関連資格等を取得し、キャリアップを図ることは珍しいことではない。
資格取得はその資格が示す領域での一定レベルの能力を担保するものであり、資格を取得することは有意義な事である。
しかし、資格取得=周囲から評価される というものではない。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は既に理学療法・作業療法・言語聴覚療法というスキルを取得している。
そのスキルに何らかのスキルを組み合わせることで価値が創造される。
しかし、このプロセスを間違えてしまうと資格を活かしたキャリアデザインは失敗に終わる。 考えなければならない視点は3つ存在する。
一つ目は、あなたの利害関係者は誰であるか?という視点である。
PT・OT・STの資格に加え、新たな資格取得を取得することの目的は、それにより創出される価値が利害関係者に貢献することである。
つまり、利害関係者を明確にできなければ、資格取得による価値創出の対象者が決まらないため、資格取得を行う目的がボヤけてしまうことになる。
利害関係者を明確にするもうひとつのメリットは、利害関係者が得られる対価の種類が予想できることである。
例えば、病院の理事長が抱える問題を解決することができれば、理事長から何らかの対価が得られる。
この場合、理事長というポジションを考えると対価は、昇給、ボーナス、評判、名声、昇進などが考えられる。
したがって、利害関係者を明確にせずに資格を活かした働き方をすることは、あまりにも費用対効果を無視していると言っても過言ではない。
もちろん、単なる趣味で資格を取る場合は例外ではあるが、多くのPT・OT・STは何らかの対価を得ることも資格取得の目的に含んでいるはずである。
二つ目は、あなたは利害関係者が抱える問題をどの程度の水準で解決し、どの程度の対価を得たいのか?という視点である。
当然、高い水準で問題を解決することができれば、利害関係者からの対価は大きくなる。
すなわち、資格を得ることで創出される価値のインパクトをどの程度のものにしたいのかを明確にすることによって、資格取得により創出される価値の内容が変化してくる。
三つ目は、どのような資格を習得してどのような価値を創出するのか?という視点である。
利害関係者と解決へのインパクトが決まれば、必要な価値の内容が決まる。
その価値を創出するためにどような資格を取得すれば良いかを考えやすくなる。 事例を以下に示す。
利害関係者 病院長・経営者
インパクト 強い
価値内容 在院日数短縮に寄与する価値
取得資格 医療技術に関する資格(摂食嚥下・呼吸・離床技術に関係する資格)
株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授