キャリア理論ってなんだ?

これからの時代を生きるPT・OT・STにとって、キャリア理論を知ることは益々重要となっている。

これからの人生を自分らしく生きていくために、「キャリア理論」を活用する有用性は高い。

「キャリア理論」を、簡潔に説明すると「自分自身の過去を振り返り、今とこれからの生き方や働き方を決断することができるツール」と言える。

仕事とは何か?

人生とは何か?

そういった悩みもつPT・OT・STが急増している。

普通に働いていれば昇給する、年金が満額もらえる、終身雇用が保障されている・・・などの時 代は終焉し、今は昇給もわずかな金額となり、年金制度も破綻し、終身雇用制度も崩壊した。

つまり、頑張っていれば確実に起こっていた出来事が、今からの時代は起こらない。

そのような時代で必要なことな何か?

それは、自分らしく生きていくために必要な「自分軸」である。

PT・OT・STとして、このように働いていきたい、

こんな人生を歩んで行きたいという動機があれば、たとえ社会情勢が不確実なものとなっても、自分らしさを保つことが出来る。

もし、社会情勢も不確実、そして、自分自身の働き方や生き方の軸もブレブレとなれば、自分の人生は、社会情勢や自分を取り巻く環境に支配されるだろう。

「自分軸」を作るためには、自身の人生の「過去」「現在」「未来」を分析し、今までのキャリアとこれからのキャリアについて考える必要がある。

その時に役立つ物事の考え方が、「キャリア理論」である。

当ブログでも様々な「キャリア理論」について解説しているので参考にして欲しい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

資格だけでは食えない時代にどう生きるか

医療・介護・健康関連の資格価値は、今まさに深刻なデフレーション局面にある。

かつて「資格を取れば食っていける」という時代は確かに存在した。

だが、今やそれは幻想に過ぎない。

日本は世界有数の高齢社会であり、医療・介護・健康分野の資格保有者は年々増加の一途をたどっている。

資格は飽和し、職能間の競争は激化している。

加えて、長引く経済低迷により、公的保険制度を支える財源は逼迫している。

国は医療・介護費の抑制を前提とした制度設計を進め、診療報酬や介護報酬の改定も「縮小均衡」が常態化している。

つまり、国家予算という“財布”が小さくなる中で、いくら資格を持ち、知識や技術を磨いても、それに見合う報酬が支払われる保証はどこにもない。

それでもなお、多くの医療・介護従事者は「資格さえあれば安泰だ」と信じて疑わない。

もしくは、現実に気づきながらも悲観し、現場での疲弊に甘んじている。

だが、時代が求めているのは“資格保有者”ではなく、“社会に価値を生み出す実践者”である。

資格の持つ真の価値は、特定の領域で専門性を発揮することにとどまらない。

医療・介護・健康領域は、異分野からの参入が難しい構造を持つ一方で、その知識や経験を他分野へと展開する力を有している。

すなわち、専門職は「参入障壁」と「越境的応用」の両方を備えているという点で、極めて優位な立場にある。

とはいえ、資格に過度に依存すればするほど、その優位性は失われていく。「

資格さえ取ればよい」という考え方は、自らの可能性を資格という枠に閉じ込める危険性を孕んでいる。

これこそが「資格取得のジレンマ」である。

このジレンマを乗り越えるには、資格を“目的”ではなく“手段”と捉え直し、自らの知識や経験を通じて社会課題を解決する姿勢が求められる。

もはや“資格に守られる時代”ではない。

「価値を創り出す人材」が報われる時代である。

医療・介護・健康の現場で働くすべての人に、いま一度問い直してほしい。

自らの資格は「社会にとって、どのような価値を生んでいるのか」と。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
国家資格キャリアコンサルタント
株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
経営相談・セミナー依頼はお気軽にお問い合わせください。

プレゼンティーズムが企業を蝕む──健康経営が未来を守る

働きながら身体的・精神的な不調を抱える労働者が、近年ますます増加している。

少子高齢化が加速し、労働人口が減少するなかで、健康を損ないながらも働き続ける人々の存在は、企業や社会にとって重大なリスクとなっている。

たとえ職場に出勤していても、本来のパフォーマンスを発揮できずに生産性が著しく低下している状態──これを「プレゼンティーズム」という。

目立たないが深刻なこの問題は、経営層や人事部門が軽視できるものではなく、企業の収益性や競争力を左右する重大な経営課題である。

精神的な不調としては、うつ病や不安障害、燃え尽き症候群が代表的である。

これらのメンタルヘルスの問題は、本人すら自覚がないまま深刻化することが多く、職場での支援が遅れる原因となる。

一方、身体的な不調としては、腰痛や肩こり、膝痛など慢性的な痛みが挙げられる。

これらは労働意欲の低下のみならず、集中力や判断力の低下を招き、業務効率を著しく損ねる要因となる。

これらの不調が積み重なれば、やがて長期休職や離職という結果に至り、企業にとっては人的資本の流出という重大な損失となる。

これらの課題を解決し、誰もが安心して働き続けられる社会を実現するためには、企業自らが「健康経営」を戦略として位置づける必要がある。

健康診断や産業医の配置など、従来型の健康対策だけでは不十分であり、より踏み込んだ健康増進プログラムの導入が不可欠である。

特に高齢化が進む現代においては、シニア世代の労働者に対して、運動習慣の定着や職場での身体活動の促進、さらにはリハビリテーションの視点を取り入れたプログラムが必要とされる。

これにより、健康の維持だけでなく、労働意欲の向上や就労の継続が期待できるのである。

現在の日本では、健康増進を担う主なプレーヤーはスポーツクラブや健康食品業界である。

しかしながら、こうした業界は主に健康な人々を対象としているにすぎない。

これからは「予防医学」の観点を強化し、すでに不調を抱える層や、疾病予備軍とされる人々に対する介入が重要となる。

その中心的な役割を担うのが、医療・介護現場で経験を積んだリハビリテーション専門職である。

彼らが積極的に関与することで、医療費の抑制と労働生産性の向上という二重の効果が得られるはずである。

今後の予防市場は、果たして誰が主導権を握るのか。

健康増進分野の専門家であろうか。医療・リハビリテーションの専門職であろうか。

それとも、医療と健康の境界を越えて活躍する「バウンダレスキャリア」の人材であろうか。

共存共栄という理想論だけでは語れない、熾烈な市場争奪戦がすでに始まっている。

予防・健康づくり市場は、今後の10年でさらなる転換期を迎えることは間違いない。

そして、いまこそ私たちは問わねばならない。

制度改革を待つだけではなく、現場から未来を切り拓く覚悟を持てるのか。

その答えは、他ならぬ私たち自身の手に委ねられているのである。

筆者
高木綾一

理学療法士
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関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
医療機関や介護事業所の経営支援を通じて、組織の成長と発展をサポートする。
著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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医療・介護職の収入問題と主体性の関係性

医療・介護の現場において、セラピスト、介護職、事務職の給与水準は依然として低いままである。

実際、手取りで15万円から30万円程度の職員が多数を占めているのが現状である。

では、給与は誰が上げてくれるのか。
国であろうか。
院長であろうか。
施設長であろうか。
行政であろうか。

確かに制度的な支援や経営者の意識改革も必要ではある。

しかし、本質的に自らの収入を高められるのは、他の誰でもなく「自分自身」である。

思い出してほしい。

小学校や中学校の頃、野球やサッカー、武道などのスポーツでレギュラーメンバーに選ばれるために、どれほど努力を重ねたか。

何の準備も努力もせずに選ばれた者は、特別な才能を持つか、親の影響力を使えるごく一部の者だけであった。

多くの者は、チームが必要とするポジションを見極め、その役割に求められる技術、体力、精神力を磨いてレギュラーの座を勝ち取ったはずである。

にもかかわらず、なぜ介護福祉士やヘルパー、理学療法士、作業療法士になった途端、「給料が上がらない」と嘆くのか。

給料とは「上がるもの」ではなく、「上げるもの」である。

自らの専門性を磨き、現場での信頼を築き、職場やチームにとって不可欠な存在となる。

そのような積み重ねこそが、自身の価値を高め、収入向上へとつながるのである。

現状を嘆くより、未来を創る行動を選ぶべきである。

給料は、待っていても上がらない。

自分の手で上げるものなのだ。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
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株式会社Work Shift代表取締役
関西医療大学 保健医療学部 客員准教授

医療・介護分野の経営戦略や人材育成に精通し、年間100回以上の講演を実施。
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著書には 「リハビリ職種のキャリア・デザイン」「リハビリ職種のマネジメント」 があり、リハビリ職種のキャリア形成やマネジメントの実践的な知識を提供している。
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医療・介護人材に求められるマーケット感覚 — 環境依存と自己中心からの脱却

他人や社会から期待されることばかりに基準を合わせて仕事をすると、やがて「環境の奴隷」となる

環境の奴隷を続けていると、自ら考える力が徐々に麻痺し、次第に「環境に従うことこそ自分の意思である」と錯覚してしまうのである。

環境の奴隷は、自らの心に制御をかけ、指示されたことだけを淡々とこなすようになる。

当然ながら、そこには主体性がなく、工夫や改善への関心も薄れる。

その結果、与えられた作業はこなせても、作業以上の価値を提供することはできない。

一方で、医療・介護業界には、環境の奴隷とは逆に「アーティスト化」した個人事業主も存在する。

彼らは自分の興味関心にのみ従い、組織やチームの中で協調することを苦手とする。

好きなことに没頭する姿勢は悪くないが、誰からも必要とされないことに価値は生まれない。

自身のやりたいことだけに関心を持つ者は、現代医療に求められるチーム医療、地域包括ケア、医介連携などに関心を示さず、対応できる能力も備えていないのが現実である。

ゆえに、好きなことが他者や社会から必要とされるものであるかを見極める「マーケット感覚」がなければ、変革期を迎えている医療・介護の世界において価値を生み出すことは難しい。

環境の奴隷とアーティスト化した個人事業主は、医療・介護業界において蔓延しているが、どちらも時代に適応できない存在である。

これからの医療・介護分野で人材として価値を提供できるかどうかは、このマーケット感覚を持つか否かにかかっていると言ってよい。

筆者
高木綾一

理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)
三学会合同呼吸療法認定士
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