多職種からリスペクトされるセラピストじゃなきゃ、多職種連携の雲行きは怪しい件

うちの理学療法士は介護職から尊敬されていないのです。

作業療法士に福祉用具の検討をお願いしたのですが返事がなく困っています。

トランスファーが介護職よりできないセラピストが多くて呆れます(下図)。

これらは、私が実際にクライアント先で聞いた話である。

そして、これらの状況にあるセラピストの特徴は、多職種連携が全くできていないことである。

セラピストが多職種に影響力を発揮することが出来ないため、看護職や介護職がセラピストの助言や介入を軽視する傾向が強い。

つまり、セラピストに対する信頼がないため、セラピストの意見が重視されないのである。

無断転載禁止

多職種連携とは、双方の信頼が基盤となる。

信頼できない人の意見や指示を遵守することは難しい。

それは、医師、看護師、介護職、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士でも同様で、信頼関係の基盤があるからこそ、利他の精神で相互貢献ができる。

社会学者のレビンは人が人に影響を与える要因の一つに専門勢力と言うもの挙げている。

専門勢力(Expert Power)
影響の送り手が持つ当該の分野の実際の知識量や、その知識量について受け手が持つ認識によって決まる勢力

つまり、相手に専門性が低い場合、他者はその人から影響を受けないということである。

セラピストがリハビリテーションにおける多職種連携を促進したい場合は、セラピストが多職種にリスペクトされるほどの専門性を持つことは重要である。

トランスファーが出来ない
福祉用具の助言ができない
ADLの評価ができない
等は多職種から馬鹿にされることである。

まずは、最低限の専門性を確保し、周囲との信頼関係を構築すること。

それが多職種連携の基盤となる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
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パワースポットに行かないと上がらないモチベーションなど偽物である

パワースポットに行ってエネルギーをチャージしてきます
パワースポットに行けばモチベーションが上がります
モチベーションを上げるために、〇〇へ旅行し、有名なパワースポットに行ってきます
などの会話は良く聞かれる。

しかし、パワースポットに行けば仕事へのモチベーションが上がるなどそんな都合の良いことがあるのだろうか?

100歩譲って、モチベーションが上がったとしてもそのモチベーションは続くものだろうか?

そもそも、モチベーションを対外的なイベントや観光スポットに委ねていること自体がおかしい。

人間のモチベーションで最も強力で持続的なものは、内発的動機付けである。

内発的動機づけとは物事に興味や関心を持つことで意欲が沸き起こり、達成感や満足感、充実感を得たいという、人の内面的な要因によって動機付けられるものである。

したがって、仕事へのモチベーションは仕事への興味や関心から沸き起こるものであり、決して、パワースポットとなるもので起こるものではない。

そもそも、パワースポットと言う用語自体に何の根拠もなく、旅行業界のマーケティング用語である。

ce9bd041ac1c187d4a294e624868d4e8_s 仕事に対するモチベーションが低下しているということは、仕事への興味や関心が薄れている証拠である。

パワースポットに行かないと上がらないモチベーションなど偽物である。

仕事がパワースポットでなければ、仕事のモチベーションは上がらない。

パワースポットに行けばモチベーションが上がるという幻想を捨てて、今すぐに仕事の在り方を見直す方が重要である。

あなたの仕事や職場はパワースポットになっていますか?

投稿者
高木綾一

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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

リハビリテーション業界の闇 ADL訓練反復士の理学療法士・作業療法士が急増中!!

理学療法士や作業療法士は、機能障害にアプローチをすることで能力を改善し、社会的不利を緩和していく。

この大原則が現在崩壊しつつある。

機能障害を見つけることができず、漫然と基本動作やADL練習のみをするセラピストが増えていると実感する(下図)。

筆者がコンサルティング先のセラピストや学会の演題者に、「この症例の機能障害、すなわち、心身機能における問題点は何ですか?」と質問すると、「機能障害は不明確ですが・・歩けないので歩く経験を増やして運動学習をしています」などの返答が返ってくる。

近年、活動量の増加や運動学習の重要性が明らかになっていることから、「運動そのもの」の量を増やす場面を散見するがこのことは全く否定するものではない。

しかし、理学療法士、作業療法士が機能障害を不明確にしたまま、動作練習を繰り返すのは、理学療法士、作業療法士という専門性を放棄していると言っても良い。


(無断転載禁止)

機能障害の同定を放棄するという行為は、医師が病巣の発見をあきらめて、とりえず手術や投薬をするということと同じである。

近年、回復期リハビリテーション病棟ではFIM利得がアウトカムとして求められるようになっている。

FIMでは、ある動作ができるか?できないか?ということが判定材料となっている。

そのため、動作の質ではなく、動作が出来るかどうか?が重要視される風潮が高まっている。

理学療法士、作業療法士が機能障害への評価や治療せず、基本動作やADL練習そのもに傾倒するようになれば、それは医学や科学を学んだ国家資格者として大変恥ずかしいことである。

ADL訓練反復士か

機能障害を治療して、活動、参加を促せる理学療法士、作業療法士か

あなたはどっちを目指していますか?

投稿者
高木綾一

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修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
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PT・OT・STの3つの働き方を整理する

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には3つの働き方が存在する。

3つの働き方の存在を知らないために、特定の働き方のみを漫然と継続することは避けたい。

様々な働き方を知った上で、価値観や状況と照らし働き方を選択することが賢明だ。

3つの働き方
1.医療機関や介護事業所などの企業に所属し働くこと

2.フリーランスやコンサルタントとして働くこと

3.起業し、自身で事業を運営すること choice それぞれの働き方にはメリットとデメリットがある。

1.医療機関や介護事業所などの企業に所属し働くこと
雇用主に雇われて働く事になる。
企業規模に応じて求められる仕事内容が変化する。
企業規模が小さくなればなるほど、様々な仕事を経験することになる。
小さな医療機関であれば、外来、入院、訪問業務などを兼務することも珍しくない。 しかし、兼務業務が増えてくると長時間勤務になりやすいという特徴がある。
企業で働けば、企業がどのような人材を求めているのかを肌で感じることができる。企業の中でしっかりと成果を出せば、企業が倒産しない限り、長期間、安定的な給与をもらうことができる。
病院や介護事業所の勤務がこの働き方に属する。
現在、多くの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がこの働き方を選択している。

2.フリーランスやコンサルタントとして働くこと
自分の知識や経験を価値という形で、市場に提供し、お金を得る働き方である。
日々の時間の使い方は比較的自由であり、また、自分が価値を提供するクライアントの数も、自由に決めることが出来る。
この働き方の最大の特徴は、提供できる価値の質の向上や担保が極めて重要であるという点である。
クライアントは、学歴・年齢・情意面などであなたを評価せず、純粋に「価値」で評価してくる。
したがって、価値を高めていく自己研鑽能力が要求される。
医療経営や介護事業のコンサルタント・特定のリハビリテーション領域の技術系コンサルタント・様々なプロジェクトに携わるフリーランスセラピストなどがこの働き方に属する。

3.起業し、自身で事業を運営すること
自身で資金を拠出し、会社を設立する働き方である。
会社の方針立案、運営、営業、サービス提供などを司令塔として実行する。
従業員を雇う場合もあれば、雇わない場合もある。
会社経営の全責任を自分に担うことになる。
事業が成功した時の経済的なメリットが大きい働き方である。
訪問看護ステーションや通所介護を経営するセラピストやインターネットを用いたリハビリテーション関連事業を行うセラピストなどがこの働き方に属する。

これらの3つの働き方を知った上で、自身のキャリアを決めることは重要である。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士としての可能性を狭めないためにも、広い視野で働き方を捉えるべきである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

 

解決力を持つエキスパートになることは、計り知れないアドバンテージをPT・OT・STに与えてくれる

これからの時代において、長期間に渡り、PT・OT・STが活躍していくためには、「特定の分野のエキスパート」になることが重要である。

医療・介護・リハビリテーションを取り巻く環境変化が激しい時代においては、「個別リハビリテーションが出来る」・「一日18単位取得できる」・「訪問リハビリテーションができる」などの作業レベルの価値提供では、まったく、話にならない。

社内で大きな課題が生まれた時、地域で新しい挑戦を始める時、質の高いサービスを開発したい時に、経営者や上司が真っ先に頼ってくる人材になっておくことが、PT・OT・STの明るい未来に繋がる。

全てのPT・OT・STが、「特定の分野のエキスパートになる」ことを意識していない。

むしろ、そのような意識を持っている人は少数派である。

よって「特定の分野のエキスパートになる」こと達成することができれば、大勢のセラピストより、圧倒的に目立つことができる。

特定の分野のエキスパートになるということは、マニアックな知識を詰め込むということではない。

何かを解決することができる具体的な方策を有していると言うことである。

解決力という目立つパワーを有するエキスパートには、常に付加価値が高い仕事が訪れる。

当然、付加価値の高い仕事に対応することができれば、経済的なメリットを得られる可能性も高い。

また、付加価値の高い仕事をしていたという履歴は、エンプロイアビリティを著しく高めることになる。

解決力を持つエキスパートになることは、計り知れないアドバンテージをPT・OT・STに与えてくれる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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