セラピストの働き方のヒント ソーシャルワーク

ソーシャルワークとは 「生活をする上で何らかの困難を抱えている人の多様なニーズを把握して、社会資源を活用し、援助する専門的な対人援助技術」 である。

ソーシャルワークの対象は、ミクロ・メゾ・マクロに分かれる。

ミクロ・ソーシャルワーク
個人面接を通して、課題やニーズを把握し、適切なサービスを調整し、提供する。
主な手法は面接となる。
面接を通じて、課題とニーズをとらえ、利用者が自分自身の課題を明確に把握し、課題解決に向けて自己決定できるように支援していく。
受容的・非審判的な態度・秘密保持・人権尊重・援助計画作成能力が求められる。
例:カウンセリング・面談・個別リハビリテーション

メゾ・ソーシャルワーク
集団や組織の構成メンバーに対して支援を提供する。 メンバー同士が相互関係を発展させ、課題解決に向けて支援する。
集団への強制をなくすために、「離脱できる自由の保障」が重要である。
他のメンバーと接することで、自分を客観的に見るようになり、自身の問題に気づくことや他者への共感により孤立状態から脱却できる。
また、集団にいると役割や多様な交流が発生し、社会の一員としての活性化につながる。
例:通所介護・通所リハビリ・患者の会・地域グループ

マクロ・ソーシャルワーク
地域社会を対象として、生活をするうえで困難を抱えている人の背景にある社会問題に着目し、個人を支援していく。
社会に対するサービス供給側の課題も考え、地域社会全体に働き掛けていくことになる。
例:NPO・社会福祉協議会・行政・一般社団法人・株式会社 193119 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の職域拡大やキャリアデザインを考えるうえでも、ソーシャルワークの視点は有用である。

自身の持っている知識や経験をどのような場で提供し、社会の役に立てていくのか?

そして、どのようにして収入を得ていくのか?

これらについて、ソーシャルワークのモデルを用いて、考えるとヒントが得られるかもしれない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

セラピストに圧倒的に足りない基本ビジネススキルを高める資格

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に足りないスキルの一つにビジネススキルがある。

養成校在籍中はリハビリテーションや医学に関する勉強や実習は経験しているが、ビジネスキルに関してはそれほど時間をかけて勉強をしていない人がほとんどである。

また、臨床に出てからも、評価や治療法に関する勉強はするものの、ビジネススキルの習得は二の次というセラピストが多い。

しかし、現在の医療・介護の現場では、カンファレンス、資料作成、申し送り、プレゼンテーションなどの機会も多く、ビジネススキルが不十分であると、業務に支障が生じる状況になっている。

一昔前のセラピストであれば、リハビリテーションの職人として働いていれば良かったが、今はビジネススキルを身に着けた職人でなければ、現場では戦力とみなされない。

ビジネススキルとは、「仕事をするために最低限必要な仕事の技」と言える。

具体的には、以下の3つの要素に分けられる。

・ テクニカルスキル(業務遂行能力):業務を行うために必要な能力

・ ヒューマンスキル(対人関係能力):上司や部下、同僚、クライアントと円滑な関係を構築する

・ コンセプチュアルスキル(概念化能力):物事の本質を見極め、他のメンバーに伝えていく

これらの要素は仕事を通じて高めていくことが基本であるが、学習を効率的に行うために資格の取得も有効である。 3ed201e61f3cc0c743bb444fae1a7418_s 特に、テクニカルスキルに関する資格は多く存在しており、その気になればすぐに学習をすることができる。

以下のような資格がテクニカルスキルに該当する。

ビジネス実務マナー検定
パソコン検定
ビジネス能力検定
Word文書処理技能認定試験
ITコーディネーター MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
ビジネス・キャリア検定
情報検定

これからの時代、文書作成や表計算作成は最低限のスキルである。

また、ITを用いた情報や業務の管理もどんどん発展していく。

今の時代に生きるセラピストはリハビリテーションや医学だけでなく、基本的なビジネススキルも学ぶ必要性が高いと言える。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
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理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

学生に厳しく、同僚にモノを言えない理学療法士の闇

2018年6月29日 産経新聞に「実習中の理学療法士実習生の自殺」に対する実習先クリニックと養成校の責任を認める大阪地裁の判決の記事が掲載された(下図)。

実習中に受けたスーパーバイザーからのパワーハラスメントにより実習生が自殺をした原因が実習先クリニックと養成校にあるとの事実認定がなされた。

この判決は、理学療法士業界にとって由々しき問題であり、理学療法士自らの自浄作用が求められる。 saiban

このようは悲劇が起こった背景には理学療法士独特の気質や文化があると考えられる。

理学療法士は実習生に厳しく、理学療法士の同業者には緩い傾向が強い。

実習生には大変厳しく批評し、指導するのに、理学療法士同士ではお互いの批判や非難をすることを避ける理学療法士が多い。

同業者に対して、甘い態度で接するのは理学療法士自らの保身以外何物でもない。

他人を批判すれば、自分も批判される。 自分へ批判を避けるためには、他人を批判することを避ける。

しかし、自分を批判することのない実習生は批判の対象となる。

これでは、弱い者いじめではないか?

理学療法士の保身の精神は、リハビリテーションの質の向上を妨げているだけでなく、日本のリハビリテーションを支える理学療法士の後輩達にも大きな不利益を与えている。

実習生に対するパワーハラスメントは当然、慎むべき行為である。

一方で、リハビリテーションの質を良くするために、実習生だけでなく、同業者の理学療法士に対しても建設的な議論を展開するべきである。

今回の裁判から理学療法士は大きな教訓を学ぶべきである。

学生にも同業者にもリハビリテーションの質を良くする姿勢で接する。

こんな当たり前のことができない理学療法士は要らない。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
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修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

運は100%実力であることをセラピストは知らなければならない

SNSの普及によりセラピストの活躍が手に取るようにわかる時代になった。

沢山の若くして成功しているセラピストが日々、SNSで近況を報告している。

人間は他人の成功を目の当たりにすると、妬みを感じるものである。

「あいつは運が良い」
「あいつは○○先生に目をかけてもらっているだけ」
「あいつは最初の職場でチャンスをもらえただけ」
などの妬み文句を言うセラピストは多い。

しかし、これらの妬み文句はすべて的外れである。

実力がなければ、目の前に運があっても運をつかめない。

実力がなければ、○○先生にも目をかけてもらえない。

実力がなければ、職場でチャンスすらもらえない。

要するに、成功する人間は実力があるということである。

実力があればあるほど、社会にはその人が活躍できる機会を与える。

つまり、「活躍できる機会の発生頻度が高い=運がある」ということである。

まさに、運は実力のうちである。

セラピストとして自分の境遇や運のなさを嘆くのは本末転倒である。

自分の実力が不足していることに嘆くべきである。

他人の成功や成功者を取り囲む環境をうらやましいと思う暇があれば、実力を高める努力を行うべき。

セラピスト過剰供給時代に生き残るためには、ひたすら実力を高めるというシンプルな原則を守ることである。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授

心地よい仕事ばかりしているとセラピストとしての成長は望めない

人の成長は今まで以上に労力と時間をかけなければ、達成することが出来ない課題や作業をしている時に生じる。

自分が出来ることの先にある「少ししんどい仕事」に挑戦しなければ、成長することはできない。

しかし、人間は出来るだけ変化のない状態を好む。

これを現状維持バイアスという。

現状維持バイアスとは、
変化よりも現状維持することを望む心理作用である。

変化することで利益を得られる可能性があるのに、変化を恐れて行動を起こすことができないのは人間が持つ心理的特徴である。

また、心理的負担のない課題や作業は自分にとって非常に居心地が良い気持ちになる。

このような心理的負担のない状況をコンフォートゾーンという。

つまり、人間は自分の成長を妨げる心理である現状維持バイアスを持っており、かつ、コンフォートゾーンが大好きなのである。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方で何年たっても成長をしていない人に出会う。

そのような方は総じて、日々の仕事内容の量も質も変わっていない。

彼らはとにかく成長をしたくないのだ。

なぜならば、現状維持とコンフォートゾーンの中毒になっているからだ。

読者のみなさんは今、コンフォートゾーンにいますか?

コンフォートゾーンではなく、少し居心地の悪い状況にいる方は喜んでも良い。

それは成長ができる空間であるからだ。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
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認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
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関西医療大学保健医療学部 客員准教授