リハビリテーション部門運営の最大の鍵は採用活動の質である

リハビリテーション部門の最大の経営資源はセラピストであることは間違いない。

そのため、多くのリハビリテーション部門は人材育成に取り組んでいる。

しかし、人材育成が成功している事例を聞くことは少ない。

多くのリハビリテーション部門では、人材育成に関して次のような課題を有している。

3年目から5年目ぐらいで退職する
職場内の風紀を乱すセラピストがいる
セラピストの多くが管理職を希望しない
臨床能力が低いだけでなく、事故を良く起こす
人事異動に納得しないセラピストがいる
部下を扇動し、組織を乱すセラピストがいる
など・・・多くの人材に関する問題が散見する。

このような問題の収束や解決のために疲弊している管理職は多い。

しかしながら、このような問題の収束や解決は組織力のマイナスをゼロに戻すだけの作業であり、本来の管理職の仕事である組織力のプラスをよりプラスに変えるものではない。

したがって、人材に関する問題が極力生じないための組織マネジメントが必要となる。

そのために必要なのは、採用の入り口で徹底した人材の人選が重要である。

組織の理念、ビジョン、業務内容、役割、キャリア教育等に完全に納得、同意した人間を複数回の面接や試験などで厳選することが重要である。

人材を厳選する活動は大きなエネルギーが必要であるが、問題人材への対応に必要なエネルギーとは遥かに健全なエネルギーである。

問題社員に振り回される組織は採用活動の質が悪すぎるだけである。

あなたは、良い人材を採用するためのエネルギーと問題社員対応のエネルギーならどちらを選びますか?

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

退職者分をただ補うだけの人事採用をしていませんか?

医療機関や介護事業所の人事部門は本来の機能を果たしていない。

医療や介護のサービスの質は、人材の質で決まると言っても過言ではない。

医療や介護ほど、人材に依存した事業はない。

それほど、人材が大切にあるにも関わらず、多くの人事部門は「ただ、退職者分を補うだけの採用」を行っている。

人事部門は経営に大きな影響を与える最重要部門である。

経営戦略を実現するのは人材
組織イノベーションを起こすのは人材
地域ブランドを創るのも人材
である。

つまり、人事部門は企業の未来をハンドリングしている部門である。

退職者分だけを補う人事採用しかしていない人事部門は、名ばかり人事部門と言える。

近年の診療報酬・介護報酬はアウトカム志向が強くなっており、医療や介護を取り巻く環境は厳しさを増している。

そのような環境変化に対応するためには、人事部門がより戦略的な人材採用を行わなければならない。

そのためには、人事部門が診療報酬や介護報酬の状況、自社の経営課題、組織イノベーションの方向性などを知る必要がある。

そして、リハビリテーション部門や看護部門は人事部門としっかりと戦略のすり合わせをしなければならない。

間違っても、人事部門が自部門の方向性と違う人材を採用することはあってはならない。

皆さんの人事部門は戦略的な採用活動が出来ていますか?

今一度、見直してほしい。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

医療機関や介護事業所は戦略的な企業倫理を実践せよ

企業の存在目的は利潤の最大化を通じて社会に貢献することである。

利潤の最大化には短期的な手法と長期的な手法があり、真の社会に必要とされる企業になるためには、長期的な手法を用いることが重要である。

短期的に会社の利潤を最大化しようとすると、経費を削減するいわゆるリストラクチャリングを中心とした手法が有効である。

リストラクチャリングには利益の確保や株主などへの説明責任などのメリットもある一方で、雇用や取引先への悪影響が大きいというデメリットを伴う。

リストラクチャリングでは雇用や取引先との関係を破壊することから、結果的に社会や地域にとって必要とされない企業となる可能性が高まる。

社会や地域から愛され必要とされる企業となるためには長期的な手法を用いて企業経営を行って行くことが重要である。

長期的な手法で大切なことは社会や地域から信頼を得ることができる「企業倫理」の実践を通じた経営が必要である。

つまり、「企業倫理」とは企業が成長していくための戦略と言える。

企業倫理を企業成長の武器として使うことが長期的な利潤の最大化に繋がる。

医療機関や介護事業所が短期的利益のために、サービスの品質を無視し、事業を運営すれば地域の利用者や介護支援専門員から反感を買う。

悪い評判はその医療機関や介護事業所を利用するインセンティブを消失させる。

一度生まれた悪い評判を打ち消すのはほぼ不可能に近い。

「企業倫理」を戦略的に実践することで、利用者や介護支援専門員との良好な関係を維持することができ、その結果、事業運営も発展する可能性が高い。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

 

リハビリテーション技術はマネジメントの対象である

リハビリテーション業界には多くの技術が氾濫している。

養成校の講義
卒後の教育
県士会の研修
民間のセミナー
実習指導者の指導
から多くのセラピストは技術を学ぶ。

しかし、学ぶ技術の標準偏差は大きく、何がスタンダードな技術であるか全くわからない状態である。

しかも、多くのリハビリテーション部門は技術を管理していない。

なぜ、技術を管理しないのか?と管理者に問うと以下のような回答が返ってくる。

どんな技術でも患者が治ればいい
セラピスト個人の考えを尊重している
幅広い視点を取り入れている

これらは実に便利な言葉である。

表面的には、いかにも「利用者やセラピストのことを考えている」ように聞こえる。


しかし、現実的には「技術を野放し」にしているだけである。

本当に良いリハビリテーション技術であるかどうか?を測定するためには、一定の基準を設け、その基準をもとにリハビリテーションの効果測定をしなければならない。

様々な技術が管理されていない状況で導入されると、たとえ改善に至ったとしてもその機序やプロセスを説明するのは至難である。

サービス業の観点から、「セラピスト個人の考えを尊重する」ということ自体が狂っている発想である。

マクドナルドの店員
有名ホテルの従業員
東京ディズニーランドのクルー
などの個人の考えが尊重されているか?

それは否である。

個人の考えが尊重されたらサービス業なんて成立しない。

提供するサービスが標準化されているからこそ、顧客がそのサービスを求めるようになる。

リハビリテーション技術のマネジメントを放棄している管理者が多い今の現状は非常にまずいと言える。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

 

「筋肉質」の経営を目指す意味

様々な経営者の著書では、経営は「筋肉質」でなければならないと述べられている。

「筋肉質」の経営とは設備投資の効率を考え設備の購入は慎重にすること、無価値な資産は抱えないこと、人件費などの固定の増加を警戒するなど説明されている。

しかし、新しく抱えた物件や採用した人材がどれぐらいの売上を計上してくれるのかについては、経営者としては明確な判断は難しい。

そこで、経営者として大切なことは、「自身の物件購入や人材採用という判断」を「正しかったもの」にするための、日々の努力を怠らないことが重要である。

世間には、新たな資産を購入する、人材を採用するなどをすれば、勝手に売上が上がっていくと考えている経営者や管理者の方がいる。

特に医療・介護業界では、医療機器購入や看護師の採用を行えば、自動的に経営がうまくいくと考えている人が多いのが実情である。

資産や人材はしっかりとした売上が計上できるようになってこそ、初めて意味を成すものだ。

そのためには、経営者の不断の努力が必要であることは言うまでもない。

ヒトやモノを揃えても売り上げは増えない。

売上を上げるシステムを作るのが経営者である。

「筋肉質」の経営は、人を雇わない、機材を買わないなどの資産を持たないという意味ではない。

今持っている資産を現金化できているのか?という視点を追求した先に「筋肉質」の経営があると言える。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科