人間関係の悪い病院・診療所・介護事業所は2025年まで生き残れません

マズローの欲求段階説によると人間の欲求は5層構造になっており、それぞれの階層を満たすことで上位の階層にたどり着けると結論づけている。

第一層「生理的欲求」
生きていくための基本的・本能的な欲求

第二層「安全欲求」
危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたいという欲求

第三層「社会的欲求」
集団に所属することやより良い人間関係を求める欲求

第四層「承認欲求」
他者から認められたい、尊敬されたいという欲求

第五層「自己実現欲求」
自分の能力を引き出し創造的活動がしたいという欲求

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多くの病院、診療所、介護事業所の最大の問題点は、第三層「社会的欲求」を満たせていないことである。

生理的欲求や安全欲求すら満たせていない組織は以前、より少なくなっている。

むしろ、生理的欲求、安全欲求だけの外面の福利厚生や給与面だけを満たして、社会的欲求を満たさないというレベルの低いマネジメントが展開されている。

特に、経営者の医療や介護へのマインドが乏しい場合、社会的欲求のための活動は急激に乏しくなる。

マインドが乏しいオーナーや経営者が採用した管理者や幹部は、医療や介護サービスの本質や従業員の育成という視点が乏しい場合が多く、その結果、人間関係や職場におけるモチベーションが低下する。

社会的欲求が乏しい状況が続けば、第四層「承認欲求」・第五層「自己実現欲求」のステージに個人がたどり着くことはない。

したがって、地域包括ケアや医療介護の連携、質の向上といった極めて高次元の課題に取り組むために必要な「従業員のモチベーション」を醸成することができず、組織は衰退の一途を辿る。

社会的欲求に最大限配慮した組織作りが2025年に向けてのキーワードである。

人間関係を良好に保つ機能は別名「集団維持機能」と言われる。

「集団維持機能」を高めるためには、人材マネジメント・組織心理学・メンターの存在、そして、企業理念の学習と展開が重要である。

これらの内容は、「マネジメント」の領域であり、「マネジメント」の学習なくして、組織の発展などありえない時代になっている。

 

 

 

経営者を支えるブレーンがいない病院・診療所・介護事業所は潰れます

2025年に向けた医療・介護制度のパラダイム転換が本格的に始まっている。

経営課題は山積しており、課題の解決なくして次期介護報酬・診療報酬改定は乗り切れない。

各分野における経営課題をあげると
病院
在宅復帰推進・在院日数短縮・病床機能報告制度への対応・介護との連携・医師や看護師の確保・電気料金増加への対策・稼働率の向上

診療所
外来患者の確保・大規模診療所への転換・基幹病院との連携・夜間対応・在宅診療報酬減額への対応・医師、看護師、セラピストの確保・介護の多角経営・

介護事業所
利用者の確保・介護報酬減額への対応・診療所、ケアマネージャー連携・在宅復帰の受け皿機能・介護施設間連携・重度者への対応・介護職の確保と教育

などが挙げられる

このような経営環境を、経営者一人で乗り越えることは不可能である。

最低、二名のブレーンが必要である。

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しかし、日本の多くの病院・診療所・介護事業所は中小企業レベルのマネジメントスタイルであり、家族経営中心の家業気質が抜けていない。

今後は、この家業気質が今後の経営のボトルネックになる可能性が高い。

家業では、家族や身内の保身を背景とした経営判断が行われやすく、環境変化に対応することが難しい。

今後、生き残る医療・介護事業になるためには、経営と家業を分離する家業分離経営を実現し、優秀なブレーンを雇用する必要がある。

オーナーや創業家のマネジメントだけで、乗り切れない時代になった今日、医療介護の従事者はマネジメント能力を磨く必要がより高まっている。

医療・介護従事者が医療技術・介護技術だけを提供していれば良い時代は終焉している。

マネジメントに関する能力を高めることは、一労働者としての生き残るためにも必要である。

 

 

仕事や人生の前進を阻害するベーシック・ミステイクに注意しろ

アーロン・ベックが確立した認知療法では、「人間の認知が行動や感情に影響を与えている」と考えている。

人間がどのように外界をとらえ、それを意味づけたか?という認知が、行動や感情に影響を与えている。


歯科医師になったが思ったより、給料をもらえないという出来事により、落ち込むという感情が生じた場合、「思ったより給料をもらえない」という出来事をどのように捉えているかという信念が落ち込みの感情を生じさせるのである。

このような非論理的な認知を、心理学では認知の歪みと呼ぶ。

認知の歪みには、6つの例があり、「ベーシック・ミステイク」と呼ばれている。

6つのベーシック・ミステイク
1.選択的抽出  文脈の中から一部だけを取り出し、全体の状況は把握せずに判断すること

2.恣意的推論  証拠がない、あるいは正反対の証拠があるにもかかわらず、否定的な結論を出してしまうこと

3.過度の一般化 一部分だけを取り上げて、すべての事柄に当てはめる

4.拡大解釈や過小評価 失敗の拡大解釈、成功の過小評価

5.自己関連付け わずかな情報を自分に関連付ける

6.分極化思考 白か黒か、両極端に考えること

このようなベーシック・ミステイクという非論理的な信念を持っていると、多くの出来事を悲観的に捉え、行動を制限してしまう。

例えば、すこし失敗しただけで「取り返しのつかないものである」と考えてしまったり、人から少し批判されただけで全員から批判されていると感じるなどが挙げられる。

セルフケアや部下の指導においては、ベーシック・ミステイクをしていないかを充分に注意し、もしベーシック・ミステイクに取り付かれている場合は、認知の歪を正していく必要性がある。

ちょっとしたことで落ち込む人、失敗を恐れて何もできない人、他人の目が気になる人はベーシックミステイクに陥っている

 

 

 

急性期におけるキュア&ケアハイブリッドリハビリテーション

高齢化の進展により、急性期病院に入院する患者の属性が変化している。

急性期病院は重症度の高い急性発症の患者が入院する「場」であったが、高齢者の延命率向上や介護保険によるケアの提供により、在宅生活と病院入院を繰り返す高齢者が増加している。

その結果、急性期病院には複数の既往歴や認知症を有する高齢者が入院するケースが増えており、急性期医療の医学的モデルが適応できない状況が進んでいる。

そのため、急性期病院では慢性期疾患を持った高齢者に対する急性期治療を行うという複雑な状況が増えている。

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特に認知症高齢者今後800万人になるとも言われており、急性期病院における認知症対応も大きな課題である。

つまり、高齢化が進展し、介護保険サービスの質が良くなればなるほど、急性期の役割は多様性を増してくる。

治療を意味するキュア、全人的アプローチを意味するケア

この両方の提供が急性期病棟には求められる時代となっており、リハビリテーションにおいてもキュアとケアのバランスが課題となっている。

専門性の高い治療技術、多職種と連携し、最良のQOLを生み出す技術、これらがミックスされたハイブリッドリハビリテーションが向こう30年は加速する。

急性期だから慢性期、認知症の技術を磨く。そんな時代になっている。

 

 

ワークシフトを実践する人にとって2025年問題は最高のチャンス

15歳から64歳までの現役世代人口は2010年には8174万人、2050年には5001万人になっている。

その間、65歳以上の高齢者は800万人以上増加している。

これは何を意味するか?

医療、介護職が不足する
医療、介護報酬が上がらない
医療、介護職の賃金が上がらない
・・・・などが毎日のように新聞、ヘルスケア雑誌に記載されている。

しかし、マイナスなことばかりが起こるわけではない。

ワークシフトを実践する医療・介護従事者には、最高の市場が訪れている。

労働力が減る社会においては、有能な人材はより、輝きを増す。

マネジメント
コーチング
急性期から慢性期に対応できる医療・介護技術
医療・介護業界マーケター
技術開発
などの能力を有する人材は、医療・介護業界において益々、至宝の存在になる。

今後、そういった人材は、複数の病院や企業に勤務し、同時に高い報酬を受けるだろう。

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ワークシフトを実践する人にとっては今後の労働市場はブルーオーシャンである。

ワークシフトを達成するためには「連続的スペシャリスト」を目指す必要がある。

連続的スペシャリストとは
独自の専門分野を持ちながらも社会の変化に対応し、連続的に専門分野を取得していく人
である。

しかも、20代だろうが60代だろうが関係ない。

真のワークシフトは死ぬまで続けることに意義がある。

ブルーオーシャンの市場が現れるのではない。

ブルーオーシャンの市場を自分で造るのだ。