マズローの欲求段階説によると人間の欲求は5層構造になっており、それぞれの階層を満たすことで上位の階層にたどり着けると結論づけている。
第一層「生理的欲求」
生きていくための基本的・本能的な欲求
第二層「安全欲求」
危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたいという欲求
第三層「社会的欲求」
集団に所属することやより良い人間関係を求める欲求
第四層「承認欲求」
他者から認められたい、尊敬されたいという欲求
第五層「自己実現欲求」
自分の能力を引き出し創造的活動がしたいという欲求
多くの病院、診療所、介護事業所の最大の問題点は、第三層「社会的欲求」を満たせていないことである。
生理的欲求や安全欲求すら満たせていない組織は以前、より少なくなっている。
むしろ、生理的欲求、安全欲求だけの外面の福利厚生や給与面だけを満たして、社会的欲求を満たさないというレベルの低いマネジメントが展開されている。
特に、経営者の医療や介護へのマインドが乏しい場合、社会的欲求のための活動は急激に乏しくなる。
マインドが乏しいオーナーや経営者が採用した管理者や幹部は、医療や介護サービスの本質や従業員の育成という視点が乏しい場合が多く、その結果、人間関係や職場におけるモチベーションが低下する。
社会的欲求が乏しい状況が続けば、第四層「承認欲求」・第五層「自己実現欲求」のステージに個人がたどり着くことはない。
したがって、地域包括ケアや医療介護の連携、質の向上といった極めて高次元の課題に取り組むために必要な「従業員のモチベーション」を醸成することができず、組織は衰退の一途を辿る。
社会的欲求に最大限配慮した組織作りが2025年に向けてのキーワードである。
人間関係を良好に保つ機能は別名「集団維持機能」と言われる。
「集団維持機能」を高めるためには、人材マネジメント・組織心理学・メンターの存在、そして、企業理念の学習と展開が重要である。
これらの内容は、「マネジメント」の領域であり、「マネジメント」の学習なくして、組織の発展などありえない時代になっている。