リハビリテーション部門の戦略を選択する時のコツ!!

組織は戦略を選択しなければ、生存し続けることができない。

今日、組織を取り巻く外部環境は急速に変化している。

リハビリテーション部門という組織も例外ではない。

急速な外部環境変化としては診療報酬改定、介護報酬改定、人口動態、労働者政策などが代表的なものである。

外部環境の変化に組織が適応しなければ、外部環境変化の波に飲まれて事業運営は困難となる。

このようは背景からリハビリテーション部門は常に戦略的な事業運営が必要となる。

しかし、多くのリハビリテーション部門は戦略の選択に迷うことが多い。

例えば、
外来リハビリだけを継続するか?
通所リハビリを開始するか?

急性病棟を継続するか?
急性病棟を縮小して地域包括ケア病棟を開始するか?

新人採用をやめるか
新人採用を積極的に行うか?

など戦略の選択に迷うことがある。

このような戦略を選択する時のコツは次のようなものである。

「失敗をしてもどちらが許容できるリスクであるか」を考えることである。

許容できるリスクとは「組織の価値観や経営資源に基づき受け入れられるリスク」のことである。

例えば、通所リハビリを開始しても、「地域の競合他社や後発組であることから利用者が集まらないリスク」があったとする。

しかし、

通所リハビリで使用するスペースはもともと法人で所有していた不動産であり、新規投資の必要性がないこと

集客が集まらず通所リハビリを辞めることになってもスタッフは外来リハビリや訪問リハビリで仕事を継続することができること

などの条件があれば、通所リハビリ開始のリスクは「許容できるリスク」となる。

戦略には必ずリスクが伴う。

そして,リスクを取らなければ外部環境への適応も難しいことも事実である。

問題はリスクの分析であり、許容できるリスクの判断が重要と言える。

常に許容できるリスクに基づいた戦略の意思決定を心掛けていただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

今後の診療報酬改定・介護報酬改定に関するトレンドを箇条書きにした

2020年度診療報酬改定、2021年度介護報酬改定におけるトレンドや今後のヘルスケアビジネスの方向性を箇条書きにしました。

  • 急性期病棟  在宅(自宅)への移行率
    入退院支援加算・退院前訪問指導料・退院時共同指導料など急性期病院と在宅サービスの連携を強化する動きにより急性期から在宅(自宅)への復帰が推進される
  • 回復期リハビリ病棟 包括化&在宅支援
    7単位以上のレセプト請求が返戻・査定されていることやFIM実績指数を満たさないことによる単位数の包括化の流れから今後、回復リハビリ病棟そのものの包括化が検討される。
  • 老人保健施設 超強化型を超える施設基準
    現在、5類型の老人保健施設の下位レベルである「その他」「基本型」が廃止され在宅復帰が標準化される可能性が高い。
  • 疾患別リハビリ  施設基準に応じた算定基準日数
    リハビリテーション医療費の削減策として、脳血管及び運動器リハビリの算定制限が検討される。例:施設基準に応じた算定日数の設定・外来リハアウトカムの検討
  • 通所リハビリ  在宅回復期に応じた報酬&利用日数
    リハマネ加算Ⅱ以上や社会参加支援加算の算定内容に応じたアウトカム評価や短期集中リハビリの新類型などが検討され、通所リハビリの在宅回復期としての役割が期待される
  • 訪問看護  重度化対応の評価推進
    理学療法士等の訪問を中心とする事業所へのペナルティー(加算不可等)が生じ、訪問看護の重度化路線が強化される。
    一方、機能強化型訪問看護は条件緩和され、重度化への取り組みを促す。
  • 通所介護  ADL改善&栄養改善&重度化対応
    要介護者の最後の砦としての機能が期待される。具体的にはADLと栄養状態を維持向上させ、特別養護老人ホーム等への入所を抑制することが期待される。
    重度者対応型の通所介護が評価される傾向が強くなり、リハビリ特化型通所介護は斜陽となるため、経営上の対応が必要となる。
  • 外来リハビリ  外来リハアウトカム
    入院医療だけにアウトカムがあることが不公平であるとの意見があり、外来リハのアウトカムが検討されているが実施をするのは限定的になる可能性が高い。
  • 公的災害保険  地震・台風等の甚大な災害時の保険
    災害が多い日本において被災後の生活支援のために医療的・社会的リハビリテーションが必要であり、今後公的災害保険が検討される可能性がある。
  • 混合介護  介護保険サービス時に他のサービス実施
    介護保険サービス中に介護保険外サービスを提供することが解禁される可能性がある。東京都豊島区における混合介護モデル事業も大きな問題ないと言われている。ただし、混合サービスの導入においては介護支援専門員のマネジメントが必要とされる可能性が高い。
  • 保険外リハビリ  完全自費のリハビリテーションサービス
    地域包括ケアシステムでは、民間のサービスの活用も促しておりリハビリテーションも例外ではない。健康増進、疾患予防という観点では自費サービスは法律上問題ないため、今後も自費リハビリテーション市場は拡大していく。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

2019年12月16日付介護保険制度の見直しに関する意見(素案)について 今後の介護サービス基盤の整備

介護保険制度の見直しに関する意見(素案)の「今後の介護サービス基盤の整備」を見てみよう。

上段 文書中の文書
下段 高木綾一の分析・解釈

認知症など利用者の状態に応じてそれぞれの役割や機能を果たしながら、また、関係サービスとの連携を強化しながら取り組むことが必要である
⇒特別養護老人ホームの入所条件 要介護度3以上のように、今後は各施設により明確な入所条件が設定される可能性が示唆される。特に老人保健施設は混在した利用者が同一施設で生活をしていることからサービスの分散化があるため、入居対象者の選定が検討される可能性がある。

介護サービス基盤整備については、地域特性を踏まえながら適切に進めていくことが必要である。地方部では人口減少も見据えた効率的な施設・サービス整備が必要である。既存施設の活用が重要であり・・職員の兼務等の在り方について検討が必要である。
⇒地方での施設系は新規設立は許認可が下りることは難しくなる。介護報酬上の人員配置要件も都市部と地方部では異なり、地方特有の介護報酬体系が設定される可能性が高い。

「介護離職ゼロ」に向けて、介護施設の整備を進めるとともに、在宅支援サービスの充実を図り、在宅限界を高めていくことが必要である。
⇒日本国内における労働力不足が今後懸念される。労働力不足の原因として介護離職がある。そのため、在宅支援サービスの拡充を図る。その代表例が小規模多機能型居宅介護や老人保健施設などの活用である。地域の中で利用者がタイミングよく使用できる介護サービスの構築が在宅限界を高めるからである。ショートステイ、お泊りと通いの組み合わせ使用などの規制緩和が検討されると思われる。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

これからの時代は在宅ADLへの知識と経験がセラピストには必須である

2012年度以降の診療報酬改定や介護報酬改定は、在宅復帰を強く推進したものとなっている。

あらゆる病棟機能に在宅復帰要件が課せられ、在宅生活を支援するサービスも拡充している。

そのため、リハビリテーション職種の大半が在宅復帰や在宅生活維持への取り組みが求められる状況になっている。

1970年~2000年初頭までは、疼痛緩和、就労支援などがリハビリテーション職種に求められていたが、近年はその割合は減り、圧倒的に在宅復帰や在宅生活維持への取り組みが増加している。

在宅復帰での問題となる事例として下図のようなものがある。

在宅ADLが上手くできない事例

入院医療機関でのADL動作が改善したが、在宅復帰後、在宅におけるADL動作がうまく出来ないという事例である。

なぜ、在宅におけるADLの改善が難しいのか?

それは、住宅という構造に対して動作を適応させていく必要があるからである

玄関・上がり框・階段・浴室・トイレなどは各家庭で異なる形状をしている。

そのため、動作を遂行するためにはそれぞれの構造物に対して適した身体機能を発揮しなければならない。

理学療法士・作業療法士は動作を科学的な知識を用いて解釈できる数少ない医療専門職である。

在宅復帰や在宅生活維持が求められる地域包括ケアシステムの時代において、在宅ADLが支援できる理学療法士・作業療法士が活躍できる市場は巨大である。

今こそ、改めて在宅ADLに注目をしてはいかがだろうか?

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授

イラスト提供
福山真樹

理学療法士×イラストレーター
医療・介護等の現場を、医療職種の胸の内まで分かりやすくイラストで伝える。
臨床で勤務する理学療法士だからこそ描ける作品を医療関係者等へ提供し、書籍・学会・福祉機器紹介PV等、様々な場面で用いられている。
問い合わせ先
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メール  big.tree.of.truth@gmail.com
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年末のご挨拶に変えて2019年を振り返ります

株式会社Work Shift代表取締役の高木綾一です。

2019年最後のブログでは、株式会社Work Shiftの1年を振り返り、年末のご挨拶に代えさせていただけたらと思います。

2019年はセミナー事業とコンサルティング事業において様々な商品をリリースいたしました。

セミナー事業では
在宅リハビリテーションやケアに関するセミナー、足部・肩関節に関する運動器リハビリテーションセミナー、起業に関するセミナー等の新商品を続々とリリースしました。

これも、ひとえにビジネスパートナーであるセミナー講師の先生方のおかげでございます。

また、コンサルティング事業では、老人保健施設、クリニック、有料老人ホーム、訪問看護ステーションのマネジメント体制構築や管理職教育など様々な分野で関わらせていただくことが出来ました。

さらに、2020年4月頃発刊予定である「在宅リハビリテーション」に関する新刊の原稿執筆もビジネスパートナーと進めた年でもございました。

加えて、2019年8月に「Brand Management Service」という医療機関・介護事業所に特化した日本でも数少ないブランディングサービスを提供する組織を立ち上げ、現在、サービスを展開しております。

高木綾一の講演依頼も全国各地より頂き、2019年は北海道、福島県、千葉県、東京都、静岡県、栃木県、長野県、岡山県、福岡県、宮崎県、埼玉県、大阪府にて講演を行い、講演回数は年間200件を超えることが出来ました。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の過剰供給感
リハビリテーション職種のマネジメント能力の課題
リハビリテーション事業の収益性の低下
医師・看護師・介護職・リハビリテーション職種の連携不足
など様々な課題に関する講演依頼が多く、時代の背景を強く感じました。

現在、理学療法士協会、作業療法士協会、言語聴覚士協会、各コンサルティング会社、民間セミナー会社がサービスを拡大し、業界内のレッドオーシャン化が進んでおります。

株式会社Work Shiftとしては、自社の事業を持続可能なものとするため、レッドオーシャンでも戦える企業戦略とブルーオーシャン戦略の二方向性を高めていく必要性を感じております。

2020年はマーケティング戦略を強化して、株式会社Work Shiftの理念の実現に邁進いたします。

引き続き、株式会社Work Shiftをお願いいたします。

2020年が皆様にとって良いお年であることを心より祈念しております。


株式会社Work Shift創業からのビジネスパートナーや仲間との写真
2019年8月 大阪府高槻市のビアガーデンにて撮影