医療機関・介護事業所のフリーライダーを排除せよ

フリーライダー
組織においてメンバー同士の貢献によって付加価値を産み出すとき、何も貢献せず、他のメンバーに貢献に依存し得られた付加価値の恩恵にはあずかる人、ただ乗りの人。

わかりやすく言うと、「給料泥棒」である。

ご存知の通り、診療報酬・介護報酬の体系はより厳しくなっており、生産性の高い働き方を実行できる集団でなければ、安定的な利益を確保することは難しくなっている。

生産性を高めるには

投資する時間や費用を少なくしても、成果には変化がないこと

もしくは、

投資する時間や費用は変化がないが、成果が大きく変化すること

が必要である。

すなわち、時間や給与あたりの成果が大きい人が生産性が高い人と言える。

次のような人がいる職場は、生産性の観点から考えると最悪である。

大した実力もないのに肩書だけの上司が指示ばかり出して、自分自身ではなんら仕事の成果を出していない人

職場における仕事の責任を果たさずに、外部の仕事(セミナーや副業)などの仕事を職場に持ち込んでしている人

よくわからない経営者や院長の親族の人が月に数回だけ勤めて、えらく高い給与をもらっている人

毎日残業をして、残業代も高く、しかも普通の仕事の成果しか残せていない人

1分でわかる話を5分も10分もする人

同じ失敗を何度もする人

今までの診療報酬・介護報酬の体系では、生産性の低い人がいても最低限の利益率を維持することが出来ていた。

また、生産性の低い理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護職、看護師、医師も人手不足をアドバンテージにして、雇用されていた。

しかし、地域包括ケアシステム構築の最終コーナーを回っている昨今では、もはや生産性の低いに人間は不必要となってくる。

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医療・介護現場は、まだまだ生産性が低い。

マネジメントレベルの低下
個々の職員の技術力
コミュケーションの不備
生産性への意識
ITの活用
など多くの課題の解決が先送りされている。

また、生産性の低い人を排除する仕組みも乏しい。

特に、経営者の知り合い、血縁関係者や立場の高い人のフリーライダーの排除をする力は乏しい。

あなたの組織にはフリーライダーを排除する考えや仕組みはありますか?

フリーライダーが増えれば増えるほど、組織崩壊は近い。

 

2018年以降、地域包括ケアシステムの議論は収束し、いよいよ実践・実戦のステージへ

2025年に向けた地域包括ケアシステムの構築はいよいよ最終章へ突入する。

2000年の介護保険発足以来、地域包括ケアに関する議論はやむことはなかった。

実は、2000年に発足された高齢者介護研究会による「2015年の高齢者介護」では、次のような報告がされている。

  • 介護以外の問題にも対処しながら、介護サービスを提供するには、介護保険のサービスを中核としつつ、保健・福祉・医療の専門職相互の連携、さらにはボランティアなどの住民活動も含めた連携によって、地域の様々な資源を統合した包括的なケア(地域包括ケア)を提供することが必要である。
  • 地域包括ケアが有効に機能するためには、各種のサービスや住民が連携してケアを提供するよう、関係者の連絡調整を行い、サービスのコーディネートを行う、在宅介護支援センター等の機関が必要となる。

つまり、地域包括ケアシステムの議論は15年以上続いており、その制度設計には、相当な時間がかかっていると言える。

しかし、2018年には地域包括ケアシステムの議論には終止符が打たれそうである。

2018年には診療報酬・介護報酬改定ダブル改定、第七次医療計画、第七期介護保険事業計画の策定が行われるという「奇跡の年」である。

したがって、地域包括ケアシステムの構築に向けた「トドメの制度設計」が行われる可能性が極めて高い。

地域包括ケアシステムが、世の中の医療・介護・福祉関係者に認知されるようになったのは2012年度介護報酬改定からである。

2012年度介護報酬改定、2014年度診療報酬改定では地域包括ケアシステムが色濃く反映された報酬体系が導入され、各医療機関や介護事業所は「地域包括ケアシステム」を意識せざる得なくなった。

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地域包括ケアシステムは日本社会を変える国策である。

医療の機能分化
医療・介護連携
在宅看取りの推進
認知症ケアの推進
自立支援の推進
地域医療構想
医療の在宅シフト
など様々な取り組みが求められ、医療機関や介護事業所はその対応に追われている。

しかし、2018年からは、もはや失敗は許されない状況になる。

2000年~2017年までは地域包括ケアシステムの模索の段階であり、様々な取り組みへの挑戦が求められ、たとえ失敗をしてもやり直しが可能であった。

しかし、2018年~2025年は地域包括ケアシステムの実践と実戦が求められる。

一段と厳しくなる地域包括ケアシステムへの取り組みに乗り遅れた場合、経営や運営が困難に陥る可能性が高い。

現在、地域包括ケアシステムを語る評論家は多いが、2018年以降は地域包括ケアシステムの実践家・実戦家が求められる。

あなたの勤める医療機関や介護事業所は、地域包括ケアシステムを実践・実戦することはできるか?

そして、あなた自身は地域包括ケアシステムにおいて勝ち残れるか?

 

 

 

 

2018年以降加速する医療・介護制度改革におけるリハビリテーション分野の最大の課題

2025年に迎える未曽有の超高齢化に対し、医療・介護分野の改革が急加速している。

特に、2018年から始まる医療・介護分野の改革は過去の比ではない。

2018年には
第7次医療計画
第7期介護保険事業計画
が同時スタートし、
さらに、
診療報酬改定と介護報酬改定
が行われる。

つまり、2025年問題に向けた大改革を行う最高のタイミングが2018年である。

それでは、どのような改革が行われるのだろうか?

周知の通り、改革の基本的な方針は、「地域包括ケアシステム」である。

「地域包括ケアシステム」の本質に関しては、下記のブログを参照してほしい。

地域包括ケアシステムの本質

現在、地域包括ケアシステムの完成を目指して政府は病床の機能分化を急いでいる。

日本は急性期機能を持つ病院が多く、急性期後に対応する病院が少ない。

その上、過剰とされている急性期病院の急性期機能が諸外国と比較して低い。

日本の急性期病院は在院日数が長く、投入している医療資源も乏しく、総じて、急性期医療が必要ではない患者が多く入院しているとされている。

また、療養型病院にも、入院治療が必要ではない在宅医療で対応可能な患者が多く入院している。

このような状況を背景に、政府は急性期・回復期・慢性期の医療機能を強化し、各医療機能に適切な患者が入院する仕組みの導入を急いでいる。

2014年より始まった地域医療構想や2年に一回行われる診療報酬改定では、医療の機能分化が徹底されている。

しかし、この医療の機能分化は新たな課題を生んでいる。

それは、機能が分化されることによる「情報や連携の分断」である。

機能を分化させれば、させるほど情報や連携は分断される。

したがって、機能分化と連携は表裏一体の関係と言える。

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クリティカルパスの導入
病院間や病院と介護事業所の連携会議
医療情報の共有
などが、現在、連携を強化するために行われている。

しかし、リハビリテーションに関する連携は難しい。

なぜならば、リハビリテーションに関する哲学や思想の違いが、各病院やセラピストで存在するため、連携は容易ではない。

脳卒中患者を事例にすると
急性期病院で装具療法を中心とした治療をしているが、転院先の回復期リハビリテーション病院で装具使わない手技の治療が展開されることが散見される。

また、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションを併用している利用者のリハビリテーションにおいて異なる目標が設定されていたり、異なる手技が行われていることも多々ある。

機能分化による情報や連携の分断は、リハビリテーション分野に新たな課題を生んでいる。

医療の機能分化に伴う新たな課題に対して、リハビリテーション関係者は真剣に向き合わなければならない。

これからの時代は、連携先を含めたリハビリテーション技術の共有が重要となってくる。

頭ごなしにどの哲学や思想が正しいと決めるのではなく、議論をしながらリハビリテーション技術を共有していく姿勢が求められる。

 

 

 

労働時間を増やして収入を増やす理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護職、医師は「残念な人」である

働く時間を増やして自分の仕事の価値を高めようとする人は沢山いる

カルテや書類の作成が遅くて、夜遅くまで働いている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
それほど仕事が残っていないのに、細かい雑務をこなして残業代を請求する看護師
シフト管理などの書類業務が終わらないので、自宅に持ち帰って仕事をしている介護職
休みである日曜日に出勤し、軽症患者に対して病棟回診を行い休日出勤を申請する医師

これらの人は、実際に筆者が出会った人たちである

一見、責任感があり、しっかりと仕事をしている人という印象があるが、決して仕事ができる優秀な人ではないと断言する

労働時間を増やして、仕事の価値を増やしている残念な人は世の中に多い

インプットが増えれば、アウトプットが増えるのは当然であるから、別に何もすごいことはない

労働者の価値は

アウトプット÷インプット

できまる

すなわち、短時間当たりで行った仕事の量である

「収入を増やす」という事例で考えてみる

収入を増やす方法は二種類である

労働時間を増やして時間当たりの時給を稼ぐ方法

時間当たりの仕事量を増やして、様々な仕事に着手し、評価を得る方法
である

労働時間を増やして、給与を増やす方法は三つの点で問題がある。

一つ目は、労働時間には上限があること、すなわち給与の増加額も上限があるということ
二つ目は、こんな働き方していると新しいスキルが身につかないということ
三つ目は、労働時間を増やせば、他のことに取り組む時間が減り人生が吸い取られるということ

日本は、人口減少社会に直面している

医療・介護分野も人手不足が続いている

このような状況で高い評価を受ける人材は「生産性が高い人」である

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例えば、
理学療法士だけど摂食嚥下も対応できる
看護師として臨床も退院調整もできる
介護職として介護業務以外にも教育や連携業務もできる
作業療法士として、応用的動作だけでなく、基本動作も治療できる
言語聴覚士だけど、呼吸リハビリテーションも対応できる

このような人は、決して、労働時間を延長させることで自身の価値を高めることはしない

むしろ、労働時間を減らすことで短時間当たりの生産性を高める

しかし、現状は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護職、医師は副収入を得るために、動労時間を延長させる傾向が強い

はっきり言って、この働き方には未来はないと言っても過言ではない

生産性を高めることを忘れると、「自分自身で自分の働き方をブラックにしている」と言える

ブラック企業もあるが
ブラックな働き方を選択している労働者も多い

 

 

 

 

「営業活動をして利用者を集めてこい!」という院長・経営者・事務長は、臨床現場が最大の営業活動であることを忘れている

2000年以降の緊縮財政により、医療・介護事業では経営環境の変化に伴い、患者や利用者獲得のための「営業活動」が活発化した。

医療の機能分化の促進、介護保険事業所の増加により、患者や利用者の争奪戦の状況が生まれ、地域連携室や事務方の職員などが地域の医療機関、介護事業所、居宅介護支援事業所に患者や利用者の獲得目的で挨拶回りに行くなどの営業行為は、もはや、ごくごく普通のことである。

しかし、そんな「営業行為」だけでは、もうどうしようもないほど現在の医療機関や介護事業所を取り巻く環境はより厳しさを増している。

地域包括ケアシステムの推進は、各医療機関や介護事業所の「実力」を白日の下にさらしている。

在院日数短縮
重度者対応
ADL改善
24時間365日対応
地域連携
自立支援
ターミナル対応
多職種連携
認知症対応
など・・様々な項目への取り組みが医療・介護事業所の必須事項になっている。

昨今ではこれらの項目に対応できない場合、患者や利用者だけでなく、連携医療機関や介護事業所から、不信に思われる。

例えば、次のような事例は「不信」を招く典型例である。

営業活動で、「〇〇の疾患であればすぐに入院対応できますので、いつでも、ご連絡ください」と言っていたが、いざ、入院の依頼をすると先方の医師の判断で入院が断られる。

自立支援を目指しているデイサービスという紹介で、デイサービスを利用したが、筋力トレーニングだけのデイサービスだった。

「365日24時間対応の訪問看護ステーションなんで、ご安心ください」と利用者に伝えていたが、実際に深夜に電話したら、オンコール担当の看護師の態度が悪かった。

「リハビリテーションを中心にしている病院です」という紹介で入院したが、土曜日、日曜日はリハビリテーションがなかった。

旧来の営業活動は、エクスターナルマーケティングといわれるもので、いわゆる、認知度を高めるための行為である。

こんな医療をしている医療機関ですよ!
こんなことに取り組んでいる介護事業所ですよ!
ということを、市場関係者に伝えることで、サービスや商品の購入を促進するものである。

エクスターナルマーケティングは
競合が少ない
市場が成熟していない
相手に知識がない
場合に有効である。

しかし、昨今の医療・介護情勢については、医療・介護分野の関係者だけでなく、多くの国民もインターネットなどのメディアを通じて知っていることが多い。

そのため、認知度を高める程度では、サービスや商品の購入が起こりにくい。

そこで、重要なのがインターナルマーケティングである。

このマーケティングは
社員に自社のサービスや商品の価値を教育し、日常的な活動において顧客の期待を裏切らないようにする
ことである。

言い換えると、「自社が謳っているサービスや商品の質を常に順守する」ということである。

よい噂を聞いたので、実際に利用したが、期待していたサービスを下回ったことはないだろうか?

このような場合、もう一度そのサービスを利用したいと思わない。

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医療・介護分野では、患者・利用者の獲得目的の営業は、エクスターナルマーケティングのような活動だけでは、もう、効果を出すことはできない。

利用者や入院稼働率が低下した場合、多くの経営者や院長は「外部の事業所に営業に行ってこい!!!」と言う。

しかし、この発言は本末転倒であることが多い。

そもそも利用者や患者が減っている理由は何だろうか?
なぜ、利用者や患者が離れて行っているのだろうか?

ほとんどの人は
臨床現場が、「インターナルマーケティングというマーケティングの最前線であること」を理解していない。

今一度、臨床現場におけるマーケティングを見直すべきである。