PT・OT・STのキャリアデザインを阻害する「イラショナル・ビリーフ」

信念とは「それが正しいと堅く信じ込んでいる心」である。

アメリカの臨床心理学者のアルバート・エリスは、信念には論理的な信念と非論理的な信念があると述べている。

非論理的な信念は英語でイラショナル・ビリーフ((irrational belief)と言う。

イラショナル・ビリーフは、悲観的思考であり、その思考は物事の結果を悲観的に捉え、心理的な落ち込みを生むものである。

つまり、「心理的な落ち込みは、物事の結果がそうさせたのではなく、イラショナル・ビリーフがそうさせたものである」という考え方である。

例えば、次のような内容は一見合理的な信念と感じるが、実はイラショナル・ビリーフである。
1)嫌われてはいけない
2)できるだけ完璧に物事は仕上げないといけない
3)困難なことが起これば、立ち向かうより避けるほうが楽である
4)人から批判されたから自分はダメな人間である

イラショナル・ビリーフには
「ねばならない信念」例:人には好かれないといけない
「悲観的信念」例:〇〇が起こったから、もう〇〇は絶望的である
「非難・自己卑下信念」例:〇〇ということが起こったから、私はダメな人間なんだ 「欲求不満低耐性信念」例:〇〇をすることは耐えられない
という4種類存在する。 29e4249217ed0aca74e7e081b73ab9b4_s このようなイラショナルビリーフは、個人差はあれば誰でも持っている。

所謂、「思い込み」や「勘違い」が自身の考えを支配し、誤った行動を誘発していると言える。

例えば、「ある患者から治療に関するクレームを言われたから、自分はセラピストとしてダメな人間なんだ」と考えたとする。

しかし、これは明らかにイラショナル・ビリーフである。

ある患者からクレームを言われたということだけで、「セラピストとしてダメ」ということは論理的におかしい。

また、一度クレームを言われた程度で、自分のことを判断することも論理的ではない。

そして、そもそもクレームを言われない人などいないので、一度のクレームで自己否定をするのも論理的ではない。

イラショナルビリーフは人生や仕事を前進させにくい。

ぜひ、自身のイラショナルビリーフに気づいていただきたい。

投稿者
高木綾一

株式会社WorkShift 代表取締役
あずま整形外科リハビリテーションクリニック
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術/MA)(経営管理学/MBA)
関西医療大学保健医療学部 客員准教授