PT・OT・STの古典的ロールモデルは、すでに崩壊した

2025年問題が医療・介護業界に様々な風を流している。

ネガティブな風もあれば、ポジティブな風もある。

このような風が吹く中、今日の我が国のセラピスト業界におけるキャリア開発上の大きな問題点として、「ロールモデルの不明瞭」が顕在化している。

皆さんは、現在の
理学療法士のロールモデル
作業療法士のロールモデル
言語聴覚士のロールモデル
をそれぞれ答えることができるだろうか?

20年ぐらい前までなら
卓越したテクニックを持つ技師や養成校の教員がロールモデルとして存在していた。

確かに、当時のロールモデルは、セラピストが憧れる技術や知識を有しており、かつ経済的にも成功していた。

しかし、今はどうだろうか?

誤解を恐れずに言うと、
今の時代、卓越したテクニックを持つ技師や養成校の教員に強い訴求力があるだろうか?

時代は変わった。

社会保障費は圧縮され、セラピストの給料は減り、地域包括ケアシステムが推進される。
養成校は乱立し、学生の偏差値も拡大している。
急性期病床は削減され、慢性期や在宅医療が推進される。
働く人間の価値観も多様化を極め、ダイバーシティーも進んでいる。

これらの変化に伴い、セラピストのロールモデルが不明確になっている。

もはや、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の古典的なロールモデルはもはや崩壊しているといっても過言ではない。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の市場における役割も激変している。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士への期待や市場価値が拡大している。

この拡大は、古典的なロールモデルをより不明確にしている。

ロールモデルが不明瞭な時代では
自分自身の価値観や社会が求める能力を反映したロールモデルに一歩でも近づいていくために、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自らのキャリアを自主的に開発していく必要がある。

このような時代では、自主的にキャリア開発を行う価値観やモチベーションがないセラピストは、時代の流れに逆行したロールモデルを追及したり、あるいは、ロールモデルの追求自体を止めてしまい、社会的な価値の低いセラピストになってしまう可能性がある。

2025年問題は、言い換えると、2025年セラピスト問題である。