パラレルキャリアシンドロームがもたらす薄っぺらいキャリア

理学療法士、作業療法士の労働市場の熾烈化や上がらない給与を背景に、「パラレルキャリアの重要性」を叫ぶ人が増えてきた。

そのおかげで、パラレルキャリアシンドロームを発症する理学療法士、作業療法士が急増中だ。

パラレルキャリアとは
本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと
である。

主な目的は、金銭的報酬だけではなく、自分のスキルアップや夢の実現、社会貢献活動の推進していくこととされている。

全国各地で、パラレルキャリアに感化されている理学療法士、作業療法士が増えている。

しかし、ここで注意が必要である。

パラレルキャリアの定義にある通り、本業があっての第二のキャリアである。

多くの理学療法士、作業療法士は、その本業すらおろそかになっている。

筆者が様々な経営者や管理職から聞くのは、
「組織内の仕事を一生懸命にしないのに、組織外の仕事を頑張っている職員が増えている」
「地域包括ケアだ!!と言って、外部のコミュニティに参加するのは一生懸命だが、施設内包括ケアには全く取り組んでくれない」
という声である。

つまり、組織に対する求心力より社外への遠心力が作用しているセラピストが増えているということである。

本業を疎かにして、他のキャリアに向き合うと言う「無法者セラピスト」に限って、「私、パラレルキャリアをがんばっています」と周囲に自慢する傾向も強い。

パラレルキャリアは本業があってこそ。

組織内で活躍できない人間が、組織外で活躍しても誰も評価しない。

せいぜい、ただの転職準備活動である。

本当のパラレルキャリアは本業と第二のキャリアがお互いに作用し、新しい価値を組織と社外に与えるものである。

組織に何の貢献もしないパラレルキャリアは、ただの「オナニーキャリア」だろう。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

キャリア停滞の原因 結局は覚悟がないから決断できない

自分の人生を変えたい
この会社を辞めたい
こんな上司の下では働けない
自分のやりたいことをしたい
と誰もが一度は思うのが普通である。

しかし、実際に自分の状況を変えるために行動する人は少数派である。

つまり、多くの人は今の状況は「まずい」と判断は出来ているのだが、「行動を起こす」という決断はできないということである。

なぜ、「行動を起こす」という決断ができないか?

それは、「行動を起こす」ことによって生じる責任を引き受けるという「覚悟」がないからである。

逆に言えば、「覚悟」さえできてしまえば、決断が可能となり、自分の人生を変える可能性が高まると言える。

元ヤクルトスワローズの監督である野村克也氏は「覚悟に勝る決断なし」という言葉を残している。

決断によって失うものもあるかもしれない。

しかし、それを受け入れる覚悟ができた時、人間の心は軽くなり行動への決断が可能となる。

「覚悟」があるとないでは、人生において行動する範囲は天と地ほどの差がある。

そのため、キャリアデザインや起業を成功させるためには「覚悟」が極めて重要と言える。

今、あなたが行動を起こせない理由は知識不足や、経験不足ではなく、単に「覚悟」がないからではないか?

でも、よく考えてほしい。

もし、何かを決断することで何かを失うことがあったとする。

失ったものは、「見栄」や、つまらない「プライド」だったりしないだろうか。

もし、そんなことで「決断」ができないなら相当人生で損をしていると言える。

 

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

コア・コンピタンスがセラピストのアドバンデージを高める

コア・コンピタンス (Core competence)とは、
ある企業の活動分野において「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」の事を指す。

コア・コンピタンスの考えは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のキャリアデザインにおいても極めて重要である。

業務独占をしていないこの三職種が毎年2万人前後で増えていく社会では、セラピストの競争は熾烈を極める。

そのような状況においては、コア・コンピタンスをどのように構築するかが重要だ。

「競合他者を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他者に真似できない核となる能力」というコア・コンピタンスをセラピストが持つことで、競争市場での立場は優位となる。

コア・コンピタンス構築のポイントは、「他者が真似ができないこと」である。

あくまでも、模倣されにくいことがポイントである。

ここで注目したいことは、「高いレベルの技術力」や「特殊な能力」ではなく、「模倣されにくいこと」がコア・コンピタンスということである。

多くのセラピストの自己研鑽は、高いレベルの技術力や特殊なテクニックなどの習得を目的にしているが、それらが少しの努力で模倣されるようなことであったならば、コア・コンピタンスとしては成立しない。

脳卒中に関する学会発表、論文執筆をして高い知見を得たとしても、他者が模倣をしやすい分野や知識であった場合、簡単に追いつかれてしまう。

模倣をしにくいものであればあるほど、市場では有利になる。

例えば、難病患者に対する嚥下リハビリテーション、脳卒中片麻痺患者のロボット歩行、大規模組織でのマネジメントなどは多くのセラピストが経験できるものではないため、コア・コンピタンスになる可能性がある。

難しいことではなく、模倣されにくいこと。

これからの時代を生きるセラピストにはこの視点が必要である。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

潜在PT・OT・STが少ないということは、能力の低い人も働けている業界ということだ

看護師不足が叫ばれて久しい。

看護師は150万人ほどいるが実に70万人が働いていない。

つまり、何らかの原因で看護師の業界から去った人が70万人もいるということだ。

各種調査によると原因は多種多様である。

仕事がきつい
職場のストレス
産休・育休後のキャリア形成が難しい
仕事のハードさの割には給与が安い
やりがいがない
などである。

誤解を恐れずに言えば、看護師の業界は「ついてこれない人」は業界から過ぎ去るシステムが機能していると言える。

もちろん、「ついてこれない人」の種類はいろいろである。

能力が低くて看護師をやめた人
能力の高低に関係なく看護師という業界以外で働くことを決断した人
など、色々な人がいるだろう。

むしろ、このようなシステムが機能している業界の方が健全である。

看護師として働くことを選択した人と選択しなかった人が明確に分かれているため、看護師の玉石混交が起こりにくい。

したがって、看護師の能力水準が明確化しやすため、看護師としての能力の高い人が評価されやすい状況と考えられる。

それに引き換え、PT、OT、STはどうか?

潜在PT・OT・STなどはまだわずかである。

言い換えると、「ついてこれない人」がいない業界であると言える。

つまり、ついてこれる業界なのである。

したがって、能力が低い人が業界から去ることはない業界であるため、セラピストとしての能力水準が明確になっていない。

したがって、能力が高くても低くても給与が同じという現象が起こってしまうのである。

このような業界は競争原理が作用しない。

そのため、あるべき理学療法士像、作業療法士像、言語聴覚士像を追求する必要がない。

しかし、後10年後にはセラピストの業界は一気に過剰供給時代となる。

今、あるべきセラピスト像を目指していない人は、過剰供給時代に一気に凋落することになるだろう。

今そこにある危機を理解していないセラピストは、否応なしに潜在セラピストになる未来が待っている。

執筆者
高木綾一
セミナー講師
株式会社WorkShift 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護コンサルタント
理学療法士
認定理学療法士(管理・運営)(脳卒中)
呼吸療法認定士
修士(学術)
関西医療大学保健医療学部 助教
関西学院大学大学院 経営戦略研究科

 

理念や信念を共有していない知人や友人を10000人持つよりか、理念や信念を共有し、共通の目的に向かって走れる盟友を1名持つ方が遥かに意味がある

孤独になるのが怖い

他人と同じ状況に安堵感を感じる

飲み会に誘われないと不安である

知り合いというレベルで仲良くなった気がする

このような心理状態になる人が周りにはいないだろうか?

このような人は、人間関係条件のハードルが低いと言える。

志や理念を共有してなくても、ただ、知り合いというだけで仲良くなった気になり、ともに食事をしたり、時間を過ごすこと出来る人たちである。

しかし、その友達がビジネスのパートナーや将来の盟友になることはなく、一瞬の知り合いで終わることが殆どである。

人と違ったことをすることに対する怖さや恐れを感じている人は、常に自己保身を前提にした行動パターンを取る。

その結果、自分の所属しているコミュニティから、異端扱いされず、受け入れられることで心理的な安定を図る。

そのため、安易な人間関係を構築することに腐心する傾向が強い。

しかし、このような特徴を持つ人は自分の人生を自分でコントロールことが難しい。

なぜならば、人間関係を広げれば広げるほど、多様な価値観が広がり、他者からの目が気になるからだ。

理念や信念を共有していない知人や友人を10000人持つよりか、理念や信念を共有し、共通の目的に向かって走れる盟友を1名持つ方が遥かに意味がある。

Facebookなどでやたらめった人脈の豊富さをアピールする人がいるが、実はその人は人間関係地獄にはまっている。

他人の目が気になり、何もできない状況を加速させているだけだ。

また、自分自身をアピールせず、人脈の豊富さをアピールしている時点で社会人としては二流である。

読者の皆さん、人間関係をどんどん整理していきましょう、どんどん人間関係を断っていきましょう!

人間関係は創るだけでなく、断つことも社会人には必要なスキルだ。