現状の不満に耐えるか?未来の不安を消し去るか?

医療・介護情勢が混沌としている。
今後、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護福祉士を取り巻く状況はますます厳しくなる。
与えられた仕事をしていれば、給料や処遇が改善するかどうかもわからない。非常に不確実な時代に突入している。このような時代では職場に対して不満や憤りをもつ人が増加する。多くの人が不満や憤りを心に抱えながら働いている。かといって、不満を解消するために行動する人も多くいるわけではない。転職や起業をしたからといって、成功するのかどうか?わからないという不安もある。

多くの医療・介護従事者は不満と不安の狭間で立ち止まっている。
不満に耐えるか、不安を消し去るかを選択できずに思考停止になっている。

しかし、不満は外部環境から生まれ、不安は内部環境から生まれる。外部環境は職場、政治、経済であり、人が制御できるものではない。しかし、内部環境は人の知識や経験であり、人によって調整ができるものである。つまり、自分の知識や経験を高めていくことで、将来の不安は消し去ることができる。

今の時代は明治維新や戦後直後の状況に近い。価値観の変化、政治や経済の不安定、国外からの情報流入などが目まぐるい。明治維新や戦後直後の環境変化に対して不満を耐え忍び、愚痴ばかり言っていた人達は時代の荒波の飲まれていった。
しかし、環境変化とともに知識や経験を高めていくことで時代に適応し時代を創造する側に立つ人達もいた。

不満に耐えるか?不安を消し去るか?
あなたはどっちを選択する?

自分の実力のピークを見極めろ

組織や特定の領域で、長期間、働いていると
誰しも最も、輝いて働いている時期がある
実力がピークとなっているその時期は、組織からの吸引力も強く居心地が良い

しかし、市場の変化と人間が持つバイオリズムにより
実力のピークは緩やかに低下していく

本人の能力が低下せずとも
外部環境が変化するため
実力のピークで働ける期間はわずかな間である

しかし、自分の能力を過信し
居心地のよい状況から抜け出せない人は多い

そして
いつの間にか茹で蛙になり
会社や社会より見放されていく

セルフマーケティングを怠らない人は常に
自分の実力のピークを見定めている
そして、自分の商品価値が劣化し始めると
それをいち早く感知して、新しい商品価値の創造を行う

起業家で成功している人の多くは
「最も会社でピークの実力」を持っていた時に
退職をして、起業している

その人の周囲にいる人は、「最も実力がある時に
退職すること」を不思議に思っている
そのポジションにそのままいれば
良い待遇があるのに、もったいない・・・・と周りの人は思う

しかし、セルフマーケティング能力がある人間は
「自分の実力のピーク」を見極めており
次の新しい商品価値創造の段階にいち早く取り組む

したがって、退職と起業のタイミングが「実力のピーク時」に重なることが多い

今は、不確実な時代に突入し
個人の人生を社会や会社が守ってくれる時代ではない

よって、自らの能力や技術を社会に買ってもらう
セルフマーケティングが必要な時代となった

したがって、自分の能力、すなわち商品価値を
常に自己監査する必要性がある時代になったと言える

 

理学療法士 作業療法士の過剰供給問題が生み出すもの

理学療法士と作業療法士の有効求人倍率が0.5となり、
理学療法士、作業療法士の就職口が見つからない・・・・・
養成校卒業後に就職できない人や異業種に転職する人も増加・・・

そんな未来が2025年以降に現実化するかもしれない

そもそも、療法士過剰問題は良くないことなのか?良いことなのか?

いつの時代も転換期には、不都合な状況に見舞われる集団が存在する

産業革命の時代には、職人達は機械化により職を失った
アメリカのIT革命の時代には、自動車産業は大不況となった

将来、起こる可能性の高い療法士の過剰供給は、
政府が一時代の社会課題を解決するために導入した施策の結果である
そして、過剰供給の背景には、
巨大な市場に甘えていた療法士や養成校、医療機関の存在を忘れてはならない
巨大な市場に支えられている間に、将来の飯の種を作り上げる必要がある
今の時期だからこそ、飯の種の確立に挑戦できる

療法士の過剰供給が顕在化すると、市場原理が必ず作用する
市場原理が動き出す時、療法士業界のパラダイムシフトが起こる
現に、このブログを書いている2015年においても療法士の仕事の表現が多様化している

専門特化した臨床家、研究者、介護保険分野の起業家、コンサルタント、セミナー講師、モノづくり家、組織マネージャー、自費サービスを行う者、海外で働く者・・・・。

2025年には療法士業界に強烈なパラダイムシフトが生じる可能性は極めて高い
その時代の社会改革に必要なパラダイムシフトが起きる
療法士の過剰供給は
行動を起こさない人にとっては良くないことになる
行動を起こした人にとっては、待ち望んでいた未来である

療法士過剰供給は療法士業界を奈落の底に落とすか?
それとも、社会的ステージを上げるか?
今からの10年間が正念場だ

 

 

 

 

理学療法士・作業療法士は歯科医師のワークシフトを学べ

近い将来、理学療法士・作業療法士は過剰供給になるのか?ならないのか?
そういった議論が、業界内で渦巻いている
現状のペースで新規資格取得者が増加すれば、2025年には理学療法士、作業療法士が30万人近くになる可能性もある。

劇的な経済発展が望めないことや社会保障費の圧縮などにより、医療・介護分野へのお金の流れは低調になる。また、理学療法士や作業療法士の有資格者も増加し、人件費の自然増もさけられない。
したがって、理学療法士や作業療法士の給料が今後、劇的に増加していく見込みはない。
年3,000円の昇給をしたとしても、10年間で月30,000円の増加である。

今後は国や外部環境に強く依存しない「働き方」が必要とされる時代になったと言える。
「働き方」を考える上で、必要な軸としては「個のブランディング」である。
すなわち、個人としての実力を磨き、世の中から信頼を得ることである。

このような「働き方」が、顕在化している医療職が既に存在している。それは、歯科医師である。

現在、歯科診療所はコンビニエンスストアの数より多い。
歯科医師の数も近年では、10万人を超えており、過当競争となっている。
そのような環境では、自ずと市場原理が作用し、歯科医師の個の力の差が顕在化する。

現在、歯科医師でワークシフトをしている事例には以下のものがある。

・往診専門に特化する
・摂食嚥下リハビリテーションを行う
・STを採用し、訪問リハビリテーションを行う
・審美歯科を行う
・介護事業所やサービス付き高齢者向け住宅を運営する
・他院と連携して、術後感染予防のために、術前患者への治療を行う
などである。

外来で、ひたすら治療するという「働き方」から、脱却している歯科医師が自分の専門性を新しい市場で提供している。他の歯科医院とは差別化することで、業界や地域で新しいポジショニングを得ているのだ。

では、理学療法士や作業療法士はワークシフトを行うことが可能なのか?
確かに、理学療法士や作業療法士には開業権がないので、開業という視点ではワークシフトは困難である。
しかし、理学療法士や作業療法士の専門性を活かせる市場は山とある。
社内を見渡しても、リハビリテーションの教育や他職種との連携、新しいリハビリテーション技術の開発やその治験、介護士や看護師への教育やカンファレンスのファシリテーター・・・・など多くの活躍できる分野があるのではないか?
社外においては、在宅生活を支えるサービスや異業種へのアドバイス、物販やインターネットを活用したサービスなど・・・・非常に多くの可能性を秘めている。

資格という国家が与えてくれたパワーで働くのではなく、その資格の専門性を活かして社内外に貢献できる新たな分野で個の力を発揮していく。
これが、今後、理学療法士や作業療法士に求められるものではないか。

ワークシフトでは
定期的にセラピスト向けのキャリアデザインセミナーを開催しています
ご興味がある方は
http://www.workshift.info/seminar/index.html
をご確認ください

リハビリテーション部門コンサルタント
医療・介護経営コンサルタント
ワークシフトプロデューサー
高木綾一
http://www.workshift.info/

 

 

 

目の前に患者や利用者がいなくなったら、看護師、療法士はご飯を食べれなくなる

病院、診療所、老健、介護事業所のすべてに共通していることは、提供したサービスに応じた介護報酬や診療報酬を原資として経営を行っているということである。

つまり、介護報酬、診療報酬がゼロになれば、経営は頓挫し、従業員に支払える給料は途絶えることになる。

看護師、療法士は専門職であり、専門的な知識や技術を人間や社会に還元することで収入を得ている。

しかし、患者や利用者がいなくなれば、専門的な知識や技術を発揮することができない。

つまり、専門職は目の前に、患者や利用者がいてはじめて、専門職としての役割を担うことができ、また、自身のアイデンティティーを高めることが出来る。

診療報酬改定、介護報酬改定により医療・介護を取り巻く環境は激しく変化している。

とりわけ、病床機能や各介護事業所の役割の改革が強く求められており、2025年までに多くの病院や介護事業所は市場環境に適応できず、経営不振になると考えられる。

今、看護師、療法士などの医療・介護従事者に求められるものは何か?

専門職としての知識や技術を高めることは当然である。

しかし、知識や技術を高めても目の前に患者や利用者がいなくなったら意味がない。

つまり、今、求められるものは「マーケット感覚」である。

自分の知識や技術、さらに、態度や考え方が、勤め先の経営に貢献し、患者、利用者の獲得に繋がっているかを、今一度考えなければならない。

自分のやりたいことと組織が期待していることが、重なっていない場合は、組織へ貢献ができていない。

雇用されている以上、組織が期待していることへの理解は義務である。

これからは、勤め先で地域に貢献できているか?を考える・・・つまり、マーケット感覚に基づく専門的知識、技能の研鑽が求められる。